聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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137部分:第十六話 西部にてその七
第十六話 西部にてその七
「固くてとても食べられたものではないという噂だったがな」
「それがどうして」
「いけますね」
「うむ」
青銅の者達の言葉にも頷いていた。
「スープもな。あれは七面鳥か」
「そうですね。魚もいいものでしたし」
「パンも」
見ればパンも白い上等のものであった。
「どれもかなりのものです」
「アメリカの食べ物は案外いけると」
「正直に言うと何が出るのか怖く思っていた時もあった」
シュラはステーキをさらに食べながらまた述べた。
「だが。来てみると安心できた」
「ええ。アメリカは元々素材がいいですし」
「調味料も調理具も最高のものが揃っていますし」
とにかく何でも揃っているのがアメリカなのである。だから美味いものを作ろうと思えば好きなだけ作れるのである。そういう国でもあるのだ。
「それを考えれば当然ですね」
「これだけの味のものが出せるのも」
「俺も料理は得意だ」
シュラの意外な一面であった。
「スペイン料理をな」
「えっ、シュラ様がお料理をですか」
「本当ですか!?」
オズもサミュエルもこれには目を大きく見開いた。
「まさかとは思いましたが」
「本当なのですか・・・・・・」
「そんなに驚くことか」
表情も声の色も変わっていないが不機嫌そうな雰囲気を出してきていた。
「俺が料理をすることが」
「いえ、決してそうではないですが」
「ただ。少し」
ライマンとザンドルフも同じ意見であった。
「何ていいますか。想像がつきませんで」
「シュラ様がですか」
「俺も他の黄金聖闘士達も全員料理をする」
シュラは淡々とした調子で述べた。もうステーキは一枚食べ終えたがそれでももう一枚頼んでいた。早速湯気を出している分厚く大きなティーボーンステーキが運ばれてきた。
「全員な」
「ではアルデバラン様やアイオリア様も」
「それにデスマスク様やアフロディーテ様もですか」
「アイオリアの料理はかなり武骨だがな」
シュラはそのまた運ばれてきたステーキにフォークとナイフを入れながら述べるのだった。他の聖闘士達もまたステーキを頼んでいる。食べながら赤ワインも飲んでいる。
「だが。作ることはできる」
「ううむ、アルデバラン様まで」
「何と」
「アルデバランの料理はかなりいい」
シュラの言葉はさらに衝撃的なものであった。
「ブラジル料理だ。特に肉を使ったものが得意だ」
「ああ、それはわかります」
「アルデバラン様が料理を作られるとなるとやはり」
「それですね」
これは完全にイメージ通りであった。彼等も頷く。
「しかしデスマスク様やアフロディーテ様となると」
「やはりイタリアやそういったそれぞれの祖国の料理なのですか」
「俺もスペイン料理が得意だ」
その通りであった。
「とにかく全員料理を作る」
「そうですか。そうした趣味がおありなのですね」
「わかりました」
とりあえずここまで聞いて頷く彼等であった。
「では今日はですね」
「うむ」
シュラはあらためてトレミーの言葉に応える。もうその二枚目のステーキは殆ど食べてしまっている。
「これを食べ終えたらそれで休憩にしますが」
「わかった」
シュラは静かに彼の言葉に頷いた。今はデザートのアイスクリームを食べている。そのアイスもまたかなり大きなものである。
「ではこれでな。今日は休むとしよう」
「はい、そういうことで」
応えて頷くトレミーであった。
「また明日です」
「今我々はメンフィスにいます」
今度はアステリオンがシュラに述べてきた。
「テネシーの西端です」
「まだグランドキャニオンには遠いか」
「はい、グランドキャニオンはアリゾナにあります」
既にアメリカの地図は彼の頭の中に入っていた。そのうえで述べている言葉だ。
「そこまではまだかなりです」
「暫くはこうして車での旅が続くな」
「ですね」
「それは確かに」
このことには誰もが頷いた。
「何かと疲れることもあるでしょうがやはり」
「そうなるでしょう」
「たまにはいいものだ」
周りの者達は申し訳なさそうだがシュラはこう言うのだった。
「こうして様々な土地を見ていくのもな」
「いいものですか?」
「そうだ。いいとは思わないか」
シュラはまたトレミーやアステリオン達に対して述べる。
「旅というものを楽しむことが」
「それでは。その様にですね」
「グランドキャニオンまで」
「また狂闘士達が来るかも知れない」
その危惧は抱いていた。
「しかしその都度倒していく。そうしてグランドキャニオンまで向かうぞ」
「わかりました」
「それでは」
彼等はシュラの言葉に頷き今は旅に向かうのだった。そうして今は夕食を楽しむのだった。その途方もない量のアメリカの食事を。
第十六話 完
2009・3・5
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