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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第124話

~ミシュラム~



「さて、俺達の方はテーマパークの方で暴れてくる。――――ナベリウス。」

ミシュラムの砂浜に降り立ったセリカはロイド達に言った後ナベリウスに視線を向け

「ん………来て……………」

「グルルル………」

視線を向けられたナベリウスは頷いた後ケルベロスを召喚した!

「へえ?これがかの”地獄の門番”か。”聖典”に記されているのとは違って、3つ首ではないんだね?」

ケルベロスを見たワジは興味深そうな表情をし

「で、でけえ……!」

「真の姿になったツァイト並みだな………」

「うむ。さすがは冥界の番犬だな。」

ランディやロイドは驚き、ツァイトは頷いて言った。

「ワンちゃん、お手♪」

その時キーアが笑顔でケルベロスの前に手を出してケルベロスを見つめて言い

「…………………」

ケルベロスはなんと一本の足をキーアの手に乗せ

「えへへ、毛皮がとってもふさふさしていて気持ちいいね♪」

「フフ、ツァイト君にも負けていないほどの立派な毛皮ね………」

「グルルルル…………」

笑顔でセシルと共にケルベロスの毛皮を撫で、撫でられたケルベロスは気持ちよさそうな唸り声を出していた。

「あら………その子は人見知りな性格で初対面の人達には中々懐かないのですが………」

「キ、キーア!?それにセシル姉も!?」

「恐いもの知らずすぎでしょう……」

それを見たリタは目を丸くし、ロイドは驚き、ティオは疲れた表情で言い

「め、滅茶苦茶な娘達ね………」

「フフ、お二人の優しさを本能的に感じ取ったのかもしれませんね……」

表情を引き攣らせて言ったマリーニャの言葉を聞いたシュリは苦笑し

「早速………仲良くなった………良い事…………」

(クク、二人とも将来大物になる事間違いなしだの。)

ナベリウスは静かな口調で言い、ハイシェラは口元に笑みを浮かべて言った。

「フッ………――――サリア。今の内に(シュヴェルトライテ)も呼んでおけ。テーマパークに到着すればすぐに戦闘が始まるのだからな。―――――来い、ハイシェラ!!」

「はいです~。来てください~、シュヴェルトライテ~!!」

そしてセリカとサリアはそれぞれハイシェラとシュヴェルトライテを召喚した!

「ハハハハハハッ!早速始めるだの、血がたぎる”戦”を!そしてエオリアよ!とくと知るがいい!偉大なる”地の魔神”ハイシェラの恐ろしさを!」

召喚されたハイシェラは高笑いをした後不敵な笑みを浮かべてエオリアに視線を向け

「まだ根に持っていたのね………」

視線を向けられたエオリアは呆れた表情で溜息を吐いた。



「フン………ここが異世界か。かつて世界が一つになる前の片方の世界にもこんな風景があったな。」

一方シュヴェルトライテは鼻を鳴らして周囲を見回し

「この者が伝説の”戦乙女(ヴァルキリー)”か………」

「へえ………とんでもない力の持ち主じゃないか。僕の”聖痕”なんか比べ物にならないくらいだよ。」

シュヴェルトライテを見たツァイトは重々しい様子を纏って呟き、ワジは興味深そうな表情で呟いた。

「準備ができたのなら、早速ケルベロスに乗り込みましょう。」

その時エクリアが静かな口調でセリカ達を促すと

「その前に………みんなに教えておくことがある。」

リィンが真剣な表情でロイド達を見回して言い

「兄様?一体何を皆様に教えるのですか?」

リィンの言葉を聞いたエリゼは首を傾げた。

「――――あの”力”だ、エリゼ。」

「!!」

「…………………」

「へえ?何か隠し玉でもあるのかしら?」

リィンの答えを聞いたエリゼは目を見開いて息を呑み、エクリアは真剣な表情でリィンを見つめ、カーリアンは興味深そうな表情でリィンを見つめ

「リィン?」

「一体何の事だ?」

ロイドは首を傾げ、ランディは不思議そうな表情で尋ねた。すると

「…………………」

リィンはその場で目をつむって片手で胸を抑え

「おおおおオオオオオオオオ――――――――――ッ!

