英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第115話
~鉱山町・マインツ・宿酒場”赤レンガ亭”~
「―――なるほど。そりゃまたとんでもない話になってるみたいだな。それも、あのキー坊が………」
ロイド達の話を聞いたランディは疲れた表情で溜息を吐いた後して目を細め
「うーん、突拍子がなさすぎて記事にも書けない感じだけど……ロイド君たちは何としても彼女を取り戻すつもりなのね?」
グレイスは考え込んだ後真剣な表情で尋ねた。
「ええ、勿論です。」
「言うまでもないかと。」
「………………………」
ロイドとティオは頷き、ランディは考え込んでいた。
「……ランディ。私達(六銃士派)の方は大丈夫よ。元々、支援課の仲間達を助け出すという条件で力を貸してくれたんでしょう?」
その時ミレイユが優しげな微笑みを浮かべてランディを見つめ
「いや、それは……」
見つめられたランディは戸惑った。
「……そうだったのか。」
「…………………」
「ランディ、一緒に来ないのー?」
二人の会話を聞いたロイドとティオは複雑そうな表情をし、キーアは不安そうな表情をし
「ま、こちらとしても君に合流してもらえると助かるのは確かだけどね。”嵐の剣神”達との合流はいつ頃になるかわからないし。」
ワジは静かな笑みを浮かべて言った。
「元々、私達の活動はギュランドロス司令達と共にクロスベルを新たに創り直す為にしている活動よ。警備隊から離れた貴方は仲間達の力になるべきだわ。今後は、あの狼さん達も力になってくれそうだしね。」
ミレイユはランディを見つめて微笑んだ。
「うむ、おぬしらに協力するよう改めて伝えておいた。山岳地での戦いならば力になってくれるはずだ。」
「……ありがとうございます。それとランディ。こちらの事は気にする必要はありませんし、第一心の中に迷いを抱えたまま、共に戦われても足手纏いになるので迷惑なだけです。」
ツァイトの言葉を聞いたエルミナは頷いた後ランディに視線を向け
「ハハ、相変わらずキツイッスね~。ちょっとぐらい局長に向ける優しさや笑顔をこっちに向けても罰は当たらないんじゃないッスか?そしたら”鋼鉄の鬼教官”なんて、異名も付かないと思うんスが。」
ランディは苦笑した後、口元に笑みを浮かべてエルミナを見つめ
「なっ!?こんな時にふざけないでください!」
見つめられたエルミナは驚いた後ランディを睨んだ。
「ハハ……………というわけだ。ロイド、ティオすけ。俺も付きあわせてもらうぜ!支援課のメンバーとして、キー坊の保護者としてな!」
睨まれたランディは苦笑した後ロイド達を見回して言い
「ああ……!」
「……良かった。」
「ふふ……心強いわね。」
「後はエリィさんだけですね。」
ランディの言葉にロイドやティオは明るい表情をし、エオリアとリタは微笑み
「えへへ……よかった♪」
キーアは嬉しそうな表情をした。
「しかしまあ、まさか10年後のキー坊がここまで化けるとはなあ…………そんでもって、何故かロイドのファミリーネームを名乗っていると…………おい、ロイド。見境が無い奴とは思っていたが、いくら何でもここまで育ったとはいえ、今まで育ててきたキー坊に手を出すのは人として間違ってねえか?」
そしてランディは口元に笑みを浮かべてキーアを見つめた後、真剣な表情でロイドを見つめて言い
「だから何でそうなるんだよ!?というか、誰が見境がない男だ!?」
ロイドは慌てた表情で突込み
「なんせ、ロイドだしねえ?」
「十分にあり得る事かと。」
ワジは口元に笑みを浮かべ、ティオはジト目でロイドを見つめ
(ど、どんな理屈だよ……)
二人の言葉を聞いたロイドは冷や汗をかいて溜息を吐いた。
「いや~、それにしても未来のキー坊がセシルさんクラスにまで育つとは………キー坊、俺はいつでも以前のお前のようにタックルして抱きついてきてもオッケーだぜ♪」
そしてランディは嬉しそうな表情でキーアを見つめて言い
「ランディ、貴方………」
「抱きつかれた時のキーアちゃんの胸の感触を楽しむつもりね………」
「最低ですね………」
「アハハ………」
「ま、普通の男なら抱きついて欲しいでしょうね♪」
ランディの言葉を聞いたミレイユやエオリア、エルミナは蔑みの表情でランディを睨み、リタは苦笑し、カーリアンは口元に笑みを浮かべ
「ランディ、お前………」
「ランディさんもロイドさんの事は言えませんよ………」
