聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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158部分:第二十話 力と正義その六
第二十話 力と正義その六
「傲慢な神は決して正義とはならないのだ」
「そういえば冥皇ハーデスの腹心の兄弟神の一人タナトスは」
「死神だったな」
「ああ、そうだ」
アステリオンがトレミーに対して答えたのだった。
「あの死神だ。かつての聖戦で猛威を奮ったな」
「あの神もまた傲慢極まりない神だったという」
「人を虫けらや小石のように見下していたそうだな」
「それは正義ではないのだ」
シュラはあくまでそうした存在を正義とは認めないのだった。
「決してな」
「ではアテナことが正義となるのですね」
「それならば」
「そして人がだ」
シュラはアテナの他にも人間もまた正義だとしたのであった。
「人が正義となる」
「人がですか」
「ですが人といっても」
聖闘士達は言うまでもなく人間である。人間だからこそ同じ人間のことがわかっているのだった。それは。
「様々な者がいます」
「中には邪悪な者もまた」
「いますが」
「そうした者はまた別だ」
シュラは彼等、そういった邪悪な者達に対しても答えた。
「またな。人間ではあってもだ」
「はい」
「邪悪な者には正義はない。それは道理だ」
「道理ですか」
「正義は邪悪な者にはない」
正義と邪悪は相反するものである。それならばこの論理も当然のことだった。その正義に対してのシュラの言葉はさらに続くのだった。
「それは言うまでもないことだ」
「そうなりますか」
「そして傲慢な神にもないものだ」
ここでシュラは傲慢な神という新たな存在が言葉に出た。
「それもな。また違うものだ」
「傲慢な神というとこの場合は」
「やはり」
「そうだ。アーレスだ」
その展開になるのはここでは自然だった。やはり話の流れでアーレスこそ傲慢な神となる、誰もがわかっていた展開だった。
「アーレスには正義はない。それは覚えておくことだ」
「左様ですか」
「では。先に進むぞ」
ここまで話したうえでさらに先に進むように周りに告げた。
「先にな。いいな」
「はい、それでは」
「また先に」
聖闘士達はシュラの言葉に対して頷き彼に続いた。
「進みましょう」
「敵はまだいます」
「はい、先に」
こうして先に進む彼等だった。シュラは彼等の先頭に立ち先に進む。その頃シオンは教皇の間にいた。そしてそこでシャカと話をしていた。
「ではシャカよ」
「はい」
「あの四人の神々の小宇宙はまだ感じないのだな」
「はい、私もまだ感じません」
このことをはっきりと答えたシャカだった。彼は今はシオンの前に片膝をついて控えていた。今シオンの前にいるのは彼だけだった。
「彼等の小宇宙は」
「あの四人の神々はだ」
シオンは教皇の玉座に座ったまままた述べてきた。厳かな雰囲気が辺りを支配している。
「エリスと並ぶアーレスの側近だ」
「その通りです」
シャカはシオンの問いに対しえ答えた。
「あの神々が復活したならば」
「今よりも困難な戦いになる」
シオンは静かだがそれでもその声は鋭いものだった。
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