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SAO~円卓の騎士達~

作者:エニグマ
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第七十四話 スリーピング・ナイツの秘密

~アスナ side~

アスナ「ーーーー、だからね、回復魔法を使うときは事前にダメージを受けるタイミングを予測して、」

私がランさんとシウネーさんに教えていると、キリト君が入ってきた。

アスナ「? どうしたの? キリト君。」
キリト「いや、アスナ時間平気なのか?」
アスナ「時間? あっ!」

キリト君に言われて時間を確認すると午後の六時二十分。
夕食の時間は六時なのに二十分も過ぎてしまった。

アスナ「ご、ごめん! 私一回落ちるから、適当にくつろいでて!」
ラン「は、はい。」
シウネー「わかりました。」

ログアウトした私は現実の自室にあるベッドで目を覚まし、すぐに身支度を整え、急いでダイニングルームへと入った。

そこでは既に母さんが食事を始めている。

明日奈「お、遅くなって、ごめんなさい。」
京子「・・・次からは気を付けなさい。 橘さん。」
橘「かしこまりました。」

そう言って橘さんが私のご飯を暖め直し始めた。

京子「ところで明日奈。 和人君、と言ったかしら? 彼、今度家に招待してくれないかしら?」
明日奈「へっ? 和人君を?」
京子「そうよ。 一回会って話してみたいの。」
明日奈「う、うん。 分かった。」

しばらくの沈黙の後、ずっと気になっていたことを口にする。

明日奈「ね、ねぇ母さん? あの、閉じ込められる前と雰囲気変わったけど、何か有ったの?」

そう、私がSAOに閉じ込められる前と比べて雰囲気が優しくなったのだ。

京子「そう言えば、まだ話してなかったわね。」

そう言って食事の手を止め、こちらに向いて話し始めた。

京子「あなたが閉じ込められていた時、偶然、高校、大学と同期だった人に会ったの。 と言っても大学の学部は違ったけど。 その人も私と同じように息子が閉じ込められたって言ってたわ。 そこで私は彼にこう言ったの『こんな事で将来を棒に振ることになったらどうするの。』って。 そうしたら、彼は『自分の子が命の危機にあるのに何故、子の安否より将来を気にするんだ。』って。 その時、私はハッとした。 彼の言う通りだったわ。 しかも、その時にあなたに私が引いたレールだけを進ませようとしていたことにも気が付いた。」
明日奈「そ、そんなことが。」
京子「ふふ、それにしても驚いたわ。 あなたが戻ってきたとき、面識の無かったはずの彼の息子と親友になっていて、しかもその子の親友を彼氏にしたのだから。」
明日奈「え? へ? じゃ、じゃあその人って。」
京子「朝霧 仁(あさぎり じん)。 あなたの親友、朝霧 龍也君の父親よ。 世界的な作家。 名前を聞いたことくらいはあるでしょう?」
明日奈「え、ええぇぇぇ!? 龍也君があの有名な朝霧 仁の息子!?」
京子「彼から聞いてなかったの?」
明日奈「だって、龍也君、家族のこと話したこと無いから。」
京子「まぁ、中学から離れて暮らしてて話すことが無いのかもしれないわね。」

こんな感じで談笑しつつ、食事を食べた。
母さんと食べててこんなに楽しい食事はいつぶりだろう。

そして食事を終えた私はもう一度ALOにダイブした。

~side out~

それから数日後

~アーサー side~

驚くほど早く俺達が作ったシステム外スキルをマスターしたスリーピングナイツ達。

そこで、俺は明日を攻略の挑戦日とし、今日は最後の特訓をすることにした。

アーサー「さて、あらかた技術は教え終わった。 最後に一つ。 これは覚えられなくても良いものだが一応教えておく。」

そう言って『ゾーン』と『覇気』を解放する。

アーサー「『ゾーン』と『覇気』だ。 『覇気』の方はお前らが感じてるように相手を威圧するためのもの。 そして一目見ただけでは分かりにくい『ゾーン』は超集中状態の事だ。 『覇気』はボス攻略には必要ないから今は教えないでおく。」

そう言って『覇気』だけを解く。

アーサー「ただ、覚えとけ。 『ゾーン』はその集中力の代償がある。 『ゾーン』を限界まで使うと一気に疲労感が体を襲うから注意しろ。 で、『ゾーン』を使えるようになるには自分自身を極限まで追い込む必要がある。 なので、」

そう言って俺は窓を開き、外に出る。

アーサー「今からここでデュエルだ。 ただし、俺は手加減しない。 精神がズタボロになるまで止めないから覚悟の有る奴だけ来い。」
ユウキ「・・・僕は行くよ。」
ジュン「あぁ、折角教えてくれるんだ。」
ノリ「アタシ等だってこの世界では戦士さ。 だったら強くなる為の試練ごときにビビっちゃあいけない!」
アーサー「へぇ、で、タルケンは?」
タルケン「わ、わわ、ワタクシは、、、や、やります!」
アーサー「よーし! かかって来いやぁ!!」
















二時間と数十分後














アーサー「お疲れさん。」
ユウキ「ッハァ、ハァ。」
ジュン「もー無理。」
ノリ「同感だね。 けど、」
タルケン「これが、『ゾーン』、と言うものですか。」
アーサー「明日は攻略日だ。 今日はもうゆっくり休め。」

