転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1425話
白鳥、秋山、高杉、そしてヤマダ。この4人の説得により、最終的に月臣は白鳥の要請を受け入れた。
勿論全てを無条件に受け入れた訳ではない。
こちらとしても、即座に月臣をこちら側に迎え入れるとは思っていなかったので、ある意味予定通りではある。
だが……月臣がこちらに来る為の条件として挙げたのは、そう簡単に認める事が出来ないものだった。
何故なら、月臣の条件というのは草壁を自分が説得する機会を欲しいというものだったのだから。
勿論すぐにでも説得出来るとは思っていない。
月臣にとって、草壁というのは今でも尊敬すべき上司なのだ。
いや、それは月臣だけではなく白鳥、秋山、高杉に関しても同様だった。
その3人が俺に頼んできたからこそ、月臣の要求を受け入れる事にしたのだ。
……正直、草壁がそう簡単に自分の主張を曲げるとは思わないけどな。
俺から見れば、草壁は自分の決意を押し通す為には多少の犠牲は厭わない。
いや、多少では済まない。どれ程の犠牲が出ようとも、自分の意思を押し通すような性格をしているように思える。
その辺を考えると、出来れば草壁はなるべく早く排除した方がいいと思うんだが。
勿論排除と言っても殺すという訳ではない。軟禁……というのはちょっと言い方が悪いが、そんな感じだ。
今の木連を実質的に動かしているのが草壁である以上、その草壁をどうにかすれば木連が賊軍に協力するという事もなくなる……筈だ。
実際には本当に草壁だけで木連を動かしていたって訳じゃないんだろうから、色々と混乱しつつも動きが止まらない可能性もあるが。
「で、こっちの準備はいいの?」
「ああ」
エリナの言葉に頷きを返す。
今日がまさに木連の分水嶺。
優人部隊の幹部といも言える白鳥、月臣、秋山の3人……そして秋山の副官である高杉をこちらに引き込んだ事により、優人部隊は基本的にこっちの手の中に入った。
草壁に対する忠誠心を抱いている奴も多かったが、間違っている上司を止めるのもゲキガン魂だ、といった感じで説得していったらしい。
……よくそれで説得出来るなとは思うが、木連の人間だとそれで十分なのだろう。
何気にヤマダも最近は白鳥達と行動を共にするようになってきて、木連に知り合いを増やしていた。
そして一番良かったのは、やはり忙しさそのものだろう。正確には高杉限定だが。
神楽坂にフラれた経験は未だに高杉の中にあり、それを忘れようと必死に動き回り、忙しさにその身を委ねていた。
失恋の傷は時間が癒やすという言葉は良く聞くが、それが真実であったというのを見事にこの目で見たといった感じだ。
ともあれ、現在の俺達は月臣が草壁の説得をしている間はやる事がない。
いや、説得が物別れになればその時点で行動開始するから、何かあったらすぐに俺は生産プラントを次々にゲットしていかないといけないんだけどな。
その間に白鳥達は草壁の意識を引き付けておく事になる。
ぶっちゃけ、白鳥達が行動を起こせば俺がここにいる事は知られても全く構わないので、ニーズヘッグのシステムXNであっさりと生産プラントはゲット出来そうだ。
そんな風に、半ば取らぬ狸の皮算用をしながらコンテナの中へと視線を巡らせる。
エリナはコンピュータで以前俺と神楽坂が木連の基地から奪ってきたデータに目を通していた。
その口元に面白そうな笑みが浮かんでいるのは、やはり色々と重要なデータがあるのだろう。
人口とか経済規模とか。後は木連でどんなものが流行っているかとか。……いや、最後のはゲキガンガーで終わるか。
近衛と桜咲、神楽坂の3人は近衛が淹れた緑茶と茶菓子として生八つ橋を食べながらお喋りをしている。
生八つ橋、俺も好きなんだけどな。
ちなみに生八つ橋にはストロベリーとかの変わり種も結構多くなっているが、俺が好きなのはいたってスタンダードな餡子だ。
生八つ橋っていったら、やっぱり餡子が一番だよな。
生地の方も抹茶が練り込んでいるのとか色々とあるが、こちらもスタンダードなニッキが好みだ。
そしてヤマダはいつものようにゲキガンガーを見ていたんだが……同じのを何回見ても飽きないのか?
