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おぢばにおかえり

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第三十四話 あちこちでその三

「そうはないわよ」
「家にいても何か退屈なんで」
「ほらほら、こう言う子なんてね」
 それこそというのです、また。
「滅多にいないでしょ」
「私もね」
 私はここで自分のことから考えてみました。
「結構面倒くさがりだし」
「ちっちは別にね」
「自分ではそう思ってるのよ」
「そうなの」
「休日はこうしてお外に出たりするけれど」
 それでもです。
「わざわざ電車に乗ってまでしておぢばに帰ってとか」
「定期なんで」
 それを使って帰ってきているというのです、自宅から通っている子はおぢばにいる子以外は皆そうして通学しています。この辺り他の学校と一緒です。
「買えば期間中は幾ら乗ってもお金かからないですから」
「そのこともあってなの」
「はい、電車旅を楽しみながら帰ってます」
「それでおぢばでひのきしんしたり参拝してるのね」
「毎週日曜日は」
「そうなのね」
「というかですね」
 こんなことをです、阿波野君は言ってきました。
「ここで立ち話も何ですし」
「どうしたの?」
「いえ、先輩お買い物終わりました?」
「まあ一応は」
 少なくとも買いたいもの、歯磨き粉とかは買っていました。それを持って来た鞄の中に入れていました。
「終わったけれど」
「そうですか
「あっ、私寮に帰るわね」
 ここで友達が言ってきました。
「それじゃあね」
「えっ、帰るの?」
「うん、何か悪いから」
「悪いって」
「それじゃあね」
「うん、よくわからないけれど」 
 急に帰ってしまいました、それで私は阿波野君と二人だけになりました。
 するとです、阿波野君は私にあらためて言ってきました。
「詰所行きます?」
「奥華の」
「そこでお話しませんか?」
「あそこでなの」
「それでどうですか?」
「そうね」
 私も阿波野君の言葉に考えてから答えました。
「それじゃあ詰所行きましょう」
「はい、それでお話しましょう、それと」
「それと?」
「実は詰所で御飯頂くことになってまして」
 私にこうもにこにことして言ってきました。
「詰所にいる人達、修養科生の皆さんと一緒に」
「修養科の人達と」
「日曜のお昼は大抵詰所で食べてます」
「そうなのね」
「カレーを」
 おぢばでは毎週日曜のお昼はカレーライスです、何でも自衛隊では金曜日にカレーライスを食べるそうです。それと修養科というのは天理教のことを勉強したりする課程で三ヶ月の間このおぢばにいて詰所に寝泊りして勉強したりひのきしんをします。
「美味しいですよね」
「あのカレーはね」
 実際にとです、私も答えます。 
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