Three Roses
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第十二話 孤独の者その十二
「マリー達とは違うのですね」
「マリー様、マリア様、セーラ様ですね」
「あの娘達とは」
「お三方はです」
「王家の者であってもですか」
「真に王家の方かといいますと」
「違うのですね」
「新教徒ですし」
それにというのだ。
「しかも資質がです」
「王のものではない」
「ですから」
「いいのですね」
「左様です、むしろ友情や愛情の中にいるなぞ」
「あってはならないと」
「そうした感情は超えるものです」
王族、人の上に立つ者はというのだ。
「本来は」
「そう、ですか」
「ですからマイラ様は」
「一人で、ですね」
「至高の座からです」
「この国を正しく治めるべきですか」
「神に従い」
今度は神の僕としてだ、司教は言った。
「そうされて下さい」
「この国と民の為に」
「公の為に」
「私の為ではなく、ですね」
「友情や愛情は私です」
それになるものだというのだ。
「決して公のものではありません」
「公の者ですね、王家の者は」
「その全てが」
「だからですか」
「はい、公として立たれて下さい」
「わかりました」
マイラは俯いて頷いた、そしてだった。
王家の者として学び務めるべきことを務めていった、家臣達も得て。だがそこに温もりを感じることは決してなかった。
第十二話 完
2016・6・6
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