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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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141部分:第十七話 グランドキャニオンへその四


第十七話 グランドキャニオンへその四

「しっかし。この国は」
「また随分と広いもんですね」
 聖闘士達は車窓からアリゾナのその風景を見て話していた。そこは赤い岩山が連なる荒野だった。見渡す限りその赤い岩と大地がある。
「しかも色々な場所があって」
「アリゾナはこんな場所ですしね」
「アメリカの凄さの一つだ」
 シュラもまたその車の中にいた。そのうえで彼等の話を受けて言うのだった。
「この広さと多様さもな」
「そうですね。確かに」
「アメリカはやっぱり広いですね」
「この広い場所で戦うんですか」
 彼等は既に何時狂闘士達が出て来てもいいように聖衣を身に着けている。当然ながらシュラも己のカプリコーンの黄金聖衣を装備させている。
「何か今にでもあの連中が出てきそうですね」
「あの岩山の向こうにいるとか」
「いや、あの場所にはいない」
 シュラはそれは否定した。
「しかしだ」
「いますか」
「そうだ。間違いなくここにいる」
 後ろに続く聖闘士達に対して述べるのだった。
「ここにな」
「それで何時仕掛けて来るかですね」
「そして何処にいるか」
 彼等も周りに警戒を払っていた。当然ながら。
「何時出て来てもいいように」
「気構えだけはしていますがね」
「御前達は雑兵達を頼む」
 その彼等に対してまた言うシュラだった。
「それはいいな」
「ではシュラ様がやはり」
「狂闘士達を御一人で」
「俺だけではない」
 このこともまた言うのであった。
「俺だけではな」
「!?といいますと」
「やはり前と同じく」
 既にドイツでの戦いにおいてサガがデスマスクの助っ人に来ていたことは白銀や青銅の者達も知っているのだった。
「サガ様かアイオロス様が来られるのですか?」
「今回も」
「今それを話すつもりはない」
 しかしシュラはそれはここではあえて言わないのだった。
「ここではな」
「ああ、そうですね」
 最初にそれが何故か気付いたのはアステリオンだった。彼が最初に納得した顔になりそのうえでシュラの今の言葉に対して頷いた。
「今ここではですね。確かに」
「言うことは危険だ」
 シュラは目の前に広がるそのグランドキャニオンを見て述べた。赤い岩山と途方もない崖が何処までも続いている。広大であるが荒涼とした世界だ。
「今ここは狂闘士達の庭なのだからな」
「そうですね。庭ですね」
 トレミーはあらためてシュラの言葉をその心の中に刻み込んだ。
「ここは今はあの連中の」
「何かそれ考えたら」
「今にでも来るか?」
「なあ」
 青銅聖闘士達はさらに警戒する顔になって周囲に顔を向けて見回す。
「あの連中が一気に」
「俺達に」
「小宇宙は感じない」
 シュラは周りを見てはいなかったがこう言ったのだった。
「今の我々の周りにはな」
「じゃあ今は敵襲は安心していいんですね」
「とりあえずは」
「そうだ。だが奴等は必ず仕掛けて来る」
 シュラはそのことは間違いないと確信していた。
「ここでな。必ずな」
「ではシュラ様」
「お話通り我等は」
「そうだ。このシュラに任せておくのだ」
 またこの話であった。
「彼等はな」
「先に行きましょう」
 オズが言ってきた。
「そして敵の前にあえて出るんですよね」
「少なくとも奇襲は通用しない」
 この場合はこちらからという意味である。既にここは彼等のテリトリーになってしまっているからだ。それでどうして奇襲が仕掛けられるのかということだった。
 
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