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Three Roses

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第十三話 旅立ちその十一

「これからも共に」
「幸せに」
「薔薇達と共に」
 三人で言葉を交えさせてだった、そのうえで。
 お互いに抱き合った、その熱い抱擁の後でだった。
 笑顔でだ、また三人で話をした。
「ではこうした時は」
「笑ってね」
「終わりにしましょう」
 無理をしていた、三人共。しかしそれでもあえてだった。笑みを浮かべ合ったままそのうえで話をするのだった。
「人は別れる時の顔を覚えているから」
「だからこそね」
「笑顔で別れるべきですね」
「そうです、ですから」
 マリーは泣きそうな顔を抑えてだ、笑顔で二人に言った。
「笑ってそして」
「また会うその時まで」
「笑顔を覚えていましょう」
 マリアとセーラも言う、そしてだった。
 二人はそれぞれの馬車に乗った、そうして国を後にした。その後で。
 マリーは笑顔のまま振り向いてだ、すぐに俯いてだった。王の前に来て片膝をついて言った。
「では私は」
「うむ、全ては終わったからな」
「それでは」
「ゆっくりと休むのだ」
 王はそのマリーに言った。
「今日はな」
「そうさせて頂きます」
「明日からまた政がある」
「そしてその政の場にですね」
「そなたも出てもらいたい」
 それ故にというのだ。
「今日はゆっくりと休むのだ」
「わかりました」
「風呂も用意させよう」
 マリーが好きなそれもというのだ。
「入るがいい」
「有り難きお気遣い」
「では」
 王はマリーを下がらせた、マリーは俯いたままあえて周りに表情を見せなかった。そしてそのうえでだった。
 王は周りにだ、こう言った。
「ではな」
「はい、それでは」
「これからですね」
「政ですね」
「王の間において」
「それにかかろう、今は王女はいないが」
 マリーのことに他ならない。
「それでもだ」
「今日しなくてはならないことがあります」
「その政をですね」
「これから」
「するとしよう」 
 絶対にと話してだ、そしてだった。
 王もまたその場を後にした、大臣や将軍達を連れて。その場には太子と司教、彼等の周りの者達が残ったが。
 太子は冷静な顔でだ、こう言ったのだった。
「一つの幕が降りたか」
「舞台のですね」
「その幕がですね」
「そうだ、降りたな」 
 こう言うのだった。 
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