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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第170話

~色の領域・最奥~



「はあっ…………はあっ…………」

仰向けに地面に倒れたシャーリィは息を切らせていたが

「あははははははははっ…………!」

すぐに笑顔になって大声で笑いだした!

「な、何でそこで笑えるんだ!?」

「フン、敗北して気でも狂ったのか?」

「………………」

笑いだしたシャーリィを見たマキアスは戸惑い、ユーシスは鼻を鳴らした後目を細め、エオリアはシャーリィを警戒し

「……リーシャ殿との勝負は決した。それでもなお、負けを認めず続けるつもりなのか。」

「さすがの”血染め”でも今の自分と僕達の戦力の違いはわかるでしょ?だから、いい加減負けを認めてよ~。」

「……心配しなくても今の”血染め”は立ち上がる事すら難しいと思う。」

ラウラは警戒の表情をし、ミリアムは疲れた表情で呟き、フィーは静かな表情で言った。

「まいったなぁ…………本当に証明されちゃったよ……」

一方シャーリィは無邪気な笑顔を浮かべ

「はあっ…………はあっ…………」

リーシャは疲れた表情で息を切らせていた。



「でもそれって……ちょっと反則だよね……?ランディ兄や”西風の妖精(シルフィード)”達はともかく……一人だけの力じゃないみたいだし。」

「……それこそが……私の手に入れたものですから…………文句があるなら………貴女も手に入れたらどうですか……?」

シャーリィの問いかけにリーシャは静かな笑みを浮かべて答え

「ふふっ…………今んとこシャーリィには無理かなぁ…………まあいいや……それじゃあサクッと()っちゃってよ…………今だったら思い残す事……あんまりないしなぁ……」

リーシャの答えを聞いたシャーリィは苦笑した後口元に笑みを浮かべてとんでもない事を口にした!

「ええっ!?」

「自分から止めを刺すように促すなんて……一体何を考えているのよ。」

シャーリィの言葉を聞いたノエルは驚き、エオリアは信じられない表情をし

「……だから()りません……人の話はちゃんと聞いてください……」

リーシャは呆れた表情で溜息を吐いた後真剣な表情でシャーリィを見つめた。

「ちぇっ……あーあ……サイコーの気分のままイケると思ったのになぁ……」

リーシャの言葉を聞いたシャーリィはつまらなそうな表情で答え、ロイド達は表情を引き攣らせた。

「―――コラ!ガキがナマ言ってんじゃねえ!」

そしてランディは真剣な表情で叫び

「あはは……!ランディ兄……ヒドいなぁ……言っとくけど……パパがお待ちかねだからね……?覚悟……決めた方がいいと思うよ……?」

シャーリィは苦笑した後真剣な表情で答えた。

「……フン。わかってるっつーの。」

「お兄さんたちも……まあ……せいぜい頑張りなよ……あの”剣聖”もスゴイし……お嬢さんもヤバそうだし……でもまあ……あの子……なんか辛そうだったから……笑顔を取り戻すために……頑張るのもアリかもね………」

「……ああ。勿論そのつもりだ。」

シャーリィの忠告にロイドは頷き

「……ダメだ……落ちる……リーシャ……また今度……遊ぼうね……」

シャーリィは気絶した!すると先を阻んでいた2重の結界は同時に消え、シャーリィの背後に転移魔法陣が現れた!



「…………ふう………」

気絶する様子のシャーリィを見たリーシャは安堵の溜息を吐き

「本当に……お騒がせな子だったわね。」

「ええ……色々な意味でクロスベル中を騒がせましたものね……」

エリィとノエルは複雑そうな表情で呟いた。

「はあ……すまねぇな、俺の身内が。」

二人の言葉を聞いたランディは疲れた表情で溜息を吐き

「でも……キーアのことを気遣ってくれたみたいだな。」

ロイドは口元に笑みを浮かべて呟いた。

「リーシャ。身体の方は大丈夫か?」

「……はい。皆さんがいてくれたお蔭です。それと……私の中にいるイリアさんが力をくれました。だから勝てたんだと思います。」

「確かにそれではシャーリィさんに勝ち目は無かったでしょうね。」

ロイドの言葉に答えたリーシャの話を聞いたティオは静かな表情で呟き

「ええ……負ける訳がありません。」

ティオの言葉を聞いたリーシャは静かな笑みを浮かべて頷いた。

「これで、この”領域”も解放できたと思います。いったん門まで戻りましょうか?」

「ああ、そうしよう。」

リーシャの提案にロイドは頷き

「……”血染め”はどうするの?」

フィーは静かな表情で尋ねた。

「アイツは……まあ、目を覚ますまで放っておいた方がいいだろう。俺達の船に連れて行って暴れられたら迷惑だしな。」

「確かに船には非戦闘員達もいるから、彼らを人質に取る可能性も十分考えられるな………」

「ただこのままだと彼女、失血死してしまうから、応急手当てだけ施しといてあげましょう。」

複雑そうな表情で答えたランディの話を聞いたラウラは真剣な表情で頷いて答え、エオリアは提案した。その後ロイド達はシャーリィに応急手当てをした後転移魔法陣に乗って転移した。

(フウ……”やっぱり”こうなったわね。……仕方ないわね。後顧の憂いはレンが断っておかないとねえ?)

