Three Roses
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第十五話 衰える身体その二
「実は迷妄に誘う者もある」
「仕組んでいる言葉もですね」
「ある、だからだ」
「聞き分けることはですね」
「大事だ」
「それが出来てこそですか」
「王なのだ、だがな」
それでもと言うのだった。
「余にそれが出来ているか」
「それは」
「自信はない」
こう言うのだった。
「どうもな」
「そうなのですか」
「口ではこう言うが」
しかしというのだ。
「それでもだ」
「出来ているとは、ですか」
「自分では思っていない、だがそなたならばだ」
マリーならというのだ。
「出来る、だからだ」
「これまで以上にですね」
「いい耳を持つことだ、そしてだ」
「そのうえで」
「人を見極める目も養うことだ」
そちらもというのだ。
「そなたはこちらも既に持っているがな」
「これまで以上にですね」
「養ってもらいたい」
目もまた、というのだった。
「是非な」
「人を見る目も」
「その資質だけでなく心もだ」
「そちらもですね」
「資質がよくても性根が腐っているとだ」
「どうしようもないですね」
「適材適所がある」
王はマリーにこのことから話した。
「それはな」
「はい、確かに」
「若し内政で無能であっても軍事ならば有能である」
「そうしたことはありますね」
「そうだ、しかしだ」
「有能であってもですね」
「性根が腐った輩はだ」
そうした者はというのだ。
「どうしようもない」
「その資質を悪しき方に使うからですね」
「用いればだ」
「それは害になりますね」
「国にとってな、だからだ」
「決してですね」
「そうだ、そうした輩は用いるな」
王はマリーに忠告した。
「そうする為にだ」
「人を見抜く目もですね」
「今以上に養うことだ」
「それが重要ですね」
「絶対にだ」
また言った王だった。
「いいな」
「わかりました」
「やはりそなたが次の王だ」
王はマリーに約束する様にして言った。
「いいな」
「そうなるのですか」
「マイラはあまりにも心を閉ざし過ぎている」
この難点をまた指摘した。
「それでは耳も目もだ」
「養えないですか」
「そうだ、どちらも閉ざしている」
それがマリーだというのだ。
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