ドリトル先生の名監督
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第二幕その三
「鼻血出る位に放射能を浴びていたら大変だよ」
「死ぬ?」
「命の危険がある?」
「それこそ」
「そうなるのかしら」
「うん、すぐに病院に行かないと」
それこそというのです。
「危ないよ」
「そうしたものなんだね」
「そういえばこの苺福島のものだね」
「福島の苺美味しいね」
「とてもね」
「勿論何も危険もないよ」
その事故があった福島のものでもというのです、先生はその苺をとても美味しそうにぱくぱくと食べ続けています。
「僕は前から食べてるけれど」
「そうだね、何もね」
「僕達も食べてるけれどね」
「問題ないよね」
「そうだね」
「原発反対とかの主張は僕は何も言わないよ」
先生はそうした政治的発言とはあまり縁がありません、政治学についての論文を書いたりもしますがあくまで公平です。
「ただ、それが言いたい為にね」
「そうした変なことを言うのはよくない」
「そういうことだね」
「先生が駄目と言ってるのは」
「うん、そして間違った知識を世に広めることは」
先生は穏やかなお顔と声ですがしっかりと言います。
「やってはいけないことだよ」
「その漫画はそれをずっとしてきたんだね」
「もう何十年も」
「それって酷くない?」
「かなり悪いことだよ」
「その間違った知識を真に受けている人もいるから」
それでというのです。
「その漫画の罪は重いよ」
「そうだよね、実際に」
「やってはいけないことをやってるよね」
「先生は絶対にそうしたことしないからね」
「間違った知識を世の中に広めることは」
「それは学者のすることでもないし」
それにというのです。
「ものを書く、描く人のすることでもないよ」
「絶対にだね」
「そうしたことをしたら学者じゃないんだね」
「そしてものを書いたり描く人でもないんだね」
「そう、だから僕はあの漫画をもう読んでいないよ」
一度読んでその瞬間に間違っていると確信してからです。
「間違っていることばかりだから」
「読んではいけない」
「そうなんだね」
「間違った本を読んではいけないんだね」
「その間違いを見破れる人でないと」
それこそというのです。
「百害あって一利なしだよ」
「そういう本って何処にでもあるね」
「欧州でもあったしね」
「勿論イギリスでも」
「それで日本にもなんだね」
「あるのね」
「日本は特に漫画文化が発達していて」
それでというのです。
「漫画の影響が大きいからね」
「インパクトがあるのよね」
「絵の方が文章よりもね」
「だから余計にね」
「印象に残って」
「頭に残るから」
「だから漫画で間違った知識を広めると」
先生は紙パックの牛乳を冷蔵庫から出しました、そして。
その牛乳を皆のお皿に入れて回ってです、そのうえで言うのでした。
「ヒットした作品だともうね」
「とんでもないことになるのね」
「その漫画みたいに」
「沢山の人が間違った知識を信じ込んで」
「そう、風評被害を日本全国に拡散している」
まさにというのです。
「そうしたものだよ、まして日本はテレビの報道番組も酷いから」
こちらも問題だというのです。
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