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ドリトル先生の名監督

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第一幕その二

「見ている人は見ているから」
「こんな野暮ったい人間もてないよ」
「だから人は顔じゃないの」 
 外見ではないというのです。
「何度でも言うわよ」
「今はじめて知ったよ」
「自分が女の人にも人気があるって」
「そうよ、あるのよ」
「それは初耳だよ」
「外見でもお金でもないの」
 ここでこうも言ったサラでした。
「そんなのが好きな女の人はまともな人じゃないから」
「悪い人だっていうんだね」
「そんな人はどうでもいいのよ」 
「じゃあ大事なのは」
「そう、いい人と結婚することよ」
「いい心の女の人とだね」
「ほら、日笠さんとか」
 かなり具体的に言ったサラでした。
「いいでしょ」
「いやいや、日笠さんは僕に興味ないよ」
「本当に?」
「絶対にね」
 自分ではこう思っている先生です。
「本当にね」
「そうかしら。まあとにかくね」
「結婚だね」
「そう、結婚を考えるのよ」
 それこそというのです。
「冗談抜きでそれこそね」
「ううん、それじゃあ」
「ええ、あとね」
「あと?」
「いや、日本はやっぱり美味しいものは多いわね」
 今度はこう言ったサラでした。
「イギリスはね」
「ああ、僕達の祖国はね」
「そっちはどうしても駄目だから」
「うん、そうだよね」 
「しかもヘルシーで」
 健康的にもいいというのです。
「いいわね」
「お陰で毎日美味しいものを食べてるよ」
「羨ましいわね」
「このお茶もね」 
 それもとです、サラは玄米茶を飲みつつ言うのでした・
「美味しいわね」
「そうそう、お菓子もね」
「お団子、お饅頭、ういろう」
 本日の三段セットはこうしたものです。
「違うわね」
「こっちも美味しいよね」
「ビスケットにしても」
 イギリスのものですが。
「こっちのビスケットの方が美味しいわね」
「ははは、イギリスは本当に美味しいものがないのかな」
「少なくとも日本には負けているわね」
「ビーフシチューにしてもだね」
「シチューもね」 
 サラ箱のお料理のこともお話しました。
「あれもね」
「日本のシチューの方が美味しいね」
「うん、和風シチューもね」
「お味噌汁?」
「いや、肉じゃがだよ」
「ああ、あのお料理ね」
「食材は一緒なんだよ」
 シチューと、です。
「お肉にジャガイモだからね」
「それで味付けは日本ね」
「そうなったんだよ」
「ビーフシチューが肉じゃがになるなんて」
「不思議だよね」
「全くよ、ただ本当にお料理も美味しい国ね」
 日本もというのです。
「兄さんそちらでも恵まれているわよ」
「うん、幸せ者だよ僕は」
「じゃあもっと幸せになる為に」
「そう、結婚もよ」
 それもというのです。
「わかったわね」
「それじゃあ」
「そう、絶対にいい人が近くにいるから」
 もう確信しているサラです。 
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