空に向かって声を上げた!するとリィンの黒髪は銀髪になり、瞳は妖しく輝く紅になり、さらにリィンの周囲には膨大な魔気や闘気がさらけ出されていた!

「なっ……!?」

「とんでもない”魔気”です………」

「そ、それに……凄い”鬼気”も感じます………」

「あのヨアヒムやヴァルドとも比べものにならねえぞ………」

変貌したリィンを見たロイドは驚き、ティオは不安そうな表情で呟き、ノエルは信じられない表情で呟き、ランディは目を細め

「リィンさん………!」

「その姿はユミルを突如襲った吹雪の事件を解決する時に見せた……………!」

「あの時も思ったけどまさかリィンさんも”闇夜の眷属”か、眷属の血が入っているの~!?」

セティとエリナは真剣な表情になり、シャマーラは混乱し

(………!まさかこの者………ゼムリア大陸中のそれぞれの遺跡の奥深くに封印されているかの兵器――――”騎神”の”起動者(ライザー)”の一人か………!?……しかしそれにしても……”導き手”である”魔女”の一族は何をやっているのだ……?かの一族なら、”起動者”が現れる事やその姿もわかっているはずだが…………)

(…………………………)

ツァイトは目を見開いた後厳しい表情で真剣な表情をしているワジと共にリィンを見つめた。

「この”力”は幼い頃突然現れた力でな………獣じみたこの”力”………ずっと恐れていたんだ………この”力”でエリゼや周りのみんなを傷つけてしまう事が………――――だけど俺はみんなやエリゼを守る為に恐れずにこの”力”を使う事に決めた。」

「リィン………」

「兄様………」

決意の表情で言ったリィンの言葉を聞いたロイドは驚き、エリゼは静かな表情でリィンを見つめ

「ハハ……さすがに引いたかな。この姿。」

リィンは苦笑した。

「いや………心強いと思ったよ。」

「それに姿を偽っていたというならわたしも同じですし………”影の国”でとんでもない人達と出会いまくったわたしからしたら、”今更”ですし。」

「……ま、ティオすけほどではないが俺達も今まで出鱈目な連中に出会っているんだ。全然気にしてねえぜ!」

「そ、そうですよ!それにリィンさんはあたし達を信用して秘密にしていた事を打ち明けてくれたのでしょう?これでようやくリィンさんも本当の支援課の一員になれたんじゃないですか?」

リィン言葉を聞いたロイドとティオは静かな笑みを浮かべ、ランディとノエルは苦笑しながら言った。

「みんな………」

ロイド達の言葉を聞いたリィンは明るい表情をし

「兄様………勿論私や父様達も気にしていません。セティ様達と共にユミルを訪問した時、父様達も仰っていたでしょう?――――兄様が何者であろうと私達の家族である事には間違いない事を。」

「エリゼ………そうだな………」

そして微笑みながら言ったエリゼの言葉を聞いたリィンは静かな笑みを浮かべて頷いた。その後セリカ達全員はケルベロスに乗り込んだ。

「俺達はテーマパークのあたりで暴れて来る。戦闘を始めたらケルベロスに咆哮させるから、隙を突いて屋敷に向かえ。」

「わかりました。」

セリカの言葉にロイドは頷き

「皆さん……どうか気を付けて。」

ティオは心配そうな表情でセリカ達を見つめて言い

「このくらいの修羅場、あたし達にとっては大した事ないから大丈夫よ♪」

「皆さんの方こそ、お気を付け下さい。」

マリーニャは口元に笑みを浮かべて呟き、シュリは真剣な表情でロイド達を見つめて言い

「”神殺し”かつサティアの肉体を持つ俺が言うのはかなり変だが………女神(サティア)の加護を。」

セリカはロイド達を見つめて静かな口調で言い

「行って……………」

「ガルッ!」

ナベリウスの指示に頷いたケルベロスは頷いて行動を開始した。



その後セリカ達を乗せたケルベロスは跳躍して林の中へと消えて行った。



「ハハ、頼もしすぎるメンバーだねぇ。」

セリカ達が去るとワジは笑顔で言い

「よし、こっちもまずはホテルのアーケードまで―――」

ランディは真剣な表情で提案しようとした。するとその時

「いたぞ……!」

「バニングスたちだ!」

複数の猟兵達と軍用魔獣達がロイド達に走って近づき始めた!

