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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第178話

~神域・終点~



「こ、これは……?」

「クロスベル各地の状況……?」

昇降機が上へと上がる最中に次々と見える景色を見たエリィとリーシャは戸惑い

「いや……それだけじゃねえ。過去の出来事みてぇなのも紛れ込んでるみてぇだぞ……?」

「現実世界の欠片……時空を越えて連関してゆく因果……?」

ランディやティオはそれぞれ真剣な表情で呟き

「……あり得ないとは言い切れないみたいだね。」

「……”零の至宝”………その完成形としての”碧の大樹”………」

ワジは疲れた表情で呟き、ロイドは考え込み

「”輝く(オーリオール)”でも、さすがにこんな事はなかったわよね……?」

「そうだよねー………」

「……”輝く(オーリオール)”と”虚ろなる(デミウルゴス)”は根本的な部分が違います……しかしこれは………」

エステルとミントの言葉を聞いたエイドスは真剣な表情で答えた後考え込み

「”虚ろなる(デミウルゴス)”ですらも、こんな真似はできなかったはずだぞ……」

ツァイトは重々しい様子を纏って頷いた。するとその時キーアの顔が出た瞬間、ロイド達が魔人化したヨアヒムによって殺害された瞬間やオルキスタワーが列車砲によって爆破された瞬間の景色が見えた!

「………!」

「な、なんだぁ!?」

一瞬見えた景色を見たロイドは驚き、ランディは声を上げ

「今のは”太陽の砦”の地下に入った時の……!?」

「いえ、エステルさんたちが一緒にいませんでした………それに………」

エリィは戸惑い、ティオは複雑そうな表情で考え込んだ。

「し、しかも今ガレリア要塞の列車砲が起動した瞬間があったよな……!?」

「ああ………あの時は空砲で済んだのだが……」

「……一体どういう事かしら?」

「今の光景って………列車砲によってオルキスタワーが爆破されたよね~?」

マキアスは驚き、ガイウスは頷いた後考え込み、アリサは真剣な表情で呟き、ミリアムは不思議そうな表情で呟き

「………………………」

サラは真剣な表情で考え込み

「…………………」

キーアは目を伏せて黙り込み

「…………………」

ロイドは真剣な表情で考え込んだ。するとその時、ロイドだけ新たな映像――――幸せそうな表情をしている未来の自分がエリィとよく似た女性と飛行船に乗った際、エレボニア帝国の過激派のテロによって自分達が乗る飛行船が爆破する瞬間の光景が見えた。

「!!(今のはまさか……………)」

光景が見えたロイドは目を見開いた後真剣な表情で考え込んだ。

「どうしたんだ?」

「私達には何も見えなかったのですが……?」

ロイド達の反応を見たリィンとエリゼは不思議そうな表情で尋ね

「ああ………朧げながら……キーアの真の力というものがわかった気がする。」

尋ねられたロイドは真剣な表情で答えた。そして昇降機は最上階に到着し、ロイド達は先を進んで最奥に到着した。



~最果ての道~



「―――来たか。」

「うふふ……ようこそ。世界の最果てにして全ての因果律の中心へ。」

最奥に到着したロイド達を待ち受けていたのは大樹の幹らしき部分の前でイアンとマリアベルがそれぞれロイド達を見つめ

「ロイド………エリィ……ティオ……ランディ………それにツァイト達や……………貴女は……………」

幹の部分に埋まっているキーアは辛そうな表情でロイド達を見回した後ロイド達と共にいるキーアに視線を向け

「……………………」

キーアは目を伏せて黙り込んでいた。

(リース、ワジ。手筈通り動くから、いざという時のフォローは任せたで。)

(了解。)

(フフ、”外法狩り”の復活だねぇ?)

