Three Roses
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第十二話 孤独の者その五
「受けよう」
「お話をしてですね」
「正式に手を結びますね」
「これまでも連絡を取ってきましたが」
「これからは正式にですね」
「そうしよう、では公爵をお呼びしてくれ」
自分の前にというのだ。
「それではな」
「はい、それでは」
「公爵にその様にお伝えします」
「では、ですね」
「二人で」
「会おう、それではな」
ここまで話してだ、そしてだった。
太子は側近達が差し出した柑橘類を搾ったそのジュースを口にした、そのジュースを飲みながらこんなことも言った。
「柑橘類も高価だな」
「この国ではですね」
「帝国と比べて寒い国にありますので」
「どうしてもですね」
「柑橘類は少ないですね」
「高価なものです」
「香辛料もまだ少ない」
帝国にはあるこれもというのだ。
「非常にな」
「全くですね」
「この国自体が貧しいです」
「柑橘類も香辛料もありません」
「どちらも」
「茶もコーヒーもだ」
そういったものもというのだ。
「少ない、王室は質素だが」
「この国自体がですね」
「貧しいですね、まだ」
「貿易も盛んではありませんし」
「それまで至っていないですね」
「そうだな」
この国のそうしたことも話すのだった。
「王権まだ強くなくだ」
「それを固めている最中ですね」
「中央に権限を集めている」
「そして国内の内政の改革を進めている」
「まだその段階ですね」
「貿易はそれからだな」
太子は目を鋭くさせたうえで言った。
「この国は」
「そして豊かになる」
「それはこれからですね」
「だからまだ貧しい」
「そうした国ですね」
「まだまだだな、だが国内を整備してだ」
王権を強化しその下で内政を整えてというのだ。
「周辺国を抑えるか一つにするとな」
「それからですね」
「貿易にも乗り出せますね」
「そして豊かになれる」
「そうなれますね」
「まだ時間がかかるがそうなることは出来る」
間違いなくとだ、太子は言った。
そしてだ、ジュースをまた一口飲んでからこうも言った。
「幸いこの国は四方を海に囲まれている」
「それだけに操艦が得意ですね」
「いい船乗りが揃っています」
「その技術も進んでいます」
「我々と同じだけ」
「いい船も数は少ないが存在している」
太子はこのことも指摘した。
「それではだ」
「貿易に乗り出せたらですね」
「豊かな国になれますね」
「そして強力な海軍も持てる」
「それも可能ですね」
「この国とは今は縁戚まで結んでいる仲だが」
他ならぬ自分自身のことをだ、太子は語った。
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