それを聞いたスリーピングナイツのメンバー達はギルドホームの中へと入っていった。

アルゴ「ギルマス、頼まれてた件。 分かったヨ。」

そうすると何処からともなくアルゴが現れた。

アーサー「そうか。 結果は?」
アルゴ「完全に黒だネ。 やり口はまず偵察部隊がボス部屋の前で待機し、他のパーティーが挑戦するまで待ツ。 そして、挑戦するパーティーが来たら、そのパーティーにピーピングの魔法をかけて、さらにデバフもすル。 そしてボスの情報が分かったら取り合えず集められるだけの人数をボス部屋の前に集めて他のパーティーが挑戦できないようにブロック、そして全員集まったところでボス攻略って言うやり方ダ。」
アーサー「随分と手の込んだやり方だな。」
アルゴ「全くだネ。 折角ゲームを楽しんで出来るようになったって言うのに、これじゃあ興醒めって奴サ。」
アーサー「まぁ、何にせよ明日は譲れない。 あ、これ依頼料。」
アルゴ「いらないヨ。」
アーサー「いらない!? ・・・明日は槍が降ってくるのか?」
アルゴ「何だヨ、おれッチが金を取らないのがそんなに珍しいカ?」
アーサー「あぁ。」
アルゴ「まぁ、反論出来ないけどサ。 依頼料の代わりに明日、そのギルドに喧嘩売ってくれればいいヨ。」
アーサー「絶対に勝てる喧嘩だけどな。」
アルゴ「じゃ、おれッチはもう行くヨ。 検証しなきゃいけない噂が二つ残ってるんでネ。」
アーサー「お前も大変だな。」
アルゴ「まあネ。」

そう言ってアルゴは飛んでいった。

その夜

アーサー「眠れねぇ。」

何故か目が覚めて眠れない俺はALOへとダイブしていた。

ギルドホームの屋根の上で空を見る。

今夜の天気は晴れ。

月と星が夜空に輝く。

俺は眠れないときはこうして天体観測をしている。

アーサー「お、流れ星。」

流れ星が無くなる前に願いを三回言えれば叶うんだっけ?

仮想世界でも効果はあるのか?

そんな事を考えていると、

ラン「あ、アーサーさん。」
アーサー「よう。 ランも眠れないのか?」
ラン「はい、明日の事を考えているとどうしても目が覚めてしまって。」
アーサー「そうか。」

しばらくの沈黙。

ラン「アーサーさん、今回は本当にありがとうございます。」
アーサー「別に良いよ。」
ラン「こう言ってはアレですが、何で、私達を鍛えてくれたんですか。」
アーサー「何で、ねぇ。 一番の理由はユウキをもっと強くしてからもう一度戦いたかったからかな。 俺からも質問いいか?」
ラン「はい。」
アーサー「正確には質問じゃないか。 お前らのギルド、スリーピングナイツのメンバー全員、病気だろ? それも重度の。」
ラン「・・・何故そう思うんです?」
アーサー「お前ら全員動きがスムーズすぎる。 アミュスフィアでは検知できないレベルの細かいところまでお前らが使っているフルダイブ機器は検知している証拠だ。 アミュスフィア以外のフルダイブ機器は二種類、ナーヴギアとメディキュボイド。 だが、ナーヴギアはSAO事件で使われた一万台しか無く、さらに、SAOにはお前らのような奴等はいなかった。 よって、残ったのは医療用に使われるメディキュボイドって訳だ。」
ラン「ま、待ってください。 SAOには居なかったって事は、あなたは、」
アーサー「あぁ、SAO生還者だ。 加えて言えばウチのギルドの約半数がそれさ。」
ラン「そうですか。 ・・・アーサーさんの言う通り、私達は病気です。 特に私とユウキはエイズです。」
アーサー「エイズ!?」
ラン「はい。」
アーサー「そりゃ、大変だったろうな。 偏見、差別。 色々有ったろ。」

そう言うとランが驚いた顔でこっちを見てきた。

ラン「あなたは、私とユウキを、その、、、、差別、しないんですか?」
アーサー「は? するわけ無いじゃん。 エイズ患者を差別する奴等の気が知れないね。 俺たちはあの世界で必死に生きてた。 だから境遇は違うにせよ、必死に生きてる奴を侮蔑するような事は俺は許せない。」

俺がそう言うと今度は泣き出した。

アーサー「お、おい?」
ラン「すみません、、、、、けど、、嬉しくて。 こんなに、、優しくしてくれる、人は、ギルドの、、、メンバーと先生、、、、、くらいしか、居なかったので。」
アーサー「そうか。」

そして、しばらくそのままでいると、

ラン「っふぅ、、すみません。 こんな情けない姿見せてしまって。」
アーサー「いいさ。 けど、その、エイズって事は、お前とユウキは、死ぬ、のか?」
ラン「いえ、実は現在治療の真っ最中で、半年はかかりますが完治するそうです。」
アーサー「へぇ。 良かったな。」
ラン「はい。 それで、私達以外のメンバーもかなりの重度の病気なんですが、彼らも治療方法があって、全員、完治出来るかも知れないんです。」
アーサー「そうか。 なぁ、完治したときは教えてくれよ。 俺達、ギルドメンバー全員で会いに行くからさ。 約束。」
ラン「はい! 約束です。」

~side out~ 
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