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SAO~円卓の騎士達~

作者:エニグマ
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第五十一話 帰還

~キリト side~

サクラ「アーサー、?」

サクラの静かな声が響く。

オベイロン「くっくっく、彼は私の実験の被験者第一号さ。 彼は今、完全に僕が操っている。 簡単に言えば洗脳したのさ。」
サクマ「てめぇ、!!」
オベイロン「さて、無駄話はここまでとして、ショーを始めようじゃないか。 おい、この侵入者共を狩れ。 ただし殺すな。 手足を切って動けなくしろ。 十秒後にスタートだ。」

そう言うとオベイロンはメニューを操作する。
すると俺にかかっていた重圧が消える。
どうやらサクマ、シンタロー、コジロウ、ユージオ、アリス、サクラも同じようだ。

すぐに武器を取り、須郷を攻撃しようとするが、

オベイロン「スタートだ。」

アーサーが俺の攻撃を弾く。
アーサーの武器は龍爪剣だ。
SAOの時の筋力値は健在。
その結果

キリト「ぐぉっ!」

俺は吹き飛ばされた。

オベイロン「そうそう、言い忘れていたが、現在、痛みを感じるようになっている。 君達だけでは無く、彼もさ。 言いたい事は、分かるよねぇ。」

つまりはアイツを攻撃すればアイツも痛みを感じると言うこと。

サクマ「この、ゲスが、!!」

アーサーがサクマを攻撃する。
サクマは受けるが筋力値の差が開きすぎていて、吹き飛ばされる。

オベイロン「レベル3以下なら現実でも影響が出るらしいけど、今、ベットで横になっていて、かつ、衰弱してる彼なら、レベル4でも後遺症は有り得るんだよねぇ。」

アーサーは一番近くにいる奴を手当たり次第に攻撃していて、動きは簡単に読める。
それでもその圧倒的な筋力値のせいで劣勢だ。

キリト「どうすれば良いんだよ。 ・・・?」

その時、俺は気付いた。
サクラだけが攻撃を喰らっていない。

キリト「どういう事だ?」

俺が一瞬考えて隙が出来たとき、アーサーに転ばされ、馬乗りにされる。

キリト「しまった!」
アーサー「・・・・・・」

アーサーが黙って武器を振り上げる。
と、思ったらすぐにそこを退いた。
サクマが助けに来てくれたのだ。
そして、シンタローがアーサーを糸で止める。

サクマ「ボヤボヤしてると殺られるぞ!」
キリト「悪い。 にしても、どうすりゃ良いんだよ。」
『聞こえるかね? 私だ、茅場だ。 そのままで聞いて欲しい。 今、君達だけに聞こえるように話している。 アーサー君だが、須郷君は完全に洗脳したと言ったが、まだ、完全にアーサー君の意識は死んではいない。 今もシステムに抗い続けている。 何か切っ掛けさえあれば一時的にだが彼自信の意思で動けるようになる筈だ。 その切っ掛けを探し、彼の動きが止まったときに仮面を破壊したまえ。 それで洗脳はとけるはずだ。 須郷君のGM権限については後で対策法を教える。 まずはアーサー君を。』

そう言って茅場の声が聞こえなくなった。

キリト「切っ掛け、そうだ。」
サクマ「何かあるのか?」
キリト「サクラだ。 さっきからアーサーはサクラだけは攻撃してない。」
サクマ「なるほど、けど、サクラをどうするんだ?」
キリト「それなんだよなぁ。」

と、その時アーサーが糸を切り、シンタローの片手剣を弾き飛ばした。
シンタローは急いで距離を取るがそれも只の時間稼ぎにすぎない。
かといって、俺達では間に合わない。

キリト「シンタロー!」

アーサーの剣の先がシンタローへと向かっていく。

サクラ「もう、止めてー!!」
シンタロー「サクラ!?」

シンタローとアーサーの間にサクラが入っていった。
そして、そのままサクラに剣が当たるかと思ったとき、アーサーの動きが止まった。

オベイロン「バカな! まだそんな抗う力があったのか!?」
アーサー「・・・抗う、力、だと・・・! 笑わせんじゃ、ねぇ。 これは、俺の、体、だ。 他の、誰にも、操られは、しない・・・!!」