そしてケビンは真剣な表情でリースとワジに耳打ちをした後気配を消してその場から去り

「…………(まさか……ワイスマンのように…………)………」

「……………?」

ケビンの行動に気付いたヨシュアは真剣な表情になり、フィーは首を傾げた。

「キーア………!」

「よかった………無事でしたか……」

「キー坊、大丈夫なのか!?」

「もう……!心配ばかりかけて……!」

一方幹に埋まっているキーアを見たロイド達はそれぞれ声をかけ

「―――お久しぶりですね、キーア。私達も帰ってきましたよ。」

「約束、ちゃんと守ったよ!」

「今助けますから待ってて下さい!」

セティは微笑み、シャマーラとエリナはそれぞれ真剣な表情で声をかけた。

「………ゴメンね………キーア……ロイド達に……ずっと話せなかった事があって……黙っていて………騙していてゴメンなさい……」

幹に埋まっているキーアは涙を流して悲しそうな表情で答え

「……謝らないでいい……!負い目に感じる必要もないんだ!」

「あなたが無事でいてくれるだけでわたしたちには十分です……!」

「それに子供なんて、多かれ少なかれ親に隠し事をするのが当たり前だっつーの!」

キーアの言葉を聞いたロイド、ティオ、ランディはそれぞれ真剣な表情で答え

「そんな当たり前の事すら利用してキーアちゃんを唆した――――ベル、イアン先生!貴方達の仕業ですね!?」

エリィは怒りの表情でマリアベル達を睨んで叫んだ!



「ああ、その通りだ。」

「うふふ……恐いですわね。ですがわたしくし達は最大限にキーアさんの意志を尊重していますわ。そうですわよね――――キーアさん?」

エリィに睨まれたイアンは重々しい様子を纏って頷き、マリアベルは微笑んだ後怪しげな笑みを浮かべた。

「………………………」

するとキーアは首を縦に振った。

「くっ………!」

キーアの様子を見たロイドは唇を噛みしめ

「……空々しいです。」

「よくもこの状況でそんな事が言えますね……!」

「先生!見損ないました!幼い子供を騙した挙句利用するなんて!」

「……幼いキーアちゃんを利用するなんて、万死に値するわよ……!」

リーシャとノエルは厳しい表情で叫び、ダドリーとエオリアは怒りの表情で声を上げ

「外道共が………!幼い子供を利用した挙句……ゼムリア大陸中を混乱に導いたその罪……処刑すら生温い!」

「自らの欲望の為に幼き子を利用した事……絶対に許せぬ……!」

「………そなた達には相応の裁きを受けてもらうぞ……!」

ユーシスとラウラ、ヴィクターは厳しい表情でマリアベル達を睨んだ。

「………とにかく、まずは戻ってじっくり話をする所からだろ。」

「そうですね。家族会議というヤツです。」

その時ランディは提案し、提案を聞いたティオは頷き

「フフ……」

ロイド達の傍にいるキーアは微笑み

「えへへ……グス……みんなありがとう………でもキーア……ここを動く事はできないから……だから………」

幹に埋まっているキーアは涙を流して嬉しそうな表情をした後悲しげな笑みを浮かべた。

「キーアちゃん……どうして?」

「……何かあるんだな?”至宝”としての力に関係して。」

「……それは………………」

「……………………」

エリィとロイドの疑問を聞いたキーアは複雑そうな表情で黙り込み、ロイド達の傍にいるキーアは目を伏せて黙り込んでいた。

「うふふ、キーアさん。言ってさしあげたら如何かしら?貴女がこんな事をしているのは”全てロイドさんたちのため”だって。」

「え………」

「……なんだと……」

(まさか……!という事は過去と未来の者達が入り混じったこの状況すらも……!)

怪しげな笑みを浮かべて言ったマリアベルの言葉を聞いたティオとランディは呆け、ツァイトは厳しい表情で考え込み

「……………………」

幹に埋まっているキーアは黙り込んでいた。



「かつての”幻の至宝”と違い、”零の至宝”であるキーアさんには”時”と”空”の力が備わっています。因果と認識に干渉する”幻”の力と時空間に干渉する力が合わさった時……『世界を紡ぐ力』をキーアさんは手に入れたのですわ。」

「世界を紡ぐ……ハアッ!?じゃあ、まさかゼムリア大陸とディル=リフィーナが繋がったのは……!」

「やはりキーアさんが関係していましたか……!」

「…………………という事は俺がサティアと再会できたことすらもキーアが確実に関係しているのか……」

「……恐らくそうでしょうね。エステルの存在がなければ、私とセリカは”影の国”にすら巻き込まれなかったでしょうし……」

(ほう?確かにそんな事ができるなら”神”と言ってもおかしくないな?あの娘がエリュアなのかと勘違いされてもおかしくないぞ?)

