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SAO~円卓の騎士達~

作者:エニグマ
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第十三話 攻略組と中層の差

 
前書き
タイトルが思い付かない。 

 
~シリカ side~

翌日。 私達は転移ゲートを使って47層の『フローリア』へと転移しました。

転移が終わってわたしは閉じていた目を開く。 そこには。

 シリカ「すごい。 お伽話に出て来るところみたい。」

あたしの目に映ったのは辺り一面の花壇に咲いている、たくさんの花々でした。

キリト「この層は別名『フラワーガーデン』。 層全体に花が咲き乱れているんだ。」

キリトさんの説明を聞いてすぐにあたしは花壇に近づいて花の香りを嗅いでみた。 

他の花も見ようと周りを見回した時、あたしはそれに気が付いた。

周りにいる人はほとんどが男女でいる。つまりカップルなのだ。ここはカップルのデートコースらしい。

あたしは自分の顔が熱くなるのがわかる。

キリト「シリカ?」
シリカ「ひゃ、ひゃい!?」

いきなり声を掛けられたので思わず変な声を出してしまいました。

キリト「えっと、どうかした?」
シリカ「な、なんでもありません!」
キリト「そ、そうか。 それなら良いけど。 行こうか。」
シリカ「はい!」

キリトさんはこういうの平気なんだ。 大人だなぁ。

そんな風に思いながらも先に歩いていく彼の後ろをついていく。

キリト「シリカ、君にこれを渡しておく。」

街からフィールドに出てキリトさんが渡してきたのは≪転移結晶≫でした。

キリト「何かが起きた時に俺が逃げてって言ったら、どの街でもいいからこれを使ってくれ。」
シリカ「で、でも。」
キリト「約束して。」
アーサー「コイツ無駄に心配性なんだ。 平気だとは思うけど受け取っておいてくれ。」
シリカ「はい。」

彼の真剣な表情と言葉に、あたしは結晶を受け取ってポーチに入れる。

キリト「よーしそれじゃあ行こう。 この先を進めば『思い出の丘』だから。」

そう言って歩くキリトさんとアーサーさんに追いついて彼らの間を歩き始めました。

しばらくして『思い出の丘』の一番奥に辿り着きました。

ここに着くまでにモンスターの不意打ちを何度も受けてしまい、

その、恥ずかしい格好を何度も見られました。

あーもー! 最悪! 

できれば早く忘れたいし、忘れてほしい。

シリカ「ここに使い魔蘇生用のアイテムがあるんですよね?」
アーサー「あぁ。 ほら、あそこの祭壇だ。」

道の先、彼が指差した先には祭壇があり、あたしはそこに向かって走り出す。

すると祭壇に白い花が咲き誇った。

キリト「手に取ってごらん。」 

白く綺麗な花を手に取るとアイテム名がでてきた。≪プネウマの花≫っていうみたい。

シリカ「これでピナが、」
アーサー「そうだ。 ただ、ここには強いモンスターもいるから街に戻ってからにした方がいいかもしれない。」

そうだ。ここで蘇生しても、二人がいるとはいえもしもの事があるかもしれない

シリカ「はい!」

それでもあたしは嬉しかった。これでまた、ピナに会える!

そして街の前の橋まで戻ってきました。

行きとは違って帰りはモンスターの数も少しは減っていたので楽でした。

だけど、そこで二人が私を静止させました。 どうしたんだろう?

キリト「木の後ろにいる奴、出てこいよ。」

キリトさんがそう言うと木の陰から誰かが出てきた。

シリカ「ロザリアさん!?」
ロザリア「私の隠蔽(ハイディング)を見破るなんて、《索敵》スキルは高いようね。 ≪プネウマの花≫は手に入れたみたいね。 おめでとうシリカちゃん。 じゃあ、早速渡してもらおうかしら。」
シリカ「な、なにをいってるんですか!?」

彼女はそう言ってあたし達に近づいてくる。 この人は何を。

アーサー「おっと、そうは行かせねぇなぁ、ロザリア。 いや、犯罪(オレンジ)ギルド『タイタンズハンド』のリーダーと呼んだ方が良いか?」
シリカ「えっ!? でもロザリアさんは通常(グリーン)じゃ、」

確認するために彼女を見てみても、ちゃんとカーソルはグリーンだ。

キリト「簡単な手口だ。 グリーンのメンバーが獲物をみつけ、オレンジが狩るんだ。 昨日、俺達の話を聞いていたのはアンタの仲間だな?」
シリカ「それじゃあ、ここ最近一緒のパーティにいたのは、」
ロザリア「へぇ、よくわかったわね。 その通り私達の今回の獲物はシリカ、あんたなの。」
シリカ「っ!?」
ロザリア「あんたがパーティを抜けた時はどうしようかと思ったけど、レアアイテムを取りに行くっていうからね。 ちょうど《プネウマの花》は旬だしね。 それにしてもアンタ達バカなの? そこまで知っててその子と一緒にいるなんて、」

そうだ。そんな危険な事を知っていたのに、なんで二人は私と一緒に。

アーサー「俺等もアンタ等を探していたからだ。 十日前にギルド『シルバーフラグス』が襲われて、リーダー以外の四人が殺された。 生き延びたリーダーは俺達に依頼してきた。 その人はお前達を殺すのではなく、牢獄に入れてくれと言っていた。 そして、アイツ等を襲ったのが、アンタ率いる『タイタンズハンド』だ。」

あたしはそれを聞いて驚いた。彼はその事を踏まえてあたしの側にいてくれたんだ。

ロザリア「あのビンボーなギルドのね~。 だからなんだっていうのよ。」

あたしは彼女の言葉に怒りを覚えた。

傲慢な人だとは思ってたけど、人を殺して、しかもなんとも思わないだなんて!