その様子を物陰に隠れて見守っていたレンは呆れた表情で溜息を吐いた後凶悪な笑みを浮かべた。


「…………………………」

ロイド達が転移した後シャーリィは真剣な表情でロイド達が消えた転移魔法陣を見つめ

「あーあ……あの時確実にシャーリィを殺せたのに”テスタ=ロッサ”を壊すだけに留めるなんてね…………ホントもう……調子くるっちゃうよ…………」

リーシャとの最後の攻防を思い出して苦笑した。

「ダメだ……今度こそ落ちる…………」

そしてシャーリィは再び目を閉じ

「……やっぱりスカウト……受けた方が……いいのかなぁ…………?」

静かな口調で呟いた。するとその時

「うふふ…………一体どこにスカウトされたのかしらねえ?」

なんと口元に笑みを浮かべ、大鎌を持ったレンがシャーリィに近づいてきた!

「!!」

レンの声を聞いたシャーリィは目を見開いて無理矢理身体を起こしてレンを見つめた。

「誰?」

「―――”殲滅天使”レン・H・マーシルンよ。こうして顔を合わせるのは初めてよね?”血染め”さん。」

真剣な表情のシャーリィに見つめられたレンは不敵な笑みを浮かべて上品な仕草で会釈をした。

「……”殲滅天使”……ああ、メンフィルの…………それでメンフィルのお姫様がシャーリィに何の用なの?」

「うふふ……それは勿論民を護る皇族の一人として国際犯罪組織”赤い星座”の猟兵達を一人残らず”殲滅”する為にここに来たに決まっているじゃない?」

シャーリィに尋ねられたレンは凶悪な笑みを浮かべて大鎌を構えてシャーリィを見つめた。

「アハハ……そっか……シャーリィに止めを刺しに来たんだ……さすがメンフィルだね……リーシャやランディ兄達と違って、一切容赦しないね…………」

レンに見つめられたシャーリィは口元に笑みを浮かべた後目を閉じ

「いいよ。サクッと殺っちゃってよ…………今、サイコーの気分なんだ…………」

静かな笑みを浮かべてレンを見つめて言った。



「あら。…………うふふ、それじゃあご期待に備えてあげるけど……殺す前に一つだけ聞きたい事があるわ。」

シャーリィの答えを聞いたレンは目を丸くした後凶悪な笑みを浮かべてシャーリィを見つめた。

「んー…………?何ー……?」

「貴女をスカウトしたのは”どこ”なのかしら?」

「ああ…………”身喰らう蛇”だよー…………”道化師”がシャーリィを誘ったんだ…………マリアベルのお嬢さんと一緒に来ないかって…………」

「なるほど…………クスクス。貴重な情報を教えてくれたお礼に良い事を教えてあげるわ。――――”身喰らう蛇”ならとっくに滅んでいるわよ?パパ―――リウイ陛下達が”盟主”を殺したし、各地にいた”蛇の使徒”全員に加え、一部を除いた”執行者”もほぼ全員―――勿論”道化師”も抹殺されたわよ?」

シャーリィの話を聞いたレンは頷いた後凶悪な笑みを浮かべて答え

「へー、そうなんだ………………ありがと…………今のを聞いて完全に心残りがなくなったよ………………」

レンの答えを聞いたシャーリィは静かな笑みを浮かべた。するとその時!

「うふふ……どういたしまして♪それじゃあ、さようなら♪」

レンが一瞬でシャーリィに詰め寄って大鎌を振るってシャーリィの首を刈り取った!静かな笑みを浮かべたシャーリィの首は地面に落ち、首を刈り取られて絶命したシャーリィの死体は地面に倒れた!

「……まさか”結社”がマリアベル・クロイスや”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”をスカウトしていたなんてね…………スカウトしたという事は”執行者”もしくは”蛇の使徒”にしようとしたのかしら?……まあ、今となってはどうでもいい事だけどね♪」

シャーリィを殺害し終えたレンはシャーリィの死体を見つめて考え込んだ後凶悪な笑みを浮かべ

「――――メルカーナの轟炎!!」

指を鳴らした。するとシャーリィの死体や首は業火に包まれ、骨も残さず焼き尽くされた!

「クスクス…………これで後”二人”ね♪この調子で頼むわよ?お兄さん達♪……まあ、せめてマリアベル・クロイスと戦う時ぐらいは手伝ってあげようかしら?」

そしてレンは凶悪な笑みを浮かべて呟いた後、その場から去って行った。



こうして…………”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”は親類にすら知られる事なく短命ながらも満足な生涯を静かに閉じ……”冥き途”へと旅立った…………………… 
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