苦しげだがアーサーが喋った。

サクラ「アーサー、そのまま、動かないで!」

サクラが片手剣でアーサーの仮面を破壊する。

アーサー「くっ、」

アーサーが地面に膝を付くが、それをサクラが支える。

アーサー「ッハァ、ハァ、皆、すまない。」
サクラ「ううん、アーサーは悪くないよ。」
オベイロン「このっ、役立たずがぁ!」

俺達の体に再度、重圧がかかる。

アーサーは持ち前の筋力値で何とか立ったままだが、正直、もう限界に近い。

オベイロン「僕に逆らう奴は、全員死ね!」

須郷の手から白い魔弾が発射される。
それはアーサーへと迫っていく。
もちろん、アーサーもそれを避けるが、その魔弾は着弾点で爆発した。

アーサー「があぁっ!」

アーサーが吹き飛ばされる。
どうにかしなければ、そう考えたところでまた茅場の声が聞こえてきた。

『どうやらアーサー君は洗脳から解放したようだな。 では次だ。 須郷君のGM権限への対処法だが、私のIDを使いたまえ。 彼のIDよりも上の権限を持つ。 それを使えば彼のGM権限を剥奪できる。 こう唱えたまえ。 「システムログイン、ID『ヒースクリフ』、パスワード、*********」』

キリト「システムログイン、ID『ヒースクリフ』、パスワード、*********」

複雑な英数文字の羅列を唱え終えた途端、俺を包んでいた重力が消滅した。

オベイロン「なに、!? 何だそのIDは!!??」

須郷は驚愕の声を上げるとアーサーへの攻撃を止め、後ろに飛び退き、システムウインドウを出現させる。
俺は奴より速くコマンドを唱えた。

キリト「システムコマンド、スーパーバイザー権限変更。 ID《オベイロン》をレベル1に。 さらに現在使われている魔法を無効化。」

須郷の手からウインドウが消滅した。
そして、俺の後ろで俺の仲間達が立ち上がる。
須郷は苛立ったように左手を振った。
しかし、何も起こらない。
妖精王の力が消滅した。

オベイロン「ぼ、僕より高位のIDだと!? 有り得ない、有り得ない、僕は支配者、創造者だぞ、この世界の帝王、神。」

甲高い声で須郷は捲し立てた。
俺は醜い顔に視線を向け、言った。

キリト「そうじゃないだろ? お前は盗んだんだ。 世界を。 そこの住人を。 盗み出した玉座の上で、一人踊っていた泥棒の王だ。」
オベイロン「こ、このガキ、僕に、この僕に向かってそんな口を、後悔させてやるぞ、その首すっ飛ばして飾ってやるからな。」

須郷は俺に人差し指を突き付け、金切り声を上げた。

オベイロン「システムコマンド!! オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

だがシステムは須郷の声には応えなかった。

オベイロン「システムコマンド!! 言うこと聞けこのポンコツがッ!! 神の、神の命令だぞ!!」

俺が後ろに目を向けるとアーサーとアーサーを支えてるサクラ以外は全員武器を手に持っている。
俺は目で全員に俺の意思を伝えると全員が頷いて武器をしまってくれた。

キリト「システムコマンド!! オブジェクトID《エクスキャリバー》をジェネレート!!」

俺の手の中に一本の剣が形を作った。
美麗な装飾を施されたロングロード。
間違いなく、ヨツンヘイムの中心部の尖端に封じられていた、最強の剣だ。
たった一言のコマンドで、最強の武器を召喚出来るとはな。
ロングソードを須郷の足許投げた。
床に転がったままの剣の柄頭を強く踏むと、剣は音を立てて、回転しながら垂直に飛び上がった。
落ちてくる剣の柄に向け、右手を横薙ぎに振る。
重い響きと共に、剣が手の中に収まる。
純白の片手剣の刀身を須郷に向け、言った。

キリト「決着を付ける時だ。 泥棒の王と鍍金の勇者の。 システムコマンド、ペインアブゾーバーをレベルゼロに。」
オベイロン「な、なに?」

俺の言葉を聞き、須郷は二、三歩、後退く。

キリト「逃げるなよ。 あの男は、どんな場面でも臆したことはなかったぞ。 茅場晶彦は、」
オベイロン「か、かや、」

須郷はその名を聞いた途端、顔を大きく歪めた。

オベイロン「茅場、ヒースクリフ、アンタか! またアンタが邪魔をするのか!! なんでいつも僕の邪魔をするんだよ!! アンタはいつもそうだよ、いつもいつも!! いつだって何もかも悟ったような顔しやがって、僕の欲しい物を端から攫って!!」

