Three Roses
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第十三話 旅立ちその五
「何にもならないから」
「マリー様、セーラ様とのつながり」
「そして王家としての誇り」
「それがあるからこそ」
「薔薇は我がエヴァンス家の誇りにして」
そしてというのだ。
「私達の絆の証だから」
「その三色の薔薇達こそが」
「だからこそ」
「私は白薔薇でセーラは黄色」
マリアはさらに言った。
「そしてマリーは赤い薔薇」
「その三色ですね」
「その薔薇達を島国にも持って行く」
「そうされますね」
「紫の薔薇は王の薔薇」
紫が高貴の証である色であるが故にだ、王の薔薇となっているのだ。
「そして黒薔薇はマイラ姉様の薔薇」
「そのうちの三色ですね」
「お三方の薔薇を」
「持って行くわ」
あらためて言った、このことを。
「何があろうとも」
「そうされますか」
「ではその様にしましょう」
「お三方は離れても共にある」
「だからこそ」
「ええ、では他の用意もして」
そしてとだ、マリアはさらに言った。
「嫁ぐわ」
「わかりました」
周りの者達もマリアに応えた、そのうえで。
マリアは三色の薔薇、彼女達の全てを持って行くことにした。それはセーラも同じで彼女も中庭に来た時に周りに言った。
「あらゆるものを持って行くことになりますが」
「薔薇もですね」
「薔薇達も持って行かれますね」
「そうされますか」
「マリー姉様とマリア姉様、私のつながりだからです」
それ故にというのだ。
「持って行きます」
「そうされますか」
「ではその様にしましょう」
「薔薇を持って行きそして」
「半島でもですね」
「行きましょう」
是非にと行ってだ、そしてだった。
セーラはあらためて薔薇達を見た、三色のそれを。赤い薔薇に白い薔薇、そして黄色の三色の薔薇達を。
その薔薇達を見て自然に笑みになりだ、こうも言うのだった。
「何時見ても奇麗ですね」
「まことに」
「この中にある薔薇は一つではありません」
「五つありますが」
「その中でもですね」
「この三色は私にとっては特別です」
まさにというのだ。
「私達の薔薇ですから」
「黄色の薔薇はセーラ様」
「そして赤薔薇と白薔薇はマリー様とマリア様」
「だからこそですね」
「その三色の薔薇はセーラ様の中では別格」
「そうなのですね」
「はい、出来ればです」
ここでだ、セーラは遠く悲しい目になってこうも言った。
「黒薔薇も、でしたが」
「マイラ様ですね」
「あの方の薔薇もですね」
「そうお考えですね」
「マイラ様も姉妹なのです」
彼女達にとってというのだ。
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