「わわっ!一杯来たね~。」

「チッ……もう来やがったか!」

猟兵達を見たキーアは驚き、ランディは舌打ちをし

「敵猟兵4、軍用魔獣4!」

「どうやらかなりの精鋭のようです……!」

ノエルとリーシャはそれぞれ真剣な表情で敵の戦力を報告した。

「迎撃用意!連携して撃破するぞ!」

そしてロイドは号令をかけ

「「はい!」」

「おおっ!」

「ああ!」

「はいっ!」

「ええ!」

「うん!」

「うむ!」

ロイドの号令に仲間達はそれぞれ頷いた後、猟兵達との戦闘を開始した!



「みんな、一気に行くぞっ!!」

戦闘開始早々ロイドは号令をかけて仲間達の闘志を高め

「これでも喰らえっ!」

猟兵達は次々とスタングレネードをロイド達に投擲した。

「させません!!」

「ヤアアッ!!」

しかしリーシャが投擲したクナイやノエルの銃撃によってスタングレネードは全て空中で破壊された!

「オラアアアアッ!!」

その時二人の猟兵が銃撃をロイド達に放ち始め

「イーリュンよ!!」

セシルは強く祈りをささげ、自分を中心としたドーム型の結界を展開して銃撃を防ぎ続けていた。

「一斉攻撃で一気に破壊しろ!」

了解(ヤー)!」

それを見た銃撃を放ち続ける猟兵は剣を持つ猟兵に指示をしながら銃撃を続け

「グルルルッ!!」

「ぶっ壊れろっ!!」

剣を持った猟兵達は軍用魔獣達と共に結界を攻撃し続けたが

「ファイアー!!」

「我が呼びかけに答えろ!魔の雷よ!!」

「うおおおおおおっ!?」

「ぐあああああっ!?」

「ぎゃああああっ!?」

ノエルのクラフト――――フレイムグレネードとティオのクラフト―――雷招メ・ベルデを至近距離で受けてダメージを受け

「ワンちゃんたち、メッ!!」

「ガルッ!?」

軍用魔獣達はキーアのクラフト――叱咤によって戦意を失ったせいで地面に伏せた。

「チッ!何をやってやがる!」

「一端立て直すぞ!」

「おおっ!」

それを見た銃を撃ち続けていた猟兵達は舌打ちをした後、それぞれ同時にスタングレネードをロイド達に投擲した。

「炸力符!!」

しかしリーシャは起爆する符を投擲してスタングレネードに命中させ、その場で爆発を起こさせた!

「うおおおおっ!?」

「チッ……!?」

目の前で爆発したスタングレネードによって目が眩んだ猟兵達は攻撃の手を止めてしまい

「鳳凰牙!!」

「ぐっ!?」

「ががっ!?」

「ぎゃっ!?」

さらにそこにクラフトで強襲してきたツァイトの攻撃を受けてしまってダメージを受けた。



「ハァァァァァ………オラアッ!!」

「はっ、せいっ、やあっ!!」

そしてランディはクラフト――パワースマッシュで、ロイドはクラフト――アクセルラッシュでそれぞれ近くにいた猟兵達に攻撃をし

「フフ、これはどうかな?」

「ががっ!?」

「ぐっ!?」

「ぎゃんっ!?」

ワジは謎の術を施したビリヤード玉で敵集団を打ちのめすクラフト――セブンスショットで猟兵や軍用魔獣達に追撃し

「砕け散れっ!!」

「ぐっ!?」

リーシャはクラフト――崩月輪で後方にいる猟兵達にダメージを与えた!

