英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第126話
セリカ達が戦いを終える少し前、ロイド達はほとんどの猟兵達に会う事なく、迎賓館に到着し、中へと入って行った。
~ミシュラム・迎賓館~
「誰もいない……?」
ロビーに入ったロイドは周囲を見回して不思議そうな表情をし
「いえ……何かの気配を感じます。」
「うむ。確実に近くにいるぞ。」
リーシャとツァイトは周囲を見回しながら言い
「ふむ、魔獣の類いじゃなさそうだけど。」
ワジは真剣な表情で言った。するとその時
「P―――侵入者を発見。」
機械らしき声が聞こえてきた!
「正面に反応!」
「チッ………この様子だと”結社”の方みたいだな……!」
ティオは真剣な表情で言い、ランディは舌打ちをした後厳しい表情をした。するとロイド達の目の前にロイド達の身体の倍はある人形兵器が空間から突如現れた!
「これは一体………」
「大きいね~。」
人形兵器を見たセシルは驚き、キーアは呆けた表情をした。
「対象者9名――――特務支援課4名、国防軍シーカー少尉を確認。4名は不明――――ただし戦闘力はAランク以上と推測し、内2名は後方支援能力がSランクと推測する。」
「くっ……?」
「機械がそこまで……!」
人形兵器の音声を聞いたワジは驚き、リーシャは真剣な表情になり
「もしかしてキーア達、すっごく褒められているのかな~?」
「キ、キーアちゃん。今はそんな呑気な事を言っている場合じゃないわよ?」
キーアは首を傾げ、キーアの言葉を聞いたセシルは苦笑した。するとその時人形兵器の周囲に小型の人形兵器が数体現れ
「”イザヨイ”を展開。レジェネンコフⅡ型、”ムラマサ”――――これより殲滅行動に入る。」
人形兵器は淡々とした口調で言い
「来るぞ………!」
「迎撃を開始します!」
「”神狼”の力、見せてやろう!」
そしてロイド達は人形兵器達との戦闘を開始し、協力して小型の人形兵器を破壊し、大型の人形兵器も地面に膝をつかせた!
「ぐっ………とんでもないヤツだな。」
「強かったよ~。」
戦闘を終え、地面に膝をついたロイドは唇を噛みしめ、キーアは疲れた表情で言い
「みんな無事で何よりね……」
セシルは安堵の溜息を吐き
「”結社”というのは恐るべき集団ですね……」
「”蛇”の者達はここまでの技術力を独力で手に入れたのか……」
リーシャは複雑そうな表情で言い、ロイド達と違って跪いていないツァイトは重々しい口調で呟き
「ああ、あの紅い武者人形がここまで強化されるとは……」
ランディは疲れた表情で言い
「……やはりあの博士が改造したんでしょうか……」
ティオはジト目で呟き
「その可能性は高そうだね……」
ワジは目を伏せて頷いた後ロイド達と共に立ち上がって周囲を見回した。
「よし、これで障害は一通り排除できたはずだ。屋敷を捜索してエリィと議長たちを―――」
そして人形兵器を背にしたロイドが仲間達を見つめて提案したその時、人形兵器が目の部分を紅く光らせた後立ち上がって武器を構えた!
「なに……!?」
それを見たロイドが驚いたその時、ロイドは人形兵器の打撃によって吹っ飛ばされた!
「「ロイド!!イーリュンよ、かの者に癒しを!癒しの息吹!!」」
吹っ飛ばされたロイドを見たセシルとキーアは血相を変えてロイドに駆け寄って治癒魔術をかけはじめ
「このっ……!」
ノエルはサブマシンガンを構えて攻撃しようとしたが、人形兵器は突撃し
「きゃあ……!?」
「くっ……!?」
「チッ……暴走してんのか!?」
突撃してティオ達を吹っ飛ばした後ロイド達に近づき
「しまった―――」
それを見たロイドは唇を噛みしめ
「「イーリュンよ!」」
セシルとキーアはそれぞれ防御結界を展開し
「ロイドさん……!」
「セシルさん………!」
「キー坊!」
ノエルやティオ、ランディは真剣な表情で叫んだ。するとその時!
「させないッ―――――!」
聞き覚えのある娘の声が聞こえた後銃撃が次々と人形兵器に命中し
「え―――」
それを見たロイドは呆けた。そしてランディとリーシャ、ツァイト、さらにロイドがいる方向からメヒーシャが翼を羽ばたかせて人形兵器に近づき
「おらあああっ!」
「はあっ……!」
「滅せよっ!」
「斬!!」
それぞれ同時に攻撃を仕掛けて人形兵器を吹っ飛ばし、吹っ飛ばされた人形兵器は爆発を起こして木端微塵になった!