俺だったら連続して何度も同じのを見れば飽きるんだが。
あ、でも木連はゲキガンガーをずっと見てたんだから、それを考えれば飽きるって事はないのか? ナデシコ世界の住人限定かもしれないが。
「んあ? どうしたんだよアクセル。……はっ! もしかしてお前もいよいよゲキガン魂に目覚めたのか!?」
「そんなんじゃないから安心しろ」
「いや、安心出来る訳ないだろ!」
……まぁ、そうか。ゲキガンガーを好きにならないのを安心しろって言われてもな。
ともあれ、ヤマダは不満そうにしながらもゲキガンガーへと戻っていく。
こうして見ると、俺だけが暇だな。
何かやるべき事は……そう考えていると、不意に通信が入る。
通信機を起動すると、映像モニタに映し出されたのは切迫した白鳥の顔。
それを見ただけで、何が起きたのかを理解する。
月臣が草壁の説得を失敗したのだろうと。
問題は、木連が今どんな状況にあるかだな。
草壁にとって、今の状況は色々と面白くないのは確かだろう。
何せ、可愛がっていた部下が3人……秋山の副官の高杉を入れれば4人、自分に背いたのだから。
「失敗したのか」
『はい。残念ながら。……現在、元一朗は草壁中将によって捕らえられ、監禁されています』
「草壁はどうした?」
『……私や源八朗に呼び出しが』
この辺は予想通り、か。
月臣と仲の良かった2人も同じような考えを持っているのではないかと不安になった訳か。
まぁ、月臣は3人の中でも強硬派といった風な人物だ。その月臣がこうして自分を裏切ったのだから……と。
実際その考えは当たっている訳だし。
月臣達の中で月臣が強硬派、白鳥が穏便派、秋山が中立派……ってところか?
「分かった。なら、行動開始だな?」
『はい。アクセル代表にも以前の約束通りの行動をお願いします』
「当然だ」
以前の約束通りの行動というのは、当然生産プラントを確保しておくという事だ。
元々こんな七面倒な真似をした理由の大部分は、この生産プラントの為だった。
そう考えれば、この動きは待ち望んでいたと言ってもいいのだが……
「月臣が捕らえられたというのは、少し予想外だったな」
勿論草壁の主張を真っ向から否定する以上、大人しく解放されるとは思ってなかった。
それは当然月臣も理解していたし、脱出したら白鳥達に合流する筈だったのも事実だ。
月臣は、シャドウミラーのメンバーとは比べものにならなくても、木連式柔術の使い手として木連の中ではかなりの実力者らしい。
勿論月臣が木連の中で生身の最強って訳じゃない以上、月臣よりも上の存在はいるだろう。
例えば高杉は純粋に生身での戦いでは木連トップクラスであり、月臣をも超える。
そんな高杉に匹敵する者が草壁の手元にいるという可能性は十分にある。
あるいは、もっと単純にバッタを用意していたとか。
けど、正直月臣が向こうの手に囚われているというのは面白くないな。
人質にするような真似をすれば当然優人部隊の士気は落ちるだろうし、純粋に戦力的に考えても色々と面白くない。
かといって、今の白鳥達に月臣を救出出来るような余裕は存在しないだろう。
本来なら月臣がやる筈だった仕事まで白鳥達が分散してやらなければならない以上、当初の予定よりも忙しくなるのは間違いない。
かといって、その辺の一般兵士を救出に向かわせても……月臣を押さえるだけの人物がいる以上、それもまた難しい。
俺の視線がコンテナの中へと向けられる。
白鳥との通信を聞いていた為、全員の視線が俺の方へと向けられているが……俺の視線が向けられたのは、神楽坂と桜咲。
どちらに声を掛けるか……今の思いつきを頼むかを一瞬迷うも、既に答えは決まっている。
「桜咲、今の通信を聞いていたな?」
「え? あ、はい」
まさか自分が声を掛けられると思わなかったのか、桜咲は一瞬驚きの表情を浮かべる。
だが、すぐに状況を把握するのはさすがと言ってもいいだろう。
「お前には悪いが、月臣の救出に向かって欲しい」
「私が、ですか? ですが、このちゃんの護衛は……」
「悪いが近衛の護衛は暫く神楽坂に任せて欲しい。……頼めるか?」
神楽坂へと視線を向けながら尋ねると、それに返ってきたのは当然でしょと言いたげな笑み。
「ずっと護衛しろってのは無理だけど、刹那さんが少し出ている間の護衛くらいなら問題ないわ。……いい?」
確認するように近衛に尋ねる神楽坂だったが、近衛はそれに対して笑みを浮かべて口を開く。
