ヨハンだがこんな状況を覆す
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考える事を放棄した人間は動物に劣る
前書き
沙慈にブライト鉄拳を振りかざしたい。
西暦2312年。地球連邦として各国は一つになりつつあった。
しかし、アロウズは弾圧や虐殺を行っており、世界は今だ統一されてはいなかった。
「今しがた司令部より、独立治安維持部隊アロウズへの転属要請がありました」
「行くつもりかね…」
「えぇ、噂のアロウズを確かめに。それと…」
「成程、あの組織は秘密が多い。私にもやることがあるのでな」
「わかりました。では」
短い電子音と共に通話は切られ、セルゲイはソファに座る。
「マネキン大佐からですか?」
「あぁ、どうやら彼が言っていた時期が来ているようだ」
そうセルゲイは、ヨハンが言っていた事を調べ、軍内部に動きがある事も把握していた。
一方、ピーリスはセルゲイとホリーから養子の話を受けており。承諾しようかと考えていた。
刹那が沙慈クロスロードと出会いCBに戻った頃…
「イアンから極秘で通信があったわ。刹那を発見、合流したみたい」
「よっしゃ!遂に派手に動けるな、兄貴」
「あぁ、だが迂闊に大きく動けばそれだけ予測は狂う。
はしゃぎ過ぎるなよ、ミハエル」
「でもでも、ミハ兄の気持ちわかるかも」
そんな兄弟の会話に、元CB面々は咳払いをして話を戻した。
「で、スメラギさん自分らどうします?」
「私とクリス、それとリヒティは一緒に行くわよ。ヨハン達は地上で待ってて」
「了解だ。スメラギさん弟を頼んだぜ」
「任せて」
FF・CB・カタロン・アロウズ・イノベイド……時代は動き出していた。
―――――――――――――――――――――
「なんなんだお前、人を呼び出しておいて、いきなりCBがどうたらって」
「ニール・ディランディはガンダムマイスターだった」
「兄さんがガンダムマイスター?」
「そうだ、彼はガンダムに乗っていた」
「乗っていたって。兄さんは死んだのか?」
「いや、だが以前の戦いで目を負傷し別の組織に所属している」
「で、俺に兄さんの跡を継げって?」
「いや…。だが、兄と同じ様に世界を変えたいと願うなら…そのために戦う覚悟があるなら」
その後、マネキンとピーリスがアロウズに合流。一方刹那もライルをつれて母艦へ向かう。
そして刹那はツインドライブを搭載したダブルオーガンダムを機動させる。
地上で息を潜めているFF。拠点にはマザーバンガードに大型のGNコンテナをつけた形をした母艦。
名をGNバンガード。この母艦に物資を積み込み、タチコマ型HAROに作業をしてもらいヨハンはクルーと話しをしていた。
「グラハム、君のライバルは復帰したようだ」
「漸くか、少年。ヨハン彼らの動きは」
「勿論観察は続けている。で、そろそろ出発するぞ」
「承知した。」
グラハムとヨハンが見上げるそこには、グラハムの専用機。
モデルはZZガンダムとシナンジュ、そしてフラッグのフェイスを使用した可変機。
シャープなフラッグフェイスが彼らに反応し、輝いて見えた気がした。
刹那達が、アレルヤを救出する作戦を行い、アザディスタンの王女マリナ・イスマイールを一緒に救出した。
そんなCBの彼らは、水中を潜航している。
「助けて戴いた事、そして五年前…アザディスタンの内紛を止めて戴いた事。本当に有難うございました。
戦いを行わずに、内紛を止めた…あの行為はとても素晴らしい物だと思います」
「そんな事はいい…これからどうする」
「アザディスタンに戻ります」
「無茶だろ…」
「保安局がくる…」
刹那が、そう言葉にしティエリアも言葉を重ねようとした時。通信が入り、FFの三人兄弟が来るという知らせが入った。
「今の通信で言われていた人達は…」
「同盟を組んでいる、組織の上位三人だ」
沙慈はイアンに彼らの事を聞いていた。
「まさか、ルイスをやった人達?!」
「いや、違うな。こればかりは本人達に聞いてもらう他ないがな。だが普通の奴らよりよっぽど考えている」
「考えている?」
「あぁ、色々な事を…な」
―――――――――――――――――――――
「来た様ね…」
リーサは、目の前のモニターを見ながらつぶやく。
「スメラギさん、彼らから通信で拠点に案内するとの事です」
「助かると伝えて。それに彼らの拠点は凄いわよ、少し気分転換できるかもね」
「そいつは楽しみだな」
プトレマイオス2、GNバンガードは集合した海域から離れていった。
プトレマイオス2は、MAトリロバイトの攻撃により穴が開いており、タチコマ型HARO達を借りてイアンが補修を進める。
タチコマ型HARO、これ以後略してタチハロを初めてみた者は興奮していた事を報告しよう。
そんな中、ヨハン達が顔を合わせているのは沙慈・クロスロード。
そしてマリナ・イスマイールだ。
「ねぇ、ヨハ兄。なんであたし達二人に詰め寄られてるの?」
「俺達が巨大な武力を持ってる事が気に食わないらしい」
「君たちがこんな力を持っていたら、また世界は歪んでしまうじゃないか!」
マリナは厳しく見つめるだけだが、沙慈は怒り心頭といった所か。
「沙慈と言ったな、俺達が武力を持つ事をお前は否定するがな。
戸籍すらなく、どこの保護も受けられない状況、しかも狙われていて呑気に生きていけるのか」
「そんなのわからないじゃないか!」
「あぁ、わからないね。だけど同じ様に俺達の苦労をお前も知らねぇだろ」
「そうよ!もっと言ってミハ兄」
「はぁ~、やめろお前たち」
「貴方たちが、それがなくてはいけなかった事はわかりました。ですが、貴方たちはこの力を何に使うのですか?」
マリナが俺達に聞いてきた。
「無論、自らの自由を勝ち取るため。そして産まれた物の義務を全うするためです」
「義務とは…」
「世界を今より良くするという事です」
「それはつまり戦うって事じゃないか!」
「お前に何かを言う権利などあるか!」
俺は沙慈の襟を掴み、壁に押し当てる。
「いいか。お前はただ与えてもらう事に甘んじ、何もしようとせず。剰え他人の批判だと?甘ったれるな。
五年前、CBが武力介入をしなければ、世界の問題は取り上げられず国民はそれに向き合う事もしなかっただろう。
そんな世界を良しとしたのはお前たちだろう?それが親しい者が死んだから、俺は被害者だってツラで喚く。
いい加減理解しろ。世界はそんな甘くはないって事をな」
沙慈を放し、俺はその場を離れる。
「あ~あ、兄貴ガチ切れだよ」
「しょうがないじゃん、ヨハ兄がやってなかったらあたしもやってたし」
「貴方たちは過酷な道を歩んでいるのですね…」
「ビアンが言ってたけど、平和に溺れるなって言ってたし」
ミハエルが放ったビアンの言葉に、マリナは深く考えさせられる事となった。
「いや~ヨハン君のさっきのセリフは耳が痛いよ」
「私もだ。精進せねばな」
それから数刻のち、CBが接触したカタロン基地が、襲撃を受けるという報告がなされる。
後書き
タチコマ風HARO乗せでございます。
ヨハンは人を信じていますが、変わるには痛みを知らなければと考えています。
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