ロイドはランディを睨み、ティオはジト目でランディを睨んだ。
「フフ、キーアは別にいいけどランディの奥さんに悪いから、あんまりしないよー。」
一方キーアは微笑んだ後、とんでもない事を言い
「なっ!?」
「ラ、ランディが結婚!?」
キーアのとんでもない言葉を聞いたエルミナやミレイユは信じられない表情をし
「ハアッ!?お、俺に奥さんだとっ!?」
「まあ、10年経ったら何が起こっているかわからないものね……」
ランディは驚きの表情で声を上げ、エオリアは苦笑し
「お相手は一体誰なんでしょうね?」
リタは微笑みながらキーアを見つめた。
「キー坊!?俺の奥さんはどんな美女だ!?当然、スタイル抜群だよな!?」
そしてランディは必死の表情でキーアに尋ねたが
「えへへー、教えなーい♪ランディの未来の影響に与える事だしー。」
「ガクッ!そこまで教えておいてそりゃないだろ~ッ!?」
ティオは笑顔で答えを拒否し、キーアの答えを聞いたランディは肩を落として溜息を吐き
「というか、10年以内に結婚できるという情報がわかっただけでもラッキーと思った方がいいのでは?」
ティオはジト目でランディを見つめ
「今の言葉は俺に失礼すぎだぞ、ティオすけ!クソ~!マジで気になる~!!」
ランディは疲れた表情でティオに指摘した後、悔しそうな表情をし
「……………………………」
ミレイユは辛そうな表情で黙り込んでいた。
「ハハ……ランディも俺の気持ち、わかってくれただろ?」
ランディの様子を見たロイドは苦笑しながらランディに尋ね
「ええい、こうなったら!キー坊!ロイドやお嬢、ティオすけ、後ついでにワジ達も結婚しているのか!?」
尋ねられたランディは真剣な表情でキーアに尋ね
「ちょっ、ランディ!?」
「わたし達まで巻き添えにするなんて、ひどすぎです……」
「アハハ!これは面白くなってきたね!」
ランディの質問を聞いたロイドは慌て、ティオはジト目になり、ワジは声を上げて笑い
「うるせえ!俺だけ未来では結婚している事がバレているとか、理不尽だろうが!?」
ランディはロイド達を睨んで叫んだ。
「うん!ロイドにエリィにティオにリィンやセティ達………ワジ以外はみーんな、結婚しているよ♪」
「ええっ!?」
「フフ、まあ予想通りだね。」
「………………お願いですから、わたしの未来のネタバレまで勘弁してください、キーア………聞かないように自分に言い聞かせているのですから……………」
「そ、そんな!?ティオちゃんが結婚しているなんて!?」
そして嬉しそうな表情で答えたキーアの言葉を聞いたロイドは驚き、ワジは静かな笑みを浮かべ、ティオは溜息を吐き、エオリアは信じられない表情で声を上げた。
「………ま、普通に考えればロイドとエリィは予想できるけど…………まさかティオ達まで結婚しているなんてねえ?」
「お相手は一体誰なんでしょうね?」
ワジは口元に笑みを浮かべ、リタは微笑みながらティオを見つめ
「…………キーア。ヒントだけでも、もらえませんか?」
見つめられたティオは考え込んだ後真剣な表情で尋ねた。
「えへへ……ごめんね。ヒントもわかりやすすぎるから、教えられないよ。」
しかしキーアは無邪気な笑顔を浮かべて答えを断って、ロイドに視線を向け
「……?」
視線を向けられたロイドは不思議そうな表情をし
「……いえ、今ので十分わかりました。」
キーアの行動を見たティオは嬉しそうな表情をし
(チッ!この弟王が!)
(未来のティオちゃんを好きなようにできるなんて……羨ましい……!)
(やれやれ………『英雄色を好む』と昔からよく言われているが、まさか本当に実行するとはな………)
(フフ、そういう事ですか。)
(フフ、やるじゃない♪)
(なるほどね~。これはひょっとしたら、将来の女性関係はヴァイスハイト局長並みになるんじゃないかしら?)
(まさかヴァイスハイトのような男が他にもいるなんて………)
(ランディはどうなのかしら……?)
ランディは舌打ちをして悔しそうな表情でエオリアと共にロイドを睨み、ツァイトは呆れた表情でロイドを見つめ、リタとカーリアンは微笑み、グレイスは口元に笑みを浮かべてロイドを見つめ、エルミナは蔑みの表情でロイドを見つめ、ミレイユは不安そうな表情でランディを見つめ
(な、何でみんな、俺を見るんだよ………)
その場にいるほぼ全員に見つめられたロイドは溜息を吐き
(くかかかかかかっ!やっぱり未来ではハーレムを築いているのだな!?)
(あっははははははっ!予想通りだね!)
