| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

カードファイト!!ヴァンガードG ネクステージジェネレーション

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

turn:13 綺場ミツキ

 
前書き
いつも元気で明るいミツキ
幼いながらモデルとしての仕事もこなす彼女
彼女が事務所に入ったばかりのころ、支えてくれた優しい人物がいた
心から慕っていたその人が事務所を辞めることを知ったミツキ
どうしていいかわからず思い詰めてしまう 

 
カードキャピタル二号店
ミツキはこの日近くで撮影があったこともありこちらを訪れていた
「やったー!また私の勝ちー!」
両手を上げて喜ぶミツキに対して負けて頭を抱えるツネト
「っかぁ!ミツキちゃん強いなぁ」
「えへへ、ありがとうございます」

Turn:13 綺場ミツキ

「あいつこれで五人抜きだぜ」
ファイトを見ていた周りの客がざわつく中ミツキはトコハに声をかけていた
「今日はミライさんたちいないんですね」
「うん、地区大会が近いからね、いろんなところのショップ大会に出て備えてるみたい」
トコハの話を聞いてミツキは自分のファイカを見つめる
彼女のファイカもタイガと同じグレード2、モデルの仕事が忙しくあまりクエストを受けられないことが影響していた
本当は自分だって大会に出てみたい、だがそれ以上にミツキはモデルの仕事に誇りを持っていた
「こんにちは」
そんな中店に彼女の母、アムの姿が
「お母さん!」
その姿を見つけすぐさま駆け寄るミツキ
「やっぱりここにいたのね、もう時間も遅いし迎えに来たのよ」
「アム、久しぶり」
そんなアムにあいさつを交わすトコハ、二人は中学時代からの親友だ
「久しぶりトコハ、そっちも相変わらず元気そうね」
そのことに気付いたアムもまたレジにいるトコハの近くへと歩み寄った
「シオンは元気にしてる?」
「忙しい合間を縫って何とか時間を作ってはくれてるわ、まあ、それは私もなんだけど」
そう言ってそばにやってきたミツキの頭をなでるアム
「この子は本当イイ子に育ってくれてるけど、ハジメの方は気が強くて、誰に似たんだか」
アムが冗談交じりにそう話しているとトコハが訝しげな眼でアムの事をじっと見つめていた
「って!なによその眼!」
「ねえねえ、せっかくだからママもファイトしていこうよ」
「えー、晩御飯の支度しなきゃいけないんだけど、今日は久しぶりにお父さんも帰ってくるし」
「私も手伝うからさ」
駄々を捏ね始めた娘にわざと困ったようにするアム
だがミツキの言葉に仕方なく折れたといった感じでファイトテーブルに向かう
「で、誰が相手してくれるのかしら?」
「はーい!わたしがやりまーす!」
「クミちゃん頑張れー」
ファイトテーブルが盛り上がってる中ミツキは携帯が鳴っていることに気付いた
「もしもし………えっ!?」

「ミツキのやつどうしたんだ?」
仕事で忙しい父が帰宅していることもありこの日は家族そろっての夕食
にも拘らずミツキはどこか元気がない
いつもは元気すぎるぐらいでよく世話を焼いた母の親友の影響ではないかと思うくらいなのだが
「ショップまで迎えに行ったときは元気だったんだけど………」
「なんかあったのか?」
既にミツキは寝室で一人眠りについていた
そして思い出していた、モデルになったばかりの事を

「ん?」
翌日カードキャピタル3号店でタイガがクエストを探していると突然声を上げた
「どうしたの?」
店の手伝いのためエプロンをしていたメグミがタイガの様子に気付いて歩み寄る
「おい今は一つもクエスト落とせないんだぞ?妙なもん気にしてる暇があったら」
「いや、ミツキがクエストを出してるんだ」
タイガの言葉を聞いてハジメも立ち上がってクエストボードを見つめる

依頼者:綺場ミツキ【2】
クエスト名:どうすればいいんでしょう
仲のいい人が引っ越すことになりました
その人のために何してあげたらいいのかわかりません
どなたか相談に乗ってください

公園で一人ブランコを揺らしながら事務所に入ったばかりの時のことを思い出していた
まだ幼く新人だった彼女は同じ事務所の先輩たちにファイトを挑もうとしても勇気が出せなかった
そんな自分に手を差し伸べてくれた優しい人

