Three Roses
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第十四話 同じ父を持ちその十二
「その敵の方が先に死に、だ」
「ロートリンゲン家の方だけが生き残る」
「そうしたことが常ですね」
「それ故に生き残ってきた」
「その面は確かにありますね」
「そうしたことを見てもだ」
ロートリンゲン家の長寿、それもだ。
「やはり長く生きてこそだな」
「はい、まさにそうですね」
「何といいましても」
「人は長寿が第一です」
「長生きしてこそですね」
側近達も言う。
「ことを果たせる」
「そして玉座を維持出来ますね」
「ならば私もだ」
王もというのだ。
「長生きせねばな」
「ではご滋養にも務めて下さい」
「是非共」
「東西の霊薬も飲まれ」
「そのうえで」
「そうしよう、酒も控え医師の言う通りにだ」
さらにと言う王だった。
「乗馬や剣術で汗も流としよう」
「運動もされますか」
「そちらも」
「何でもそれも健康にいいらしい」
汗を流すこともというのだ。
「だからな」
「では日々ですね」
「汗を流すことも行われますか」
「乗馬や剣術で」
「そうもされますか」
「そして身体にいいというものも食しよう」
霊薬だけでなくだ。
「とかくだ」
「滋養に務められますね」
「そうされますね」
「これからは」
「そうする、それとだが」
王は話題を変えた、今度の話題はというと。
「また黒死病が起こったそうだな」
「はい、異教徒の国で」
「それが大陸にも及んでいるとか」
「多くの異教徒が倒れたそうです」
「そうか、黒死病は国を越える」
そうした病であることもだ、王はわかっていた。それで側近達に対してこうしたことを言ったのだった。
「あの病についてもな」
「はい、耳を立ててですね」
「この国に来るかどうか」
「それも調べておきますか」
「無念であるのはだ」
王にとってそうである理由、黒死病に関してのそれはというと。
「あの病はどうして収められるかがわからないことだ」
「古来より度々起きて、ですね」
「多くの者の命を奪っていきます」
「どうして出て来てどうして収められるか」
「全くわかりません」
「それがだ」
実に、というのだ。
「口惜しい」
「教会は悪魔の仕業といいますが」
「異教徒達が広めたとの飛語もありましたが」
「それは全て偽りだ」
悪魔や異教徒の可能性はだ、王は否定した。
「確かに神がおられ天使も悪魔もいるが」
「それでもですね」
「あの病は悪魔の仕業ではない」
「また別のものですね」
「ましてや異教徒、魔女やそうした者達の仕業でもない」
そうした可能性は全て否定した言葉だった、王は聡明な目になってそのうえで側近達に対して話をした。
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