キリト「アンタは、仲間を殺された人の気持ちが分からないのか?」
ロザリア「分かるわけないでしょ~。 第一、ここで死んだからって本当に死ぬかもわからないのに。」
シリカ「あなたって人は!」
ロザリア「そんな事よりも自分達の心配でもしたら…?」

ヴァル君の言葉に当然のように返すロザリアさんを見て、あたしは怒りを覚えた。

そして彼女が言うと他の木の陰から七人の男性プレイヤーが出てきた。

内六人のカーソルがオレンジになっている。

シリカ「キリトさん、アーサーさん、人数が多すぎるよ! ここは脱出を!」

私は二人に脱出する事を提案したけれど。

キリト「大丈夫だ。 俺が逃げてって言うまでは≪転移結晶≫を準備して待ってて。」
シリカ「う…うん。 って、キリトさん! アーサーさん!」

そう言うと二人は武器を持って相手の方に歩いていった。

「アーサーにキリトだと!?」
「黒ずくめの装備に盾無しの片手剣、間違いない『円卓の騎士団』の『円卓の黒騎士』だ! まずいですよリーダー! こいつ攻略組のトップですよ!」
「じゃ、じゃあもう一人は『円卓の騎士王』!?」
ロザリア「バカ言うんじゃ無いよ! 『円卓の騎士王』って言ったらユニークスキル持ちだろ!? そんな物持ってないじゃ無いか!」
アーサー「ん? 何? 見たい?」

そう言うとアーサーさんは装備を変えた。

白の鎧に見たことの無い武器。

「ほ、ホンモノかよ。」
ロザリア「こ、攻略組が何だって言うんだい! この人数なら勝てるに決まってる!」
「そ、そうだ! それに攻略組なら良いアイテムを沢山持ってるに違いねぇ!」
アーサー「キリト、俺がやる。 下がってろ。」
キリト「OK。」

キリトさんが下がると同時に相手全員がアーサーさんを囲んだ。

シリカ「き、キリトさん! 助けないと!」
キリト「いや、必要ない。 むしろこの状況で入ったら邪魔になるだけだ。」

バキャキャキャキャキャ!!

何かが折れる音が聞こえ、アーサーさんの方を向くと、

「う、ウソだろ。」
「何だよ、コレ。」

七人全員の武器が破壊されていた。

アーサー「現在の俺の筋力値はおよそ五千。 龍爪剣と鎧の効果でプラス約三千。 合計で八千。 ほぼカンスト状態だ。 しかも龍爪剣は耐久値無限。 そんな武器をこの筋力値で振れば中層の武器なんて一溜まりも無い。 分かるな? テメェ等がどれだけ武器を変えようが関係ないんだよ。」
「そ、そんなのありかよ。」
アーサー「これが現実だ。 数字が上がるだけで起こる理不尽。 それがレベル制MMOの不条理なところ。」
「くっ」
「チッ…」

彼の宣言に、男の人やロザリアさんが苦悶の表情をした。

レベルが上がるだけ、数字が上がるだけで、どんな事も覆してしまうなんて。

するとアーサーさんは懐を探り始めた。

取り出したのは≪転移結晶≫に似た、それよりも少し大きい結晶だった。あれは一体?

アーサー「これは依頼人の方が全財産をはたいて購入した≪回廊結晶(コリドークリスタル)≫。 これには『黒鉄宮』の監獄エリアが出口に設定されている。 お前らにはこれで牢獄まで飛んで貰う。」

アーサーさんは説明しながら全員を睨みつけていく。 ロザリアさんは睨まれると武器を構えた。

ロザリア「なら、あんたの持つその結晶だけでも奪えば!」

彼女がそう言うと他の人達も武器をもう一度構えた。

アーサー「あぁ、それともう一つ言い忘れてた。 テメェ等もう捕まえてるから。 なぁ、シンタロー。」

そう言った途端、相手全員が動きを止めた。

「な、何だコレ。 体が動かねぇ。」
「これは、糸?」
シンタロー「その通りだ。」
「え、『円卓の軍師』。」
シンタロー「その糸の耐久値だとお前らが糸を自力で切るまで、そうだな。 大体四時間はかかるんじゃ無いか?」
アーサー「コリドーオープン。 よーし、シンタロー放り込め。」

新しく現れたシンタローさんがかなり勢いを付けて放り込んだ。

七人全員が入ると、光は消えた。

35層『ミーシェ』の街に戻ってきた私と二人は、今は宿屋の部屋にいます。

シンタローさんはあの後すぐに帰りました。
 
キリト「すまない、シリカ。 囮のような事をさせちゃって。」
シリカ「ううん。 二人は私の事を守ってくれたからら大丈夫です。」

本当なら私の側にいなくても良かったのに、二人は私の側にいて守ってくれた。

それが嬉しくて堪らなかった。だから、だからこそ

シリカ「やっぱり、行っちゃうんですね。」
キリト「あぁ、前線から離れちゃったから。 早く戻って協力しないと。」

二人は最前線に戻ってしまう。別れが辛くて、一緒に行きたいと思う。 だけど私じゃ。

シリカ「すごいね、攻略組なんて。 私なんかじゃ、何年掛かってもなれないです。」
アーサー「そんな事無い。 強い意思を持って努力を重ねれば誰でもなれる。 個人差はあるけど。 前例知ってるし。」
シリカ「そっか、そうですよね。」
キリト「さて、じゃあ、ピナを生き返らせよう。」
シリカ「はい!」

ピナ、生き返ったら一杯話してあげるね。
私の一日だけの大冒険。

~side out~ 
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