事情を聞いたタイガは一人で唸っていた
「つまり、その仲のいい人っていうのは事務所の先輩か?」
タイガの問いかけに黙ってうなずくミツキ
「でも、なんで急にそんなことになったのかわからなくて」
「だったら聞きゃいいだろ………こいつで」
そう言って自分のファイカを見せるタイガ
「………そっか、そうだよね!ね!タイガさん!見届けてくれる」
「そういうクエストだしな」
いつもの調子を取り戻し勢い良く立ち上がるミツキ
タイガはそんなミツキを見て小さく笑う

カードキャピタル三号店のファイトテーブルの前でデッキを手に一人待つミツキ
やがて一人の女性が入ってきたのを見て安心したように笑顔を見せた
「待ってたよ、アズサさん」
彼女の名前は柊アズサ、高校生の時からモデルを始めたベテランでミツキとは同じ事務所の先輩後輩
「ミツキ、話があるってことだったけど………」
デッキを手に取るミツキとその真剣な表情を見てアズサは小さく笑う
「そういうことね、いいわ、このファイト受けてあげる」

二人がデッキをシャッフルしているとミツキがアズサに声をかける
「一つだけ教えて、事務所を辞めるって本当なの?」
ミツキの問いかけを聞いてアズサは目を見開くと
「本当よ、もう話は済ませたわ」
「どうして?アズサさんならもっと続けていけるはずでしょ?」
「歳を理由にするつもりはないわ、もういいでしょ、始めましょう」
落ち着いた様子のアズサを見て納得がいかないミツキだったが今は目の前のファイトに集中することに
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」

惑星クレイ、ユナイテッドサンクチュアリの白亜の城に並び立つ二人
「青雲の宝石騎士 ヘロイーズ!」
「菜の花の銃士 キーラ」
「うっ!」
アズサのファーストヴァンガードを見てタイガが思わず声を上げる
「どうしたの?」
「いや、俺ちょっとネオネクタールには嫌な思い出が」
ミライにトコハ、今までネオネクタールと戦って勝てたためしのないタイガ
胸を抑え青い顔で俯いていた
「心配すんな、お前が戦ったのとはまた別のデッキだから」
「あ、うん、それはわかる、ファーストヴァンガードからして違うし」

「ライド!呼声の宝石騎士 クリスティーン!」
ミライの姿がクリスティーンへと変わるとキーラを見据えた
「ライド!鈴蘭の銃士 レベッカ、キーラを後ろへ、スノードロップの銃士 ピルッコをコール」
アズサのユニット、銃士は帽子と手に持った武器が特徴の人型に近いユニット達
ピルッコが剣を構えクリスティーンに向かっていく
怯えるクリスティーンをピルッコが剣で斬りつけた
【涼風の宝石騎士 アルトガロ】トリガーなし
更にレベッカが銃を構えクリスティーンに照準を定める
「ドライブチェック」
【リコリスの銃士 ヴェラ】トリガーなし
レベッカの銃から放たれた攻撃がクリスティーンを直撃する
「ダメージチェック」
【純真の宝石騎士 アシュレイ】トリガーなし
レベッカの攻撃を受けその場に倒れていたクリスティーンだったが何とか立ち上がると涼風の宝石騎士 アルトガロへと姿を変えた
「アタック!」
その細いながらも鋭い刃でレベッカに向かっていくアルトガロ
懐に飛び込むと剣を構えた
「ドライブチェック!」
【宝石騎士 ノーブル・スティンガー】クリティカルトリガー
「効果はすべてアルトガロに!」
アルトガロの鋭い一撃がレベッカの体を巻き上げた
【鈴蘭の銃士 カイヴァント】トリガーなし
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー

