Blue Rose
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第二十三話 完全にその十二
「まあ間違っても自分を尊敬しろと言う人は尊敬しないことを」
「普通は恥ずかしくて言えないですよね」
「それを言う様な人はね」
「絶対に尊敬出来ないですね」
「軽蔑すべきよ」
尊敬どころかというのだ。
「そして付き合うべきじゃないわ」
「そうですよね」
「そんな人はね」
「いい人と付き合うべきですね」
「このことは男の子でも女の子でも同じよ」
「同じであることもあるんですね」
「ええ、その辺りの見極めも大事よ」
性別に関わらずすべきことを理解することもというのだ。
「蓮見さんもね」
「私もですね」
「貴女が女の子として見て考えることもあるけれど」
「人間としてですね」
「見て考えることもね」
「あるんですね」
「そうよ」
そうなるというのだ。
「だからわかっていてね」
「わかりました」
優花は副所長の言葉に確かな声で答えた。
「その辺りも勉強していきます」
「そうしてね、それじゃあここを出る日までね」
「はい、訓練ですね」
「頑張りましょう」
共にという言葉だった、そうした話をしてだった。
優花は女としての訓練をしていった、それはもう無意識から女として生きるその為の訓練だった。それを行っていき。
何度も何度も間違えながらもだ、遂にだった。
「もう完全にね」
「女の子になっていますか」
「訓練と内面からの変化でね」
その二つからとだ、今も共に訓練をしている看護士は優花に話した。
「そうなってきているわ」
「訓練は外からで」
「そう、内面からもね」
「両方からですね」
「貴女は女の子になっていてね」
「完全にですね」
「そう、女の子にね」
完全にというのだ。
「なっているわね」
「そうなんですね、じゃあ」
「いえ、まだ気をつけてね」
看護士は優花より先に言った。
「そこは」
「油断すればですか」
「無意識もね」
この訓練で注意されたそれもというのだ。
「不安定なものだから」
「何時出るかですね」
「わからないから」
「男の子の時の動きが」
「そう、出たりするから」
だからだというのだ。
「気をつけてね」
「分かりました、無意識も」
「そう、ただね」
「ただ?」
「内面から変わっていっているから」
「その無意識もですね」
「次第に変わってきているわ」
徐々にだ。
「間違いなくね、だから」
「それで、ですね」
「やがて完全な女の子になるから」
「そうした心配もですか」
「次第になくなっていくわ、今の時点でもう女の子に見えるから」
普通にというのだ。
「その気をつけることも徐々にね」
「なくなっていきますか」
「そうなるわ」
「そうですか、本当に完全にですね」
「女の子になる日は近いわ」
こう優花に話すのだった、有価は日一日と女の子になっていた。内面からも外面からも。その優花を見てだった。
岡島は優しく微笑んでだ、彼女と共に紅茶を飲みながら言った。彼女をまた長崎の街に連れて行った時にだ。
「誤解されるかもね」
「誤解?そうですね」
優花も言われて気付いた、紅茶の白いカップを手にした状態で。
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