マリアベルの説明を聞いたカーリアンは呆けた後声を上げ、エクリアは真剣な表情で呟き、セリカは目を伏せ、サティアは複雑そうな表情で呟き、ハイシェラは興味深そうな表情をし

「す、凄すぎる………”テラ”でもそんな技術、なかったよね……?」

「あ、当り前なの~!」

「……そんな事ができるなら、”星”を滅ぼそうとしなかったわ……」

驚きの表情で尋ねたナユタの言葉にノイとクレハはそれぞれ答え

「ま、まさかそんな事が本当にできるなんて……」

「ミントさんの能力をも超えていますね……」

「さすがにミントでも世界は変えられないよ~。」

「………世界を紡ぎ……過去を変える……貴方達は自分達がやっている愚かさを理解しているのですか………?」

アドルとエレナは信じられない表情で呟き、ミントは疲れた表情で呟き、フィーナは真剣な表情でマリアベル達を見つめた。

「えええええええええええええっ!?で、でも……おかしいよね……?異世界と繋がったのは随分前なのに……!」

「……いいえ。”時空間”に干渉できれば、過去すらも改変できます……!」

驚きの表情で声を上げたエリオットの言葉を聞いたエマは真剣な表情で答え

「とてつもないな……まさに”神の所業”と言ってもおかしくないな……」

「………それまでの過程に一体どれほどの多くの犠牲者達が出たと思っているのよ……!」

ガイウスは信じられない表情で呟き、サラは厳しい表情でマリアベル達を睨んだ。



「……理解している。『碧き零の計画』の最終目標にして根幹ともいえる能力を開花させる………『世界を紡ぐ』――――”すなわち因果律を操作し”、”世界を組み替える”力を手に入れる事なのだから。」

「ハア……!?」

「せ、世界を組み替える……?」

イアンの説明を聞いたランディは声を上げ、エリィは戸惑い

「……世界の事象の全てが持つ”因果(システム)”のネットワーク……それを過去と現在と未来において操作・変更できる能力……?」

ティオは真剣な表情で考え込みながら言った。

「うふふ、さすがティオさんは呑み込みが早いですわね。そう、導力ネットにおいて最上位の管理者が振るえる権限に近いものがありますわね。」

「争いを生み出す現実そのものを改変し、より平和的な現実へ組み替えていく……例えば、両帝国と共和国にクロスベルが従属・翻弄されている現実を組み替え……クロスベルがその3国の上位にある”宗主国”として君臨する現実へと変えることも原理的には可能なのだよ。」

「…………な…………」

イアンの説明を聞いたロイドは絶句し

「……あり得ません……」

「……それは女神にすら不可能な所業の筈です……」

リーシャは目を伏せて呟き、リースは厳しい表情で呟き

「フン、気でも狂ったか?」

「……普通に考えたら到底信じられないわね。」

「そうですね。”エリュア”すらもできるかどうかわからないよね?」

「うむ………その力を使えば現神やわらわ達―――古神の存在すらも消す事が可能じゃからな。」

「………冥き途………消されたら……困る……」

ユーシスは鼻を鳴らし、エオリアは真剣な表情で呟き、リタの言葉に続くようにレシェンテとナベリウスはそれぞれ答え

「め、滅茶苦茶すぎるでしょ……」

「世界を変えるなんて………そんな事が許されると思っているのですか……?」

「はうう~?サリアじゃわかんないです~。」

マリーニャは表情を引き攣らせ、シュリは不安そうな表情で呟き、サリアは混乱した。するとその時、マリアベルは妖しげな笑みを浮かべて驚愕な事実を口にした…………… 
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