「本当はね、私もずっとこの街に居たいの」
キーラのブーストを受けた桜の銃士 アウグストで攻撃を宣言するアズサ
「だったらどうして………」
ミツキはその攻撃をガードせず通すことを宣言
【リコリスの銃士 サウル】トリガーなし
「私が上京してこっちに来ているのは知ってるわね」
【炎玉の宝石騎士 ラシェル】クリティカルトリガー
「うん、聞いてる」
「上京したのは夢を叶えるため、でも、そこまでの道は簡単じゃなかった」
デッキからカードを引こうとしていたミツキだったがその言葉に手を止めた
「どういうこと?」
「私の夢はアナウンサーになること、でも、こっちでそれを叶えることが出来なかった、私ひとりっ子だから、両親の面倒を見なきゃと思って、それで故郷に帰ることにしたのよ」
それを聞いたミツキはカードを持つ手に自然と力が入ってしまう
「諦めちゃうの………何があっても諦めないでって教えてくれたのはアズサさんだよ」
ミツキの問いかけにアズサは首を横に振った
「両親の面倒を見なきゃいけないっていうのは本当、故郷で働ける場所を探していたの、そしたらね、向こうのテレビ局から声がかかったの」
今までずっと硬い表情だったアズサが初めて笑顔を見せた
「私は、夢を叶えるために故郷に帰るの」
アズサのその表情にミツキは見覚えがあった
初めて声をかけてくれたとき、最初に出会った時に見せてくれた優しい表情
それを見てミツキはようやく笑顔を取り戻した
「だったらこれが、私からの手向けの花!闇を照らす一筋の光!運命を切り開く希望の輝き!ライド!」
ミツキがライドしたのはアシュレイではなかった
銀色の鎧に身を包む輝く剣を持った女戦士
「導きの宝石騎士 サロメ!」
サロメはパワー10000、パワーが11000のグレード3が多い現状ではそれだけで一歩劣ると考えるものも多い
だが、それを補うだけのスキルがサロメには備わっていた
「サロメのエスペシャルカウンターブラスト、山札からそーどみーをコール、そーどみーのスキルでさばるみーをコール」
2体のハイビーストがサロメとヘロイーズの隣に立ち雄たけびを上げる
驚くべきはここまで手札を1枚たりとも使っていないこと
「さらに手札からシェリーをコール!」
シェリーはグレード1だが条件を満たせばパワー10000でアタックできる
これだけのことを一気にやってのける展開力こそミツキの宝石騎士デッキの力
「シェリーでアタック」
シェリーの放った矢がアウグストを直撃する
【桜の銃士 アウグスト】トリガーなし
「ヘロイーズのブーストしたサロメでアタック!サロメのリミットブレイク!」
パワー+2000、クリティカル+1、それをカウンターブラストなしで行うサロメのスキル
ファイトはまだ序盤、にもかかわらずこれだけの攻撃
「ちょっと待て、あの子のダメージ、まだ3枚だよな?なのにリミットブレイク?」
「よく見ろよ、さばるみーがリアガードにいるだろ、あいつがいると、ダメージ3枚以下でもリミットブレイクが使えるようになるんだ」
ファイトを見物していた男性客がそんな話をしていた
もちろんミツキはそれを見越してそーどみーからさばるみーへの流れを作り出していた
アウグストに向かってサロメが剣を振り上げる、だが………
「完全ガード!」
赤薔薇の銃士 アントニオがサロメの攻撃を阻んだ
「ツインドライブ」
【純真の宝石騎士 アシュレイ】トリガーなし
【誠意の宝石騎士 バートラム】クリティカルトリガー
「効果はすべてそーどみーに、そのそーどみーでアタック」
「ガードよ」
梔子の銃士 アランとリコリスの銃士 サウルがそーどみーの攻撃を阻んだ
「いい攻撃だったわ」
柊の銃士 エルヴィーラにライドしてサロメを見据えるアズサ
「私もね、モデルの仕事がそんなに好きじゃなかったの、でも、あなたのお陰でその考えが変わったわ」
ソウルのレベッカをドロップゾーンに送り更にキーラを退却させる、エルヴィーラの能力だ
これにより山札の上5枚の中からタンポポの銃士 ミルッカを選んでエルヴィーラの後ろに置くアズサ、更に
「リミットブレイク発動、エルヴィーラのクリティカル+1」
その行動に周囲からも歓声が上がる
リミットブレイクの打ち合い、ストライドのような派手さはないがそれでも見るものを魅了するだけの力があった
アズサはもう一度ソウルブラストすると青薔薇の銃士 エルンストを選んでコール
「もう一度リミットブレイク、更にエルンストのスキル、山札に戻って………」
山札の上を確認するアズサ、一瞬迷うそぶりを見せたが
「ヴェラをスペリオルコール」
ピルッコの前にヴェラがコールされる