須郷は更に叫んだ。

オベイロン「お前みたいなガキに、何が、何が解る!! アイツの下に居るってことが、アイツと競わされるのがどういうことか、お前に解るのかよ!?」
キリト「ああ、解るさ。
俺もあの男に負けて家来になったことがあるからな。 でも、俺はあいつになりたいと思ったことはないぜ。 お前と違ってな。」
オベイロン「ガキが、このガキが、ガキがぁぁああ!!」

須郷は悲鳴と共に地を蹴り、剣を振り下ろしてきた。
俺は一歩踏み込み、その間合いに入り、軽く剣を一薙ぎした。
須郷の頬に剣が掠めた。

オベイロン「いたッ」

須郷は頬を抑え、飛び退った。

オベイロン「痛い、痛いだと!!??」

この男は二ヵ月に渡り、アスナとアヤノを鳥籠の中に閉じ込めていた。
それだけでは飽き足らず、アーサーまでにも手を出した。
俺はこの男を許さない!!
怒りの炎は更に燃え上がった。
大きく踏み込み、須郷の両の手を斬り飛ばした。
次いで、肩から斜めに切り裂く。
両の手首は高く飛んで、暗闇の中に溶けていった。
澄んだ落下音が響いた。
だが、足りない、足りるはずがない!!

オベイロン「アアアァァァアアアッッッ!! 手が、僕の手があああぁぁぁあああ、体があああぁぁぁあああッッッ!!」

須郷は、床にごろごろと転がっている。

オベイロン「ヒギィィィイイイッッッ!!」

俺は須郷の髪を掴み、持ち上げてから、剣を力任せに薙ぎ払った。
須郷の胴は、振られた剣により真っ二つになった。
下半身は、白い炎に包まれ消滅した。

オベイロン「グボアアァァアアッッ!!」

上半身だけになった須郷を、左手で持ち上げた。
見開かれた両目からは、涙を流し、口をぱくぱくと開閉させていた。
左手を大きく振って、須郷の上半身を垂直に投げる。
耳障りな絶叫を撒き散らしながら、落ちてくるモノに向かって、剣を真上に突き立てた。

キリト「うおおぉぉおお!!」

俺は全力で剣を撃ち込んだ。
刀身が須郷の右眼から後頭部へ抜け、深々と貫いた。
ペインアブゾーバーをゼロに設定してあるので、凄まじい痛みが襲っているはずだ。

オベイロン「ギャアアァァァアア!!」

数千の錆び付いたような歯車を回すような、不快なエフェクトの掛かった悲鳴が暗闇に響き渡った。
剣を挟んで左右に分断された右眼から、粘りある白い炎が噴き出し、それがすぐに頭部から上半身に広がり、悲鳴を上げながら消滅していった。
須郷は、燃え尽きるまで途切れることなく叫び続けていた。
静寂が戻ると、左右に剣を払い、背の鞘に戻した。

サクマ「終わったな。」
キリト「あぁ。 アーサーは平気か?」
アーサー「・・・寝させてくれ。」
キリト「分かった分かった。 けどその前に、茅場。」

俺が空中に向かって呼ぶと、ポリゴンが集まり、一人の人間を造り出した。

茅場「呼んだかね?」
キリト「あぁ。 アイツは?」
茅場「須郷君の事かね? なら心配はいらない。 私が君達に話しかけた時にはすでに実験の全データをコピーし終えた所だった。 ファイアーウォールが少し堅かったがね。 今はそれを菊岡君に送ってそれを元に警察に動いて貰うのを待っている状態だ。」
キリト「じゃあ、次、どうやったら直ぐにログアウト出来る?」
茅場「君に貸したGM権限なら何時でも何処でも即時ログアウトが可能だ。」
アスナ「あ、実験体にされてた人達は?」
茅場「それは今から取り掛かろうと言うところだ。 ものの十数分で意識は回復するだろう。」
キリト「そうか。」
茅場「では私は戻る。 まだやるべき仕事が残っているのでね。」

そう言うと茅場は消えた。

キリト「じゃあ、ログアウトさせるから。」
アーサー「あぁ。」
サクラ「アーサー、私が行くまでは起きててよ?」
アーサー「了解。」

俺はGMメニューを操作し、アーサー、アスナ、アヤノ、その他俺以外をログアウトさせた。

キリト「ユイ、ストレア、いるのか?」

俺が呼ぶと、眼前の空間に光が凝縮し、音を立てて黒髪の少女と紫髪の少女が姿を現した。

ユイ「パパ!!」
ストレア「キリト!」

ユイは叫んでから、俺の胸の中に飛び込んで来た。

キリト「無事だったか。 よかった。」
ユイ「はい。 突然アドレスをロックされそうになったので、ナーブギアのローカルメモリに退避したんです。 でももう一度接続してみたら、パパもママも皆さんも居なくなっているし、心配しました。 ママとアヤノさんとアーサーさんは?」
キリト「ああ、戻ったよ。 現実世界に。」
ユイ「そうですか、よかった、本当に。」

