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百人一首

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45部分:第四十五首


第四十五首

                 第四十五首  謙徳公
 慰めはなかった。慰めてくれる人なぞいはしない。
 いらないと言えばそれは強がりになってしまうのかも知れないが。
 他の人を愛せばいい。人は言う。
 けれどそれができるのならば。
 想いを振り切ることが簡単にできるのならば。
 それ程安易な想いであったならば。
 それはできない。自分にはできない。
 一途に想い続けている。今も。
 別れてしまった今も。
 一途に愛し続けて。愛を忘れることはできなくて。
 このまま想いを募らせて。
 そのまま消えてしまうのだろうとさえ思うけれど。自分自身は。この身体は。それでも。
 あの人の心変わりが辛く。
 その心変わりがどうしようもなく悲しくて。
 それが元に戻れば。そのことを願う。
 この気持ちはやがて歌になって。口から出た。

あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな

 歌にも込められている悲しみ。この悲しみを胸に今も溜息をつく。忘れられぬこの想い。想いを募らせ一人の夜を過ごすのだった。いたたれぬ心を。癒されぬ心をそのままにして一人。傷はそのまま残ってどうなってしまうのかわかりはしないけれどそれでも今は。心の傷はそのままにして眠りにつくしかなかった。傷心は何時までも心に残っていく。


第四十五首   完


                 2009・1・28
 
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