転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1431話
「……は? 草壁の行方が分からない? 何でまたそんな事になったんだ?」
司令室の中で白鳥にその話を聞かされ、思わずそう問い返す。
現在俺以外の面子は治療行為を続けている。
白鳥側の勢力だけではなく、草壁側の勢力に対しても区別なく治療を施しており、草壁側の兵士だった者達は、敵味方の区別なく回復してくれる近衛の姿に感動しているという報告も受けているのだが……それはともかく。
数時間前に流された白鳥の映像が、草壁にとって大きなダメージになったというのは理解出来る。理解出来るんだが……
「だからって戦いを投げ出して逃げ出すのか?」
「ええ。ある時を境にして、草壁中将が姿を消したらしいです。他にも何人かが……」
「なるほど。1人だけじゃなく、幕僚もか。だとすれば、次にどんな手段に出るのかは大体想像出来るな」
今の状況で勝ち目がないと判断し、それでいながら降伏はしなかった。
つまり、まだ自分の行動を諦めてはいないんだろう。
……まさか草壁がこんな真似をするとは思わなかったが。
「捜索の手は?」
「勿論出しています」
「北辰達は?」
「しっかりと護衛を……いえ、見張っています」
以前笠の男を捕らえた時は、草壁の手配で逃がされたが……
今回その辺はそんなに問題がないと思われる。
そんな状況だけに、見張りじゃなくて護衛と言っても仕方がないか。
「じゃあ……取りあえず草壁はいなくなったし、この戦いは終結したと考えてもいいのか?」
「ええ。……正直、最悪の場合は開発途中のテツジンを使う羽目になると思ったんですが」
「……テツジン? 何だそれ?」
初めて聞く名前に、そう尋ね返す。
以前神楽坂と一緒に基地の中に忍び込んでデータを抜き出してきたが、その中にテツジンとかいう単語はなかったと思うが。
そんな俺の疑問に満ちた言葉に、白鳥は珍しく笑みを浮かべて口を開く。
「アクセル代表も知りませんでしたか。テツジン……ジンシリーズという機体で、木連の秘密兵器のようなものです。今も言ったように、まだ開発途中で完成はしてませんが」
「秘密兵器、ね。なら何でそれを俺に言うんだ? まだ開発途中の秘密兵器なら、当然それを部外者の俺に言うのはおかしくないか?」
「そうですね。ですが、これは私からの誠意だと思って下さい。これからの私達は否応なくシャドウミラーと関わっていくことになると思いますし、私自身もそれを望んでいます。その為の誠意だと。……勿論この件については元一朗達も知っています」
へぇ、予想外に強かだな。
自分達の開発している新兵器の情報を……それも俺達が全く入手していなかったものの情報を、こうもあっさり渡すとは。
シャドウミラーの機体との間にある能力差を考えて、そのテツジンとかいうのを使ってもどうしようもないからなのだというのは何となく理解出来るが。
それでも、こうもあっさりと決断出来るというのは驚き以外のなにものでもない。
「新兵器、か。具体的はどんなのだ? 少し興味あるな」
今まで木連が使用してきた兵器は、バッタを始めとした小型無人機を主戦力として、カトンボ、ヤンマ、チューリップがメインだった。
それと、火星で地球との会談をした時に乗ってきた新型艦……実験艦だったか? それもあったな。
その辺を考えると、やっぱり戦艦かと思ったんだが……
「これです」
そう言って白鳥が俺へと渡してきたのは今時珍しく紙に印刷された書類。
いや、シャドウミラーでは未だに結構使われているし、物凄い珍しいって訳じゃないんだけど。
ともあれ、その書類へと目を通し……
「本気か?」
俺の口から思わず出た言葉はそれだった。
そんな俺の言葉に、白鳥は若干心外だといった表情を浮かべつつ、それでも頷きを返す。
「ええ、勿論本気です。先程も言いましたが、この機体は既に開発中ですから。恐らくそう遠くない内に完成するでしょう」
もしその言葉が本当だとすれば、俺は多少木連の開発能力を見くびっていた事になる。
生産プラントがなければ駄目なのかと思いきや、自力でこれだけの機体を開発するとはな。
いや、新型艦を開発していたんだし、それはある意味当然の出来事でもあったのだろうが。