ユイは、俺の胸に頬を擦り付けた。
俺はユイの黒髪をそっと撫でる。

キリト「また、すぐに会いに来るよ。 でも、どうなるんだろうな、この世界は。」

俺が呟くと、ストレアはニッコリ笑って、言った。

ストレア「私達のコアプログラムはここじゃなくて、キリトとアーサーのナーブギアにるよ。 何時でも一緒。」
キリト「そうか。 そうだよな。 じゃあ、俺は行くよ。 ママを迎えに。」
ユイ「はい。 パパ、大好きです!!」

うっすらと涙を滲ませ、力いっぱい抱き付くユイの頭を優しく撫でながら、左手を振った。
この世界はどうなってしまうのだろうか。
ALOプレイヤーたちが愛した世界は。
俺は、ユイの頬に軽く唇を当て、ゆっくりとログアウトボタンに触れた。
放射状の光が視界に広がり、意識を包んで、高く運び去っていった。

頭の芯に深い疲労感を覚えながら瞼を開けると、目の前に直葉の顔があった。
心配そうな表情で俺の顔を覗き込んでいたが、目が合うと慌てたように体を起こした。
俺もナーブギアを外し、ゆっくりと上体を起こす。

直葉「ご、ごめんね、勝手に部屋に入って。 なかなか戻ってこないから、心配になって、」
和人「遅くなって、ごめんな。」
直葉「全部、終わったの?」
和人「ああ、終わった。 何もかも。 でだ。 俺は今から病院に行くんだが、直葉はどうする?」
直葉「ううん、また今度にするよ。 こんな夜中に大人数で行ったら怒られちゃうでしょ?」
和人「それもそうだな。 じゃあ、行ってくる。」
直葉「うん。 いってらっしゃい。」

病院の駐輪場に自転車を停め、もどかしく俺は入口に走った。
そこで偶然、桜さんとシンタローと合流した。
パーキングを横切り、濃い色のバンと、白い車の間を通り抜けようとした、その時であった。
俺は後ろから走り出て来た人影と、衝突しそうになった。

和人「あ、」

すいません、と言いつつ身を躱そうとした俺の視界を、金属の輝きが横切った。
俺は左腕を上げて、それを受け止めた。

和人「ッ!?」

直後、俺の左腕に鋭い痛みが走った。
咄嗟に上げた左腕に、金属の刃物が少しだけ食い込んでいた。
俺の腕から赤い鮮血が流れ出した。
俺は黒い影を凝視した。
黒いスーツを着た男だ。
次いで、腕に食い込んでいる物を見た。
大ぶりなサバイバルナイフだ。
殆ど囁き声のような、しがわれた声が流れた。

須郷「遅いよ、キリト君。 僕が風邪を引いちゃったらどうするんだよ。」

その声は、キーの高い、粘り気がある声であった。

和人「す、須郷。」

数日前に相対した時は、丁寧に撫で付けられた髪が、激しく乱れている。
尖った顎には、髭の翳が浮き、ネクタイは殆どぶら下がっているだけだ。
左眼は限界まで開かれ、瞳孔が細かく震えているが、右目は小さく縮小したままだ。
サバイバルナイフを携えていない手で、肩のあたりを押さえている。
俺の剣が貫いた場所と、切り裂いたのがまさにその場所だった。

須郷「酷いことをするねぇ、キリト君。 まだ痛覚消えないよ。 まぁ、いい薬が色々あるから、構わないけどさ。」

スーツのポケットから幾つかの薬を取り出し、口の中に放り込む。
音を立てながら噛み砕き、須郷はナイフを離した。

俺の隣にいたシンタローが喋った。

シンタロー「須郷、お前はもう終わりだ。 大人しく法の裁きを受けろ」
須郷「終わり? 何が? 何も終わっていないさ。 まぁ、レクトはもう使えないけどね。 僕はアメリカに行くよ。 僕を欲しいっていう企業は山ほどあるんだ。 僕には、今までの実験で蓄積した膨大なデータがある。 あれを使って研究を完成させれば、僕は本物の王に、神に、この現実世界の神になれる。」