「ふう………」
「……やれやれだね。」
その様子を見たティオとワジは安堵の溜息を吐いた。
「エリィ………」
銃撃が来た方向にいる人物――――銃を構えたエリィを見たロイドは口元に笑みを浮かべ
「……エリィさん。」
「はは、無事だったか。」
「やっと会えたね、エリィ♪」
ティオは静かな笑みを浮かべ、ランディやキーアは笑顔で言った。
「……………………………」
そしてエリィは銃を腰のホルダーに収めて目を伏せて黙り込み
「その……何て言ったらいいか。―――とりあえず、ありがとう、エリィ。おかげで助かったよ。」
ロイドは苦笑した後静かな笑みを浮かべた。
「………っ……!」
その時エリィは唇を噛みしめてロイドに駆け寄って抱き付き
「わわっ……!?」
エリィに抱き付かれたロイドは驚いた。
「よかった………本当によかった………無事でいてくれて……こうしてまた会えて………もう二度と………会えないかと思ったから………」
ロイドに抱き付いたエリィは涙を流して嬉しそうな表情でロイドを見つめ
「エリィ………」
「ロイド……!ん……!ちゅ……」
そしてロイドと深い口付をした!その様子を見たティオ達は脱力したり表情を引き攣らせ
(あー、なんつーか………)
ランディは苦笑し
(えっと、声をかけてもいいんでしょうか……?)
ノエルは顔を赤らめ
(こ、困りましたね……)
リーシャは疲れた表情で言い
(よくこんな状況であんな事ができるな………)
メヒーシャは顔を赤らめて呆れ
(しかし君の時といい、つくづく彼も役得だよね。)
(そういう運命の元に生まれているのかもしれんな……)
ワジとツァイトは口元に笑みを浮かべてティオに視線を向け
(………記憶にないです。)
ティオはジト目で答え
(えへへ……エリィママがやっぱりパパと一番ラブラブしているね♪)
(フフ、よかったわね、ロイド……)
キーアとセシルは微笑ましそうにロイドとエリィを見つめていた。
「あら……?」
その時周囲にいる人物に気付いたエリィはロイドとの口付けを止めて戸惑い
「はは……嬉しいんだけど、さすがにちょっと視線が痛いかなって……」
ロイドは苦笑しながら言った。
「ち、違うのよ!?その、これには理由があって………!」
そしてエリィは顔を真っ赤にして言い訳をし
「へー。」
言い訳を聞いたワジは棒読みでエリィを見つめ
「そうなんだー。」
ランディはニヤニヤしながらエリィを見つめ
「ああもう、違うの!ティオちゃん、ノエルさんも!誤解しないでね!?」
エリィは必死の表情で叫んだ後慌てた表情でノエルやティオに言った。
「え、あ、はい……」
「努力はしてみます。」
エリィの言葉を聞いたノエルは苦笑し、ティオは目を伏せて呟き
「ううっ、それじゃあリーシャさんは――――…………あら………ど、どうしてリーシャさんが一緒に?それにノエルさんやセシルさんもいるし、ワジ君はそんな格好をしてるし……しかもキーアちゃんのお姉さん?……みたいな方もいるし………………?????」
リーシャを見て何かを言いかけたエリィはリーシャ達を見回して戸惑った後首を傾げた。
「はは………」
「その……色々ありまして。」
エリィの反応を見たロイドとリーシャは苦笑し
「エリィ、キーアはキーアだよー。」
キーアは無邪気な笑顔を浮かべてエリィを見つめた。
「え――――キーアちゃん!?ほ、本当にキーアちゃんなの!?で、でも……何でロイド達と一緒に……そ、それに………何でそんなに育っているのよ!?」
キーアに見つめられたエリィは驚いた後混乱した。
「フフ……どうやら色々とあったようだね。」
その時老人の声が聞こえた後、マクダエル議長とヨナがロイド達に近づいてきた。
「議長、ご無事でしたか。」
「それに………ヨナ!?」
マクダエル議長達を見たロイドは安堵の表情をし、ヨナを見たティオは驚いた。
「よ、アンタら。随分久しぶりじゃん。いや~、ホント助かったぜ!」
「えっと、彼は私達の後にベルに連れてこられたの。何でもオルキスタワーの中枢にハッキングを繰り返したみたいで。」
「あの女、マジアクマだぜ!よりにもよって導力ネットがない屋敷にこのボクを閉じ込めやがって!」
「な、なるほど……」
エリィとヨナの話を聞いたロイドは苦笑し
「確かにあなたにとっては一番のお灸でしょうね。」
ティオは静かな表情で言った。
「まあ、お互いの事情は後だ。どうやら私達を助けに来てくれたようだが?」
「はい……!お迎えに上がりました……!」
「特に問題がなければこのまま脱出してもらえるかな?」
マクダエル議長の言葉を聞いたロイドは頷き、ワジは真剣な表情で尋ね
「勿論だとも。安穏としていられる状況はとうに過ぎ去っているからね。」
「はい……」
マクダエル議長は頷き、エリィは不安そうな表情で頷いた。
「よし、セリカ達と合流してとっとと脱出するか!」
「ええ!」
その後ロイド達はセリカ達と合流した後メルカバに乗り込み、エリィ達に事情を説明した………………
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