勿論火星古代文明の生産プラントがあり、それを調査して技術を完全ではなくても自分達のものにしてきたからこそ出来たのだろう。それは間違いないが……それでも、俺は若干木連の技術力を見誤っていたのかもしれない。
考えてみれば、木連にいるのはゲキガン魂に溢れたヤマダモドキばかりだ。
この手の人間は一つの事に熱中すると、とてつもない集中力を発揮する。
その集中力を発揮し、生産プラントの解析をしたら……もしかしたら、本当にもしかしたらだが、生産プラントの技術をある程度は入手する事が出来たのかもしれない。
それが、このジンシリーズの1号機テツジン。
機体のコンセプトは、そのままゲキガンガー。
もっと言えば単機で敵に絶対的な被害を与える機体といったところか。
ただ、この書類を見る限りではエステバリスのような細かい相手を敵にするには向いていない。どちらかと言えば、戦艦のような巨大な存在や……それこそ基地とかを破壊するするのに向いている。
いわゆる、MAや特機的な存在と呼ぶべきか。実際この世界の標準的な人型機動兵器であるエステバリスと比べると桁違いに大きい。
大体全高30mと書類には書かれているので、シャドウミラーがつい最近開発したファブニールと同じ大きさな訳だ。
全長と全幅を考えると質量的には圧倒的にファブニールの方が大きいんだが。
また、相転移エンジンを搭載しているというのも少し驚きだ。
今までは戦艦にしか搭載出来なかった相転移エンジンだったが、曲がりなりにも人型機動兵器に相転移エンジンを搭載出来るまで小型化したんだから大したものだ。
この辺、俺が木連を侮っていたという証になるんだろう。
勿論特機級の機体にようやく相転移エンジンを搭載出来るのだから、シャドウミラーから見ればまだまだ未熟と言ってもいい。
だがそれでも、木連のように人型機動兵器の概念がそこまで発達していない状態でこの成果というのは非常に大きい。
また、機体の大きさや相転移エンジンを活かした強力な武装も装備している。
例えばナデシコやヤンマでお馴染みのグラビティブラストや、こちらはきちんと役に立つのかどうか分からないがその巨体を利用したロケットパンチ、それと口からレーザーも発射可能らしい。
さすがに準特機級と呼ぶべきか、この世界の人型機動兵器として考えれば極めて強力な攻撃力を持っている。
更にこのジンシリーズが強力なのは攻撃力だけではない。ナデシコ世界のバリアとしては強力なディストーションフィールドまでも装備している。
これもまた、相転移エンジンの恩恵だろう。
つまり、ダウンサイジングされたナデシコのようなものな訳だ。
それでいて準特機級……全高30m程度まで小型化する事に成功している。
更に……と、書類の続きを読んでいき、そこに書かれている内容を見て白鳥の顔をマジマジと見つめる。
「これは……どうなっている?」
「はい? 何がでしょう?」
白鳥の方は俺が何を言っているのか本気で意味が分からないといった様子でこっちを見てくるが……そこに書かれている内容は、明らかに俺の予想の範囲外のものだった。
「ここにはジンシリーズは単独で転移可能とあるが?」
俺の知ってる限り、このナデシコ世界の転移はシステムXNと違って生身の人間には転移は不可能だった筈だ。
その証拠が、以前俺が火星で見つけた駆逐艦のクロッカスだろう。
地球でミスマルがミロンガ改を奪おうとして襲ってきた時に姿を現したチューリップに丸呑みされ、結果として火星に転移していたのだが……その乗員は皆が姿を消していた。
死体も残らないようにして、文字通りの意味で消滅してしまっていたのだ。
クロッカス程の駆逐艦ともなれば、乗員の数は100人近い筈だ。特にナデシコと違って自動化がそこまで進んでいないという事もあり、人数は多かったと思われる。
その100人近いだろう乗員でさえ消滅してしまったのに、ジンシリーズではその転移を扱うといういうのだから疑問に思っても当然だろう。
だが、白鳥は寧ろ俺のその質問に驚いたように目を大きく見開く。
「え? あれ? えっと、言ってませんでしたか?」
「何がだ?」
白鳥の口調から、何かの機密のようなものがあるというのは予想出来たが、それを聞いた覚えはない。
……もしかして、何かを言おうとしたけどエザリアの映像ですっかり忘れてたのか?