「ヴェラでそーどみーにアタック」
今エルヴィーラはクリティカルが3、その攻撃が決まれば一気に6点まで持って行ける
その攻撃を確実に通すためインターセプト可能なそーどみーを狙うアズサ
ヴェラの攻撃でそーどみーが切り裂かれ退却する
「そしてエルヴィーラのアタック、ミルッカのスキルでパワー+3000」
パワー20000クリティカル3のアタック
パワー10000のサロメには十分な攻撃力だが
「ラシェルとノーブル・スティンガーでガード」
ラシェルとノーブル・スティンガーがエルヴィーラの前に立ちはだかる
「ツインドライブ」
【鈴蘭の銃士 レベッカ】トリガーなし
【リコリスの銃士 ヴェラ】トリガーなし
これでアズサのターンは終了、次はミツキのターンだが
「ダメージは全部裏、サロメの能力は使えない」
先ほどの攻撃でリアガードを削られている、十分な攻撃ができるかどうか
「あなたとはこうして何度もファイトした、あなたのお陰で私は、モデルの仕事に誇りを持つことが出来た」
そういってミツキの方を見るアズサ
「だから約束、私の分まで立派なモデルになって、あなたならきっとできるから」
アズサのその言葉を聞いて涙を流すミツキ
「うん、見せてあげる、今の私の全力」
顔を上げ真っ直ぐとアズサを見据えるミツキ
その姿を見てタイガたちも自然と笑顔になった
「ジェネレーションゾーン開放!」
手札からサロメをドロップするミツキ
「今こそ刻め、新たなエピック!我が望む世界を掴み取れ!ストライドジェネレーション!」
ヴァンガードサークルに現れたのは白い鎧に身を包んだ逞しい騎士のユニット
「飛天の聖騎士 アルトマイル!」
「飛天の聖騎士………ここでそのユニットを選ぶのね」
アズサの問いかけに力強く頷くミツキ
どうやらこのユニットには何か強い思い入れのようなものがあるらしい
ハジメとメグミもそれを見て笑顔になっていた
一体あのユニットに何が
「飛天の聖騎士のスキル、ヴァンガードサークルに登場した時、同じ飛天の聖騎士を表にすることで前列のユニットすべてのパワーを+3000する能力を得る」
前列のユニットは今はいない、だがあくまでアルトマイルが得ている能力は永続能力
自動能力や起動能力のカードと違い効果が有効な限り適用される
新たなユニットが前列に置かれればそのユニットもパワーアップできる
「アシュレイとシンベリンをコール!シンベリンのスキルでシェリーのパワー+10000」
そのシェリーが弓を構えエルヴィーラに狙いを定める
「レベッカと月下美人の銃士 ダニエルでガード」
2枚のカードを使ってガードするアズサ、
手札の3枚を使ってガードできるのはここのアタックだけ、もうガードは出来ない
「飛天の聖騎士 アルトマイルでアタック!」
アルトマイル自身にもパワーアップは適用される
今のパワーは36000
一方アズサに残されたのはリコリスの銃士 ヴェラのカードのみ
このカードはグレード3、ガードには使えない
「トリプルドライブ」
【宝石騎士 さばるみー】トリガーなし
【熱意の宝石騎士 ポリー】ヒールトリガー
残ったアシュレイのパワーも上昇しダメージも回復
だがこれだけでは決めきれない
タイガたちが見守る中運命の三枚目
【炎玉の宝石騎士 ラシェル】クリティカルトリガー
「きた!」
思わず周囲も声を上げる
これで飛天の聖騎士のクリティカルが+1
「ダメージチェック」
【鈴蘭の銃士 カイヴァント】トリガーなし
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー
だがここでトリガーをめくっても次の攻撃を防ぐことはできない
「強くなったわね、ミツキ、もう………私がいなくてもあなたなら大丈夫」
アシュレイの剣が迫る中アズサはそう言葉を残し
手を広げて潔くアシュレイの攻撃を受け入れた
【月下美人の銃士 ダニエル】

その日の夕食の席でミツキは今日あったことを家族に話していた
「そっか、そんなことがあったんだ」
「うん、タイガさんが背中押してくれたおかげだね」
「ったく、言ってくれりゃよかったのによ」
そう言ってハジメがミツキをつつく中彼らの父親は一人考えていた
「本城タイガ君か………」 
 

 
後書き
次回予告
グレードアップまであと少しというところまで来たタイガ
順調にクエストをこなし目標に近づいていた
そんな中ハジメの父が彼に興味を持った
招かれたハジメの自宅で出会う人たち
turn:14 チームトライスリー 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