Blue Rose
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第二十四話 世界の外その十
「長崎での生活をはじめます」
「そうしてね、楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
「ここでの生活もね、それと」
「それと?」
「女の子とのお付き合いがメインになるから」
「そうですね、性別が変わるから」
このことにはじめて、気付いた。優花も。実はこのことまで考える様な余裕もなく今言われて気付いたのだ。
「これまでとは全く違って」
「女の子とのお付き合いが主になってね」
「女の子のお友達が多くなりますね」
「殆どがね」
まさにというのだ。
「女の子とのお付き合いよ」
「女の子と」
「怖い面も多いから」
女のその面もとだ、副所長は優花に話した。
「気をつけてね」
「そうしたお話は聞いています」
優花にしてもだ、それは誰から聞いたかというと。
「姉さんから」
「そうね、けれどね」
「聞くのと経験するのは違いますね」
優花は自分に言い聞かせる様にして言った。
「そうですね」
「そう、全く違うわ」
「その違いもですね」
「経験してね、同世代の娘達とのお付き合いも」
副所長の言葉は優しかった、だがそれと共に厳しい現実もあった。
「よく聞いてわかったうえで」
「そうしてですね」
「色々なことを知ってね」
「男の子の目から見る時と違いますね」
「身近、自分と同じものを見るものだからね」
「その分がですね」
「そう、違うから」
だからだというのだ。
「女の子から見た女の子はね」
「僕ずっと女の子とは仲がよかったですけれど」
元々中性的だったので女子にも友人が多かったのだ、その時に受ける印象はあくまで男子としてのものであったが。
「距離があったんですね」
「性別の垣根がね」
「その垣根が大きいんですね」
「かなりね」
実際にというのだ。
「だからね」
「そのことも頭に入れて」
「やっていくのよ」
「わかりました、そうしないと駄目なんですね」
「これからはね」
「凄く難しいですね」
「難しいわ、そして怖さは」
女のそれはというと。
「知っても何もね」
「何もですか」
「驚かないでね」
そうすべきだというのだ。
「怯えることもしないでね」
「それだけ凄いんですね」
「男の子の世界とはまた違うの」
同じ学校、しかも同じクラスにあってもというのだ。
「性別の壁が見えなくても確かにあってね」
「それで僕が今まで見えなかったものがですね」
「見えるようになるから」
「だからですか」
「その時に怖さを知るわ」
女の世界、そして女自身のそれをというのだ。
「これ以上はないまでに怖いから、けれどね」
「その怖さからですね」
「逃げないでね」
そうして欲しいという言葉だった。
「そうしてね」
「逃げないことですか」
「具体的に言うといじめもあるから」
「いじめですか」
「男の子の中のいじめより酷いわよ」
女の世界のそれはというのだ。
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