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Three Roses

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第十一話 葬儀と即位その七

「最初から王位継承権は高い地位にあったしだ」
「このままにされたのですか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「最初からそうするつもりだった、それにだ」
「資質から見てもですか」
「マリー王女が最もいい」
 この国の次の主にというのだ。
「だからマリー王女を第一にするのだ」
「マリア王女よりもですね」
「娘もそれで納得している」
 実はマリアには既に自身の考えを話していた、そしてマリアは父のその考えに何も反論することなく頷いているのだ。
「問題はない」
「マリア様については」
「左様ですね」
「そうだ、しかし何も問題はないかというと」
 ここで王は顔を曇らせてだ、側近達にこうも話した。
「そうでもない」
「マイラ様の後ろにいる帝国ですね」
「ロートリンゲン家ですね」
「あの家は間違いなく動いている」
 その姿は見えないがというのだ、動いているそれは。
「何もしないでいる家ではない」
「婚姻を結んだからには」
「間違いなくですね」
「動いている」
「そう考えることが自然ですね」
「その動きが見えないから手の打ちようがないが」
 旧教の司教達が太子達の動きを隠していることには気付いていないのだ、王も影をさらに覆う影には気付けない。
「しかしだ」
「それでもですね」
「ロートリンゲン家は動いていますね」
「そのことは間違いないですね」
「だからこそですね」
「用心していよう」
 これが王のロートリンゲン家への考えだった。
「共に王国と対する盟友であり何かと助けられているがだ」
「それでもですね」
「あの家は他国を取り込み大きくなってきた家であるが故に」
「それで、ですね」
「油断は出来ませんね」
「この家も取り込むつもりだ」
 エヴァンズ家もというのだ。
「間違いなくな」
「あの家の婚姻はそれをも狙う故に」
「だからこそですね」
「何としてもですね」
「乗っ取りは防ぐべきですね」
「何としても」
「マイラ王女の婚姻は望むものだが」
 エヴァンズ家としてもだ、帝国との盟約になるからこそ。
「最初から注意していたことだがな」
「あの家のそうした取り込みにはですね」
「注意しておきますか」
「このまま」
「乗っ取られない様に」
「そうしていこう、どうもだ」
 王はこうも言った。
「近頃身体の調子がよくない」
「まさか」
「そうは見えないですが」
「いや、どうもだ」
 どうにもとだ、浮かない顔で言うのだった。
「近頃身体が疲れやすい」
「そうなのですか」
「どうにもですか」
「ではお身体にいいものを召し上がられて下さい」
「滋養の薬も」
「そうすべきか、先王にお勧めした様に」
 王はその浮かない顔で言った。 
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