(ハア…………………ある意味、一番知りたくない情報だったわね………)
(………………………)
ギレゼルとエルンストは陽気に笑い、ルファディエルは疲れた表情で大きな溜息を吐き、ラグタスは膨大な怒気や闘気を纏って黙り込んでいた。
「ちなみにさっきリィンの名前があったけど、彼は誰と結婚しているんだい?」
その時ワジは興味深そうな表情でキーアに尋ね
「えっと………言ってもいいけど、本人達には言わないでねー?」
「やだなあ、そんな無粋な事をする訳ないじゃん。なんせ”守護騎士”の一人として定められた未来を変える訳にはいかないし、こんな面白すぎるネタ、黙っていながらからかうに限るよ。」
「ワジ、お前な………」
「悪趣味です。というかケビンさんが聞いたら、『”守護騎士”の名が泣くで?』って言いそうです。」
キーアの言葉を聞いたワジは笑顔で言い、ロイドは呆れ、ティオはジト目で言い
「アハハ!聖職者の癖に兄妹のように育った”彼女”に手を出した”千の護手”にそんな事を言われる筋合いはないよ。」
ティオの言葉を聞いたワジは笑顔で笑いながら言った。
「アハハ………えっとね………リィンの奥さんはエリゼとアリサだよー。」
「ええっ!?」
「マジで驚きです………」
「あら……エリゼって言ったら確かリフィアお付きの侍女じゃない。」
ワジ達の会話を苦笑しながら聞いてた後答えたキーアの話を聞いたロイドとティオは驚き、カーリアンは目を丸くし
「あの野郎……!やっぱりエリゼちゃんに手を出しやがったな!?しかも2人も奥さんがいるだと!?キー坊!もう一人は一体どこのお嬢さんだ!?」
ランディは悔しそうな表情で叫んだ後キーアに尋ね
「アリサはねー………確か『ラインフォルト』って言う名前の会社の会長の娘だよー。」
「ええっ!?『ラインフォルト』!?」
「リィンさんの将来の奥さんの一人があの『ラインフォルトグループ』の会長のご息女さんなんて……………」
「嘘!?リィン君が将来あの『ラインフォルトグループ』の会長――――イリーナ・ラインフォルトの一人娘と結婚するなんて……!こりゃスクープだわ……!記事にできないのが悔しいわ~!」
「しょ、正直信じられないわ……」
キーアの話を聞いたエオリアとティオは驚き、グレイスは信じられない表情で叫んだ後悔しそうな表情をし、ミレイユは信じられない表情で呟き
「………………………」
「オイオイオイオイ……!一体どういう経緯でそんな凄い所のお嬢さんと結婚できたんだよ!?」
ロイドは口をパクパクさせ、ランディは信じられない表情で叫んだ後キーアに尋ねた。
「えっとね………確か政略結婚で結婚する事になってー………リィンが言うにはー………色々な複雑な事情があって、アリサとリィンは最初はお互いにぎこちなかったそうだけどー……何度も会って話をしていたら二人とも、本気でお互いを好きになったみたいー。今ではリィンとアリサ、エリゼの3人の仲はとってもいいよ♪」
「確かに『ラインフォルトグループ』の会長のご息女となると政略結婚も十分にありえる話だけど………何でリィン君……しかも今はエレボニア帝国とは関係のない所か、”百日戦役”でメンフィルに無血開城して降伏した事から”裏切り者”としてエレボニア帝国に嫌われまくっているメンフィル帝国の貴族――――”シュバルツァー男爵家”なのかしら??ラインフォルトの大株主であるエレボニア貴族の”四大名門”の一つである”ログナー侯爵家”の親族の方が十分にありえる話だけど………」
キーアの説明を聞いたグレイスは不思議そうな表情で考え込んでいた。
「ハ、ハハ………まあそれは未来の話ですから、気にしない方がいいかと……」
ロイドは冷や汗をかいて苦笑しながら言い
「しかしあのリィンが2人も奥さんを娶るなんてねえ?どうやら彼もロイドと同じ性格だったようだねえ?」
「何となくそんな気はしていたのですが………」
「畜生!草食動物の仮面を被った肉食動物のリア充野郎共めっ!爆発しろっ!!」
(全く………ヴァイスハイトの周りの男性は”こんなの”ばかりなのですか?)
(そういえば女神の夫も同じような性格で、よく女神に嫉妬されていたな………)
ワジは興味深そうな表情でジト目のティオと共にロイドを見つめ、ランディは悔しそうな表情でロイドを睨み、エルミナとツァイトは呆れた表情で溜息を吐き
「どういう意味だよ、それは!?」
3人に見つめられたり睨まれたりしたロイドは慌てた様子で突っ込んだ。なおロイド達がリィン達の話をしていたその時、リィンとエリゼ、そしてエレボニア帝国内にいる金髪の娘は同時にくしゃみをして、それぞれ首を傾げていた………………
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