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Three Roses

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第十三話 旅立ちその九

「色々とあっても」
「それでもですね」
「お話をしても遊びに誘っても」
「あの方は学問をされるだけで」
「はい」
 それでというのだ。
「あの方は私達とは共にいなかったわ」
「学問と信仰の日々です」
 セーラはまた言った。
「ですから」
「そうしたことに過ごされていて」
「私達とは」
「そうですね」
「ですから」 
 マリーもまた言った。
「私も是非あの方とは思いますが」
「しかしですね」
「難しいですね、ですが」
「難しくともですね」
「出来るだけです」
 それでとだ、セーラに話すのだった。マリアにも。
「親しくしたいとです」
「思っていますね」
「その様に」
「姉妹ですから」
 マリーはこう思っているのだった。
「そうしないといけないですね」
「黒薔薇は奇麗な薔薇です」
 セーラは黒薔薇についても語った、他ならぬマイラの花で彼女が父から贈られたその薔薇である。
「ですからマイラ様もです」
「是非ですね」
「外に出られるべきですが」
「しかし」
「あの方は心を閉ざされています」
「それで、ですね」
「あの様になっています」
 こうマリーに話すのだった。
「私もそれを残念に思っています」
「そうですか、セーラも」
「マリア様もですね」
「今言った通りよ」
 俯いてだ、マリアも答えた。
「私もね」
「やはりそうですね」
「何とかしたかったけれど」
「それが出来なかったからこそ」
 まさにというのだ。
「今に至りますね」
「どうしたものか」 
 心から言うのだった、マリアも。
「今も後悔しているわ」
「ですがそれでもですね」
「私はセーラ、マリアと別れますが」
 二人にあらためて話した。
「必ずです」
「マイラ様と」
「今度こそ」
「絆を深めたいと思っています」
 姉である彼女にとだ、マリーはその心にあるものを二人に語った。そして。
 セーラとマリアが共に祖国に行く時にだ、マリーは見送ったが。
 そこにいるのはマリーに王、それとだった。
 太子もいた、だが。
 その太子にだ、王は曇った顔で問うた。 
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