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Blue Rose

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第二十四話 世界の外その三

「絶対にやってはいけないよ」
「自分自身を潰しますよね」
「覚醒剤なんかそうだよ」
 特にというのだ。
「もう手を出したらね」
「その時点で、ですよね」
「終わりだよ」
 人間として、というのだ。
「君の姉さんは君の身体のことを知ってもそうしたものには手を出さなかったね」
「はい、それはなかったです」
 確かにその頃の優子は毎日かなりの深酒であり自分自身と戦い心が折れそうにもなっていた。しかしだったのだ。
「全く」
「そうだね、手を出してもおかしくなかったと思うよ」
「そうした状況でしたね」 
 優花も今思うとだ。
「本当に」
「そう、けれど手を出さずにね」
 そしてというのだ。
「君を受け入れたね」
「そうしていました」
「そうだったね」
「そう、けれどね」
「僕を受け入れてくれました」
 その選択を選んだ、悩んだ末に。
「苦しんだけれど」
「君の姉さんはそれだけ強い人なんだ」
「そうですね」
「そう、君の姉さんみたいな人もいるよ」
「姉さんは男の人よりも強いですか」
「そういうのは性別じゃないんだろうね」
 心の強さ、それはというのだ。
「そして生物の種類にもよらないのかもね」
「生物のですか」
「シートン動物記を思い出したけれど」
 名著である、シートンが実際に会ってきた動物達を書いた本だ。それだけに動物達のありのままの姿が伝わってくる。
「ロボは誇り高いからね」
「狼のリーダーだった」
「そう、狼王だよ」
 作品のタイトルはこうなっていることが多い。
「写真でも毅然としているよ」
「ロボの写真でもですね」
「そう、ロボは最後の最後まで誇り高かったよ」
 死ぬその時までだ。
「その辺りの人間達よりずっとね」
「人間以外の生きものでもですね」
「誇りがあってね、立派な存在は立派なんだよ」
 人間でも狼でも他の生物でもというのだ。
「だからね」
「姉さんも立派で」
「そう、素晴らしい性格なんだよ」
 自分に勝ち性別が変わる弟を受け入れられたというのだ。
「君の姉さんもね」
「そうなんですね」
「君もお医者さんになりたいかな」
「文系を考えてますけれど」
「そっちをなんだ」
「はい、実は」
 医学は理系である、それでというのだ。
「お医者さんになることは」
「あまり考えていないんだ」
「実は」
「そうなんだね」
「色々考えていますけれど」
「そうなんだね、けれどね」
「姉さんみたいな人にですね」
「なると思うことはね」
 このことはというのだ。
「悪いことじゃない筈っだよ」
「そうですよね」
「うん、このサラダの街で過ごして」
 長崎をあえてこう表現した。 
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