「調子にのるなあっ!」

「グルルルッ!!」

一方立ち直った猟兵や軍用魔獣達はそれぞれ攻撃を仕掛けてロイド達に傷を負わせたが

「イーリュンよ!お慈悲を!大いなる癒しの風!!」

「イーリュン!ツァイトの傷を治して!癒しの息吹!!」

セシルとキーアがそれぞれ魔術でロイド達の傷を回復し

「チッ!厄介な!」

「イーリュンのシスター共を先に狙えっ!」

ロイド達の傷が癒される様子を見た猟兵達はそれぞれ2人に攻撃を仕掛けようとしたが

「させるかあっ!」

「2人には指一本触れさせねえぜっ!」

「貴様らの相手は私達だ!」

「チィッ!!」

ロイドやランディ、ツァイト、そして他の前衛の仲間たちが攻撃を仕掛けてきたため、後方で詠唱やオーブメントの駆動を始めているセシル達には攻撃できなかった。



「電磁ネット、発射!!」

「なっ!?」

「ぐっ!?」

その時ノエルはグレネードから電磁ネットを発射して後方にいる猟兵達を電磁ネットで拘束し

「ハァァァァァ……!!」

「グルッ!?」

「ば、馬鹿な……!?」

「か、身体が……!?」

ティオはクラフト――真眼で近距離にいる猟兵や軍用魔獣達の動きを無理やり止めた!

「空牙!!」

そしてツァイトは神速で突撃して次々と猟兵や軍用魔獣達にダメージを与えた。

「ワジ!一気に行くぞっ!」

「やれやれ……面倒だな……!」

「ロイドさん……お願いします!」

「ああ……一緒に行こうっ!」

その時、ワジとランディ、ロイドとリーシャはそれぞれコンビクラフトの構えをし

「「エニグマ駆動!ラ・フォルテ!!」」

ティオとセシルはそれぞれアーツでロイド達の攻撃力を上昇させ

「アークス駆動!ラ・クリミナルエッジ!!」

キーアは炎の力で一時的に全ての物理攻撃手段で攻撃した際、全て普段の倍以上の威力になる火属性補助アーツ――――ラ・クリミナルエッジでロイド達を強化した。

「「比翼!双竜撃!!」」

「「ラストリベリオン!!」」

そしてティオ達の補助アーツがロイド達に付与されたその時、ロイド達はそれぞれコンビクラフトを放って魔獣を滅し、猟兵達には重傷を負わせて戦闘不能にさせるとともに気絶させた!

「くっ………さすがに手強い!」

戦闘を終えたロイドは唇をかみしめ

「最強クラスの連中だ!全力で行くしかねぇ……!」

ランディは真剣な表情で言った。

「急ぎましょう……!セリカさん達の陽動が始まります。」

「ああ、アーケードに出るぞ!たしか従業員も全員、退去しているはずだな!?」

「はい、戦闘に巻き込む心配はいりません!」

そしてティオの言葉にロイドは頷いた後ノエルに確認し

「だったら存分にやり合えそうだね……!」

ノエルの言葉を聞いたワジは口元に笑みを浮かべた。そしてロイド達は急いでビーチから出ようとしたが、出入口付近から新たな猟兵や軍用魔獣達が現れてロイド達に向かってきた。しかし―――

「とっととそこを退いてもらうぜ………うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

「ががっ!?」

「ぐがっ!?」

ランディはブレードライフル――――”バルディッシュ”で光の魔力弾を怒涛に連射しながら猟兵や軍用魔獣達を怯ませ

「喰らえ…………ベルゼルガー!!」

一瞬で猟兵達の背後をかけぬけた!

「あばよ。」

「ぎゃああああああああっ!?」

猟兵達の背後に駆け抜けたランディが呟くと、猟兵や軍用魔獣達から大量の血が噴出し、それぞれ絶命して地面に倒れた!

「す、凄い………!」

「これが”赤き死神”の真の強さ……」

それを見たノエルとリーシャはそれぞれ驚いた。するとその時



ウオ―――――――ンッ!!



狼らしき生物の咆哮が聞こえてきた!

「これは……!」

咆哮を聞いたロイドは驚き

「セリカさん達の陽動です!」

ティオが真剣な表情で答えた。



一方その頃ケルベロスに乗ったセリカ達はテーマパークに到着し、戦闘を開始した………! 
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