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Blue Rose

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第二十二話 心と身体その十七

「そうしたことにこそですね」
「出るからね」
「だからですね」
「気をつけてね」
「そうですね、どうしても習性で」
「トイレは特にね」 
 こうした何気ないことにこそ、というのだ。
「出るからね」
「気をつけないといけないですね」
「そしてそうしたことからね」
「ばれるんですね」
「そうなるからね、本当にスパイみたいに」
 スパイの名前を出すと小説めいているが岡島は今はそれを現実、優花自身のこととしてそのうえで話しているのだ。
「気をつけてね」
「だから訓練もですね」
「しようね」
「わかりました」
 しっかりとした言葉でだ、優花も答えた。
「そうしたことも気をつけます」
「そうしてね」
「動きが自然になるまで訓練をするから」
「結構時間かかりますか」
「それは君次第だね」
 訓練の時間についてもだ、岡島は答えた。
「君がすぐに身に着けられればね」
「女の子の仕草を完全に」
「そうなれば問題ないから」
「だから僕次第なんですね」
「そう、ただ君は元々かなり女性的で」
 さらにとだ、優花は岡島に話した。
「記憶力もいいみたいだから」
「すぐにですか」
「しかも君の年頃が一番覚えられるからね」
 俗に言われていることでもある、人の記憶力は若い頃特に中学生や高校生の時が最もいいと言われている。
「頑張ればすぐにだよ」
「覚えられますね」
「完全にね、だからそっちもね」
「頑張らないといけないですね」
「そうだよ、一緒に頑張ろうね」
「はい、そうさせてもらいます」
「女の子として生きていこうね」
 岡島の笑みは限りなく優しいものだった、優花は彼のその人としての優しさにも触れながら心身共に変わっていった。
 その優花の手紙を受け取ってからだ、優子は龍馬と街の喫茶店で待ち合わせをした。そのうえでコーヒーを飲みながら彼に話した。
「あの子元気よ」
「はい、俺も手紙を受け取ってますけれど」
 龍馬は優子に明るい笑顔で応えた、彼もコーヒーを飲んでいる。
「あいつ元気ですね」
「そうね、それでね」
「女の子にですね」
「もうね」
「あと少しで、みたいですね」
「なりそうね」
「もう身体は殆どらしいですね」
 龍馬は手紙から受け取ったその内容をだ、優子に話した。
「女の子のものになっているみたいですね」
「そうね、お互い手紙で書かれてたみたいね」
「そうですね、凄く穏やかに暮らしてるって」
「書いてたわね」
「療養所は凄くいい場所で」
「私の知ってる人が勤めている場所だけれど」
 岡島のこともだ、優子は思いだしながら話した。
「彼は信頼出来る人だしね」
「そうした人もいてくれて」
「安心出来る場所よ、とてもね」
「だからですね」
「そう、私もあそこならって思って任せたのよ」
 たった一人の肉親である彼をというのだ。 
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