「勿論や。アスナがいれば、せっちゃんが戻ってくるまでは十分や」
「……アスナさん、お願いします」
桜咲も神楽坂に頭を下げ、次に俺の方へと視線を向けてくる。
「刹那さんがいいのね?」
確認するような問い掛けに、頷きを返す。
「ああ。単純に敵を無力化するというだけなら、神楽坂に頼んでも良かったんだが……」
密かに侵入し、見張りを倒して軟禁されている月臣を救う。こういう、密かに敵を倒すという意味では神楽坂は向いていない。
いや、エヴァとの訓練を積んでいるからやろうと思えば可能なのかもしれないが、専門の訓練をしている桜咲の方が向いているというのが正しい。
それは神楽坂本人も理解しているのだろう。特に自分がやると言い張ったりせず、すぐに頷きを返す。
「悪いな」
「別にいいわよ。私が潜入とかに向いていないってのは、自分が一番分かってるし」
そう告げてくる神楽坂の様子は、特に反発の色はない。
自分の能力をしっかりと理解しているからこその行動。
「……そういう訳だ。月臣の救助はこっちでしっかりやるから、そっちも予定通りに行動を頼む」
『はい、ありがとうございます』
通信で俺達のやり取りを聞いていた白鳥が頭を下げてくる。
そして短くこれからの事を話し合うと、通信を切る。
「アクセル、俺も!」
「却下だ」
通信が切れた瞬間にそう告げてきたヤマダの要望を即座に却下する。
ヤマダが何を言いたいのかというのは、すぐに分かった。
ヤマダにとって、ゲキガンガーを共に語り合った月臣は、白鳥達と同じく親友と言ってもいい存在だ。
だから桜咲がそれを助けに行くという話になった場合、自分も力になりたいと思う気持ちは分かる。分かるんだが……残念ながら、ヤマダの能力はシャドウミラーの者達に比べて極度に劣る。
正確にはヤマダが極度に劣るのではなく、シャドウミラーに所属する者達がそれぞれ規格外な存在になっていると表現した方が正しいのだが。
ともあれ、ヤマダの気持ちは嬉しいが純粋な実力不足で桜咲と共に行動するのは却下せざるを得ない。
これでヤマダの実力が量産型Wくらいあれば……いや、今の量産型Wは金ぴかの能力もあわさって、かなり狭量になっているのは間違いない。
それこそこの世界の人間が生身で量産型Wに勝つのは、まず不可能だと言ってもいい。
正直なところ、ヤマダの実力がある程度あればこちらとしても桜咲と共に行動させたかったんだが……ともあれ、俺としては今のヤマダの言葉は却下せざるを得ない。
「ヤマダにはこのコンテナを守って貰う必要がある。神楽坂もいるが、お前の力も必要だ」
取りあえずこう言っておけば妙な暴走はしないだろう。
事実、ヤマダは俺の言葉に頷き、自らに気合いを入れていたのだから。
「桜咲、準備を」
「はい、分かりました」
桜咲が俺の言葉に頷き、仕切りの向こう……女達のプライベートルームの方へと入っていく。
それを見送ると、俺もまた準備を……と思ったが、俺の場合は特に準備らしい準備はないんだよな。
何かあっても空間倉庫の中に荷物の類は入っている。
「ちょっとアクセル。言っておくけど刹那さんに変な真似をしちゃだめだからね」
「……お前は俺を何だと思ってるんだ」
神楽坂の咎めるような声。
しかも、それを聞いていたエリナまでもが俺の方へとジト目を向けていた。
もしかしてそれを狙ってそんな事を口にしたのか? いやいや、神楽坂がそんな高度なテクニックを使える筈がない。
「だってアクセルって影のゲートで転移する時、抱きしめたりするじゃない」
「あれは、非常事態だったからだろ? 別に俺だって好き好んでお前を抱きしめたり……」
「ちょっと! 何よそれ! 私に女としての魅力が全くないって言うの!?」
俺の言葉が神楽坂のプライドを傷つけたらしく、目を怒らせて叫ぶ。
あー……しまったな。別にそんなつもりじゃなかったんだが。
「いやいや、神楽坂はかなりいい女だぞ? それは俺が保証する」
「……そ、そう」
うん? 鎮火するのも早かったな。
「お待たせしました!」
そして丁度神楽坂が落ち着いたのを見計らったかのように桜咲が長刀を手にやってくる。
「よし、じゃあ行くか」
微妙になった雰囲気をそのままに、俺は桜咲と共に影のゲートへと身を沈めるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1208
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