困った王子様
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第七章
「感覚、ででしたが」
「あの者は間違っていない」
「はい、ですから」
「任せたのだな」
「そうでした」
「そうか、私もそなたの国の状況を見たが」
「如何でしょうか」
王は皇帝に問い返した。
「それで」
「実にいい」
これが皇帝の返事だった。
「私が見てもな」
「左様ですか」
「あの改革を我が国でも行えばな」
「帝国全体がですね」
「よくなる」
皇帝はこうも言った。
「それも実にな」
「では」
「うむ、幸い反対する勢力もいない」
今の帝国にはというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「そなたの子を宰相にしたい」
この帝国のというのだ。
「そなたの国の王としてだけでなくな」
「宰相にですね」
「帝国全体のな、ではな」
「それではその様に」
「しよう」
こう言ってだ、そしてだった。
皇帝は新王を宰相にした、その時にだ。
新王は皇帝にだ、自信に満ちた声で宣言した。
「陛下、必ずやです」
「この国をだな」
「帝国全てをです」
まさにというのだ。
「一変させてみせましょう」
「そなたの国の様にだな」
「そうです、私の国の様にです」
気取った仕草と声で話す。
「見事な国にしてみせましょう」
「そう思ったからこそだ」
「私を宰相にして頂いたのですね」
「そうだ、では期待に適ってもらうぞ」
「それでは」
新王は宰相に応えた、そしてだった。
彼は帝国全体の改革にかかった、その改革もだった。
見事なものでだ、瞬く間に。
帝国全体が素晴らしいものになった、彼の改革で見違えた。だがこの時にはもう新王について悪く言う者はいなかった。
「お見事だ」
「流石だな」
「あの方のお国と同じだな」
「帝国も変えられた」
「これまでは旧態依然としていたが」
「その帝国がな」
まさにというのだ。
「一変した」
「あの方ならではだな」
「改革を為してくれた」
「あの方ならばだな」
「まさにな」
こうしたことを言うのだった。
誰もが帝国宰相となった彼を悪く言わなくなっていた、賞賛するばかりだった。
その状況を見てだ、彼は家臣達に言った。
「この通りだ、帝国もだ」
「この国全体もですか」
「我が国の様に変える」
「それも必ず出来た」
「王ならばですね」
「そうだ、私ならばだ」
新王ならばというのだ。
「これ位はだ」
「何ともないですか」
「そう言われますか」
「王ならば」
「王のお力ならば」
「私の知識と行動力ならばな」
今も己の執務室でポーズを取りつつ話す。
「造作もないことだ」
「ですか、しかしです」
「まさか王がここまでされるとは」
「王子の時はです」
「失礼ですが思いも寄りませんでした」
「ははは、凡人は最初は理解出来ないものだ」
王子は家臣達のその言葉にも鷹揚に返した。
「しかし実績を出せばだ」
「それが、ですね」
「認められる」
「そうなるというのですね」
「この通りな、実績なぞはだ」
その出すべきものもというのだ。
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