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平成ライダーの世界

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第十章

 ここで木場勇治を書くべきなのでしょうがまずはライダー達を優先して書かせてもらいたいと思います。ファイズのもう一人の主人公である木場も勿論ライダーになっていますがそれよりもそれぞれのベルトの正装着者とされているキャラクター達からです。その順番から彼になります。
 草加雅人ですが彼は主人公のライバルであり戦友であり敵でありました。オルフェノクに一度殺されその時に園田真理の血で手が汚れたことから非常に歪で潔癖症の人間になりました。初期には彼がやたらウェットティッシュで手を拭く場面がありました。
 彼は一見するとスポーツ万能で指導力もある大学生です。しかし自分を嫌う者は謀略を使ってでも排除しようとします。そしてオルフェノクを強く憎悪しています。
 そうした意味で彼は人間の側に立っていますが結果としてそれは彼が人間というものがわかっていないということにもなります。何度も申し上げますがオルフェノクもまた人間だからです。その歪な謀略家ぶりでストーリーを動かす人間の一人になり真理に偏執狂的な愛情も見せます。あくまでオルフェノクを倒し真理だけを護ろうとします。その為に戦っていると言っても過言ではありませんしその行動もそこから来ています。
 僕は基本的に平成ライダーのキャラクターでは嫌いな人間はこのファイズでは澤田亜季、前述の龍騎の東條、そしてダブルの井坂しかいません。レギュラーと言っていいキャラではこれだけです。つまり草加は特に嫌いではありません。その為彼の人間性といったものについても批判的には書いていないつもりです。
 彼は自分を人間だとしていましたがオルフェノクの因子を埋め込まれています。そうした意味ではデルタの正装着者となった三原修二と同じです。しかし彼は装着すると灰になってしまうカイザのベルトを身に着けることになります。そしてそれで何ともありませんでした。おそらく彼は肉体的にかなりオルフェノクに近かったと思います。だからこそオルフェノクでなければ装着すれば灰になるカイザのベルトを操ることができたのでしょう。しかし彼はあくまで自分を人間として動いていました。
 彼は確かに乾を陥れようと何度も策を巡らせますが戦うパートナーとしては認めています。その為見事な連携も見せています。この辺りの関係はかなり微妙です。そして重要なことは彼が本気で乾を殺そうとしたのは彼が流星塾の集まりを襲いそこで自分や真理達を殺したのではないかと思った時です。そして彼がオルフェノクとわかった時も驚きはしましたが殺してはいません。ここが重要だと思います。
 彼は戦い続け遂には死んでいます。しかしライダーは何度死んでもスサノオと戦い続けなくてはならないのです。それはライダーマンから、いえ原作の本郷猛から定まっていることであり彼もまた蘇って戦っているのは間違いありません。ヒーローショーでは実際に生き返って戦っているからです。ヒーローショーではオルフェノクになったかも知れないとも言われていますが結果としてそれは彼にとって大したことではないと思います。彼もまた人間としてスサノオと戦わなくてはならない、永遠の時を戦わなくてはいけないライダーだからです。
 先に名前を出させてもらったデルタの正装着者三原修二ですが彼は基本的に戦いに向いていません。戦闘力も高くありませんし性格的にも向いていません。闘争心が低いです。しかし彼は乾や草加の戦う姿を見てそのうえで戦場に向かう決意をします。彼は装着者の闘争心を高めるデルタには向かないところがあったかも知れません。それ以上に本質的に戦うべき人間ではなかったのでしょう。 
 しかし流星塾に入ったこと、そして多くの戦いを見て来たこと等からデルタのベルトを装着することになっていきます。これは運命的だったと思います。
 そして彼はヒーローショーで乾、草加と共に王を倒しています。三本のベルトは王を倒すべきものであり彼はその王を倒すべき戦士の一人だったのです。そうなったのはやはり運命です。
 彼は最初から最後まで人間でした。これはいい意味においてです。保育士として働いているのは自分みたいな境遇の子供がこれ以上いて欲しくないからでした。そして演じておられた原田篤さんの御言葉によれば普通の人間が急に戦うようになれば戸惑うが三原は戦った、三原は強い人間だと仰っています。確かに彼は戦っていますし勇気も見せています。そうしたことも考えますとやはり彼もまたライダーになるべき人物だったのです。
 そしてライダーになるべきだった者とオルフェノクの姿を受けるべきだった者もいます。そうした意味ではオルフェノクである乾も因子を持っている草加や三原、そして真理達も同じですがここでは木場や長田結花、それに海堂直也がそれになるでしょう。
 まず木場ですが彼は恋人に裏切られそのうえ親の会社も奪われ人に裏切られることを恐れるようになっています。この感情はそのまま人間が持つ感情です。そしてオルフェノクであっても人間と同じになろうと思っていました。しかしこれはそもそもが間違いでした。何故ならオルフェノクも人間だからです。それをわかっていないのはどのキャラクターも同じですが彼もまたそうでした。
 その結果乾とお互い知らないうちに何度か対決し互いのことを知ってからも対決していく中でも同じで最後まで人間とは何か、オルフェノクは何かがわからないままでした。最後には完全に道を誤ってしまっていました。
 そうした意味で非常に振り幅が大きい人物です。しっかりとした考えを持っているようで自分の考えはなかったふしがあります。そうした意味で彼は後述の海堂よりも不安定な存在した。
 ヒーローショーの後も生きているのは間違いないようです。おそらく彼も戦い続けているのでしょう。その時にはもう自分が戦うべき相手、そしてオルフェノクとは何かもわかっているでしょう。彼の戦いはオルフェノクを巡るものではなくスサノオと戦うものなのです。ベルトはオーガ、若しくはサイガではないかと思っています。
 次には長田ですが彼女は非常に辛い立場で育ってきました。家の中では虐待され学校では虐められてです。そして一旦死んでしまいます。
 小説ではその境遇の為に失語症にもなっています。こうしたあまりにも過酷な状況な中でオルフェノクとなりまずは自分を虐めていた学校の生徒達を殺します。小説版では家族も殺しています。彼女のはじまりは陰惨なものでした。 
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