うん、何だかんだと白鳥にも地味にドジなところがあるのを考えると、普通にその可能性がありそうな気がする。
そして事実……次の瞬間に白鳥の口からでたのはそれを示す言葉だった。
「木連では長年に渡り次元跳躍……シャドウミラーの言葉で言うと転移の研究をしてきました。その結果、次元跳躍門を使った生身での転移は不可能だという事が分かったのですが、同時にパイロットの遺伝子を操作すれば次元跳躍門の転移に耐えられるという事が分かっています。そして優人部隊というのは、その遺伝子操作をした者達の事なので、問題なくジンシリーズでの次元跳躍は可能です」
「……遺伝子操作、か」
別にその言葉にそこまで忌避感を持っている訳ではない。
そもそもプラント出身のイザークやエザリアは遺伝子操作されたコーディネイターなのだから。
それに遺伝子操作された訳ではないが強化人間のアウル達がいるし、Wナンバーズやレモンといった風に遺伝子操作に近い技術を使って生み出された者は他にも大勢いる。
そして何より、スライムによって鬼神や悪魔、精霊を取り込み、闇の魔法の暴走によって最終的には混沌精霊となってしまった俺がいる。
その辺を考えれば、遺伝子操作? ふーん。というのが正直な気持ちだ。
だが、白鳥の方はそんな俺の態度に驚いたのだろう。慌てたように口を開く。
「アクセル代表、その……何とも思わないんですか?」
「別に? そもそもシャドウミラーには人造人間だっているんだから、遺伝子操作程度で別に驚くような事はない」
個人的にナデシコ世界で使われているナノマシンについては悪い印象が多いが、それだってシャドウミラーで使わないってだけで、この世界で普通に使う分には全く問題ないんだし。
……ナノマシンはなぁ。どうしても暴走するようなイメージしかない。アインストとか。いや、アインストは別にナノマシンじゃないか。
俺が生まれた世界で戦ったアインストは、トラウマ的な傷を残している。
それでも次の世界でアインスト共の親分を消滅――正確にはヒリュウ改やハガネの部隊から掻っ攫った感じだったが――させたので、その辺は大分マシなんだが。
「そうですか。それを聞いて安心しました。とにかく、次元跳躍を使う事によってジンシリーズは非常に高い能力を誇ります」
「だろうな」
書類を読む限りだと、ジンシリーズの転移可能な距離はそこまで長くはない。
だが、代わりにシステムXNとは違って転移フィールドの生成という手間は少ない。
まさに一長一短だな。
つまりこのジンシリーズという兵器は、敵の懐の中に転移で侵入し、グラビティブラストとかを使って大きなダメージを与え、敵が反撃の耐性を整えるよりも前に転移して脱出するというのが基本戦術なのだろう。
正直、シャドウミラーなら対応も可能だろうが、今のナデシコ世界でこの戦術を使われた場合、それに対抗出来るのはどれだけいるのか……
リョーコ達ナデシコに乗ってるパイロットならどうとでも出来そうだが、それ以外に連合軍のパイロットとかでは対処するのも難しいだろう。
そういう意味では、草壁が……いや、待て。
「このジンシリーズ……当然草壁も知ってた筈だな?」
「ええ。寧ろ草壁中将が音頭を取ってジンシリーズの開発を進めていたので」
「……なら、草壁がジンシリーズを使って何か行動を起こすという可能性も否定するべきじゃないな」
「いえ、ですが……ジンシリーズを開発していた施設はこちらで入手してますし、部品に関しても生産プラントをこちらが押さえた以上、無理は出来ないんじゃ?」
「俺が押さえた生産プラントは全部で7割。残り3割は草壁が確保したんだろ?」
10-7=3。
考えてみれば明らかだ。
だが、白鳥はそんな俺の疑問に即座に言葉を返してくる。
「草壁中将が行方不明になった時、すぐにこちらの手の者を送って生産プラントは確保しています。データからも、特に部品を持ち出した様子はなかったので、その辺の心配はいらないと思いますが……」
「……だと、いいんだがな」
草壁は何だかんだと用意周到なところのある男だ。
今回の件でジンシリーズの設計図のコピーくらいは用意してあるだろう。
資材がなければどうにも出来ない筈だが……妙な行動を起こさないといいんだけどな。
微妙に嫌な予感を覚えつつ、まずは木連を纏めるのを最優先にするのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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