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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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118部分:第十四話 死者の顔その五


第十四話 死者の顔その五

「入るぞ」
「ああ」
 こうしてデスマスクを先頭に巨蟹宮に入る。そして中に入ると。ギリシアの神殿を思わせる巨大な宮殿の中を不気味な呻き声が響いていた。それは明らかに人の声だった。
「これは一体・・・・・・」
「何だ?」
 アルデバランとアイオリアがまず顔を顰めさせた。
「人の呻き声が聞こえる」
「何故この様な場所に」
「すぐにわかるさ」
 デスマスクは振り向くことなく二人に対して述べた。
「すぐにな」
「すぐにだと」
「デスマスク、まさか貴様」
「ほら、見えてきたぜ」
 二人の言葉を遮るようにしてまた言った。
「あれだよ。見てみな」
「なっ、これは」
 今度声をあげたのはミロだった。
「何と恐ろしい・・・・・・。これはどういうことだ」
「俺の技のことは知ってるよな」
「う、うむ」
 ミロは異様なまでに落ち着いたデスマスクの声に対して言葉を返した。
「冥界の技だったな。代々のキャンサーの黄金聖闘士と同じく」
「それだよ。特に積尸気冥界波だな」
「あれか」
「あれを使ったらこうなるんだよ」
 こうミロに言うのだった。
「こうな」
「だからなのか。それでは」
「これは貴殿が倒した狂闘士達の顔だな」
 カミュは冷静さをここでも崩してはいない。
「そうだな」
「知ってるのかよ、カミュ」
「話は聞いていた」
 やはり振り向かないデスマスクに言葉を返す。
「積尸気の技で死んだ者はその者の側で死者の顔となりその者が倒れるまで永劫に呻き声をあげ続けるとな。それは聞いていた」
「そういうことさ。だからだよ」
 やはり振り向かないデスマスクであった。
「これはな」
「そうだったのか」
「多いな」
 シュラはその死者の顔を見ながら言った。見れば宮の床や壁、柱、天井にまであるその顔は既に数え切れない程あった。その顔達を見ての言葉だ。
「どれだけあるかわからん」
「そうだろうな。随分殺してやったからな」
「そうか」
「全部インプ共だぜ」
「見れば女もいるぞ」
 シュラはこのことをデスマスクに指摘してきた。
「そしてまだ子供も」
「そうか」
「老人もだ。全員インプだな」
「だったらまだいいさ」
 デスマスクはここで意外な言葉を口にした。
「まだな」
「!?どういうことですかそれは」
 アフロディーテが今のデスマスクの言葉に問い返した。
「デスマスク、まだいいとは」
「俺達は黄金聖闘士だ」
 またこのことを言うデスマスクだった。
「俺達が出る時はどういう時だ?」
「世界に危機が訪れた時」
 アフロディーテだけでなくここにいる全ての者がわかっていることだった。
「その時にこそ我々は」
「そうだよな。そういう時に多少の犠牲がどうとか言っていられるか?」
「何っ!?」
「デスマスク、何が言いたい」
 今のデスマスクの言葉に言い返したのはアイオリアとアルデバランだった。
「犠牲だと」
「それはつまり」
「俺達の技はどれもこれもかなりのものだ」
「それはそうだが」
「しかし今の犠牲というのは」
「使えばどうなる?」
 ここでも彼等の方を振り向かないデスマスクだった。
 
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