Three Roses
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第十話 またしての崩御その八
「紫の薔薇と黒薔薇も」
「マイラ様のお花も」
「そうです」
その通りという返事だった。
「あの薔薇もです」
「王宮に残すのですね」
「そうです、そして出来れば」
「マイラ様の薔薇を」
黒薔薇をとだ、マイラは言った。
「それも」
「はい、そうです」
「その薔薇も」
「出来れば」
「私達も」
セーラとマリアも言った。
「お願いします」
「嫁ぐ先にも」
「マイラ様の薔薇もです」
「持って行きたいと思っているけれど」
「わかりました、ただあの薔薇はです」
ロドネイ公は三人の言葉を受けて言った。
「マイラ様の薔薇なので」
「あの方がよしと言わないとです」
さもないと、とだ。デューダー卿も三人に言う。
「それぞれの国に送れません」
「そうなのですか」
「我々からマイラ様にお話します」
ここでだ、ロドネイ公はマリーにこう答えた。
「そうしますが」
「それでもですか」
「あの方次第なので」
「どうなるかはですね」
「わかりません」
「そうですか」
ロドネイ公の言葉を受けてだ、マリーは再び悲しい顔になった。だがすぐに顔を上げてそのうえでまた言った。
「しかしです」
「それでもですね」
「想いは変わらないです」
「マイラ様に対しても」
「姉様ですから」
自分のというのだ。
「この世でたった一人の」
「だからですね」
「この上なく大事に思い」
そしてというのだ。
「大切に思っています」
「それ故に」
「姉様の薔薇もです」
黒薔薇、それもというのだ。
「共に」
「ある様にですね」
「します」
例え今断られてもというのだ、こう言ってだった。
マリーは三人の薔薇、そして王のものでありこれからは王子のものとなる紫の薔薇jが共にある様にした。それから。
デューダー卿はマイラにその話を伝えた、だが。
危惧された通りにだ、マイラはその話を聞くとだった。
顔を曇らせてだ、彼女の周りの者達に言った。
「いいです」
「このお願いを退ける」
「そうされるのですか」
「そうです」
背を背ける様な言葉だった。
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