この男は狂っている。
いや、遥か昔から壊れていたのだ。

須郷「その前に、幾つか片付けることはあるけどね。 とりあえず、君達は殺すよ。」

表情を変えず、ボソボソと喋り終わると、須郷は歩み寄って来た。

???「これ以上私の弟子に、手を出すな。」

誰かが須郷の手首を掴んだ。

???「和人、桜のお嬢さん、とそこの知らない奴。 さっさと行け。」
和人「は、はい!」
須郷「な、なんだ!? お前は!」
???「貴様ごときに教える必要はない。」

そう言うとその人は須郷を気絶させた。

俺達は病院の中に入ると、近くにいたナースに話し掛けた。

桜「ナースさん! 外に暴漢がいます! ナイフを持っています!」

それを聞いたナースは急いで内線で警備員を呼び、自分もその場所へ向かった。
「ここで待ってて!」と言われたが生憎と待ってる気は更々無い。
俺はナースステーションに入り、来入者用のカードキーを三つ取ってきた。

和人「行くか。」
シンタロー「そうだな。」

俺達はエレベーターに乗り込んだ。
乗っている間。

シンタロー「さっきのアレは誰なんだ? 知ってるみたいだったけど。」
和人「俺達の師匠だよ。 あの人、剣道以外にも色々と武術やってるみたいだから、いても邪魔なだけ。」
シンタロー「ふーん、師匠、ねぇ。」
桜「若いときは世界中のあちこちを旅してたんだって。 米軍とかにも友人がいるらしいよ。」
シンタロー「へ、へぇ~。」

その時、龍也の病室のある階についた。

桜「じゃ、私は行くね。」
和人「あぁ。」

桜がエレベーターから出て、ドアが閉まる。

~side out~

~桜 side~

私はエレベーターから出ると急いで目的の場所に向かう。
本来は走ることは厳禁である病院の廊下。
だけど、今は、今だけはそれを忘れてしまうほどに気持ちが先走っていた。

そして、目的の病室の前につく。
そこに書いてあるのは《朝霧 龍也》。
それは私の一番大切な人の名前。

桜「すぅー、はぁー、、よし。」

一つ大きく深呼吸をして、ドアを開ける。

中に入ってすぐにベットの上を確認する。
居た、ちゃんと居てくれた。

龍也「よぉ、桜、さっきぶり。」
桜「龍也、龍也ぁ~~!」

私は彼に抱き付くとそのまま泣き出してしまった。
龍也は私を支えきれずにそのまま倒れてしまった。

桜「寂しかった。 怖かった。 龍也がこのまま目覚めないままなのかと思っちゃった~!」
龍也「本当に、心配かけてゴメンな。」

彼は私をそっと優しく抱き締めてくれた。

龍也「俺はギルドマスターとして失格だな。 仲間に心配かけて、迷惑かけて、傷つけて。 けど、それでもやっぱり桜が居ればそれで良い。」
桜「うん。 私も、龍也が無事で居てくれれば良かった。」
龍也「・・・悪い、桜。 眠くなって来ちまった。」
桜「私も、ホッとしたら眠くなってきた。 お休み、、、龍、や。」
龍也「あぁ。 お休み。」

私達はそのまま眠ってしまった。

~side out~

~和人 side~

俺は明日奈の病室に入った。
病室の中央は、大きなカーテンで仕切られている。
俺はカーテンの前まで移動し、手を伸ばし、カーテンを掴み、引く。
そこには診察衣を纏った少女が、ベットの上で上体を起こし、こちらを見ていた。
ナーブギアは外されており、少女の傍らに置いてある。

和人「明日奈。」
明日奈「キリトくん。」
和人「全部、全部終わったんだ。」
明日奈「そう。 ただいま。 そして初めまして。 私の名前は結城 明日奈です。」
和人「俺の名前は桐ケ谷 和人です。 お帰り、明日奈。」

~side out~

~シンタロー side~

俺は文乃の病室に入った。

文乃「・・・シンタロー?」
シンタロー「あぁ。 俺だ。」
文乃「ふふっ、やっぱり。 ただいま。 シンタロー。」
シンタロー「あぁ。 お帰り。」
文乃「本当にシンタローは私のヒーローだよ。」
シンタロー「それなら、文乃は俺にとってのヒロインだ。」

~side out~ 
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