高校生エレクトローター
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三十九話 緊張(テンション)
前書き
久しぶりの投稿です!
少し語彙力が付いていたら良いなと思いながら書きました。
感想を頂けると嬉しいです。
「緊張してる?」
担任の先生は明るい女性で歳は大体30前後だろう。不自然にお腹が膨らんでいる。中に赤ちゃんがいるのだろう。
8月上旬の少し遅めの入学である。小学校も行ったことない広翔は不安な気持ちでいっぱいだった。
緊張とはた違う、フワフワとした体が浮くような感じがした。
違う世界にきてしまった…
不安と少々の期待が心の中で交差する。
「はい…」
広翔は正直に答えた。
すると先生はニコッと微笑んで、また前を向いてスタスタと廊下を歩いていく。
ホームルーム中で他教室の先生の声があらゆる場所から聞こえてくる。
ガラス越しに見える生徒達がこちらを見ている。
少し体が強張る。
「小学校はどこだったの?」
「ぁ...…東北の方の…です」
嘘をついた。
後からバレたら厄介になりそうで、すぐに後悔した。
しかし、説明しても面倒くさいことになりそうなので仕方ない。
やはり知っていなかった。
小学校に通っていなかったことは、校長先生しか理解していないのだろうか。
「東北?どこら辺の?」
突っ込んできた。
その質問はやめてほしい。
「ぁ…極エリアの方…です」
極エリアとは元北海道の事である。
北海道は上下にエリアが分かれ、上が極エリア、下が北海道エリアと名付けられた。
極エリアは寒冷化の影響で人が住めない環境になってしまった。そして、そこにはロシア連邦の軍事基地が設置され、多くのロシア人が住めるようになっている。
小さいとき極エリアにいたのは本当だ。
「そっかぁ…それは大変だったでしょう?」
先生は気を使う顔をした。
「そうですね…」
適当に誤魔化した事を深く後悔した。北の事などあまり知らない。これ以上何か聞かれたら、と思うと、変な汗が出そうだ。
急に止まり、自動でドアが開いた。
中には生徒がぎっしりと並んで座っている。
「教室、ここね」
「はい…」
小さな返事をして、先生に続いて教室に入っていった。生徒達はデバイスに注視していたが、入った途端、教室が騒ついた。
視線を浴びながら、トボトボ歩き、教壇に立つ。
「はい静かにー!」
パンパンと手を叩くと、すぐに話し声がなくなった。
「じゃあ、出身校と名前言って」
すこし焦ったが、
小さく頷き、前を向いた。30人くらいの視線を浴び、クラクラとめまいがする。
「えー…あの、極エリアから来ました、美咲広翔です。…よろしく」
拍手が湧いた。
「えーどこでも良いけど、あそこの奥の席座って」
どこでも良くなかった。
後ろの席が2つ空いていたので、近かった窓側の席を選んだ。
そのまま、先生の話が続いたが、隣の女の子が小さな声で話しかけてきた。
「ねぇ、私、桐生海波ね。よろしく」
嬉しそうな顔で挨拶してくれた。
後書き
感想待ってまーす
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