DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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一つの章が終わり、次なる章が始まる…その中間。
『世界を平和にしてきます!!』な~んつってアルルさんは祖国を出たに違いない…
悪徳企業の社長は、実は下っ端課長クラスと知りガッツリ落ち込んで凱旋する勇者様。
世界中から邪気が消えてないことをお父さんに指摘され、半狂乱で八つ当たりする彼女は見てられなかった…
お兄ちゃんに宥められ落ち着きを取り戻すも、確認の為に世界中を視察している時など、彼氏に依存しまくり。
少し元気が出たのは、竜の女王様から『光の玉』を受け取り『アレフガルド』の『大魔王ゾーマ』の情報を聞いてからだ。
意外にメンタルが弱いですなぁ~…
「勇者アルル、只今戻りました…」
その弱メンタル勇者は、アリアハンの王様に報告しています。
最初は満面の笑顔で迎えてくれた王様も、説明を聞いて暗い表情に…
「な、なるほど…魔王バラモスの上に大魔王ゾーマが………して、そのゾーマが居るというアレフガルドへは、どの様に行くのか分かっておるのか?」
「はい…ネクロゴンドにある『ギアガの大穴』より、闇の世界『アレフガルド』へ行けると竜の女王様は仰っておられました。更には、我が父オルテガも…その穴に落ちたという事です」
なお、竜の女王様にオルテガさんの事を聞かされた時、アルル様が言った言葉は、
『女王様…そのお子さんは…誰の子ですか?』
だった。
言っておくが竜の女王様は、完全に竜だ!
アホの子みたいにヒューマンフォームしてない。
でも問うてしまう娘さん。
言ってやろうかと思いました。
“名前は『ポポタ君』でいいんじゃない?”ってさ!
…でもきっと殺されてたかもね。
「アリアハン王よ…祝賀パーティーは一時延期だのぉ!」
私が面白思い出に浸っていると、奥の方からゾロゾロと現れる一団…
「ロ、ロマリア国王陛下!?」
アルルさんだけじゃない、私達も大いに驚くその面子。
ロマリア王とラングストンっていう近衛兵…
ポルトガ王と名前を知らない側近…
イシスの女王レイチェルと娘のレティシアちゃん…
更にサマンオサ王も貧相な側近を伴い現れた。
「こ、これは…陛下、一体…」
「驚いちゃったアルル?私達ね、もうすぐアルル達がバラモスを倒して凱旋してくると思ったから、みんなでお祝いしてあげようと、数日前からアリアハンに来ていたのよ」
なるほど…大人なご挨拶でタイミングを知った奴等は、世界を救った英雄等との繋がりを保とうと、戻って来るであろうアリアハンで待機してたんだ!
「あぁ…だからか!」
「な、何が『だから』なんですかリュカさん!?」
お父さんも何かを納得した様で、弱メンタルなアルルさんを脅かす様な声を上げる。
「いや…僕はアリアハンの王様に会うのは初めてなのに、頭を下げなくても誰も怒らなかったから…変だなぁ~とは思ってたんだよ。レイチェル達が言っておいたんだね?」
「そうじゃよ。お前相手に目くじらを立てると、時間と体力の無駄だと忠告しておいたのだ!わっはっはっはっ!」
私にとってはこの姿が普段通りだけど…よくよく考えたら凄いわね。
「リュカ殿は、人柄はアレですが無駄に強いので、下手に刺激すると我が近衛騎士隊と同じ運命になりますって説明したら、アリアハン国王陛下以外の融通の利かなそうな側近さん達も分かってくれました!」
この子面白いわぁ…嫌味成分を含まないと喋れないのかしら?
「そう言うワケでな…リュカ殿達の偉業を、皆で祝おうと思っておったのだが…世界の平和はまだ先の様じゃの」
中間結果で勇者様優勢って事で、祝賀会を行っても良くね?
(ゴゴゴゴゴ…ドカーン!!)
ちょっぴり祝賀会に気を取られてると、突如室内に雷鳴が轟き、数人の兵士が消え去った!
こ、これは例のアレですね!?
「な、何事!?」
アルルさん達は驚き周囲を見渡す…すると再度雷鳴が轟いた。
「ふん!」
その瞬間お父さんは驚異的なスピードで王様達を安全な場所へと避難させる。
そして誰も居なくなった玉座に雷撃は落ち、周辺を真っ黒に焦がしてしまった。
「い、一体…!?」
〈わははははは!喜びの一時に驚かせた様だな。我が名はゾーマ。闇の世界を支配する者。このワシが居る限り、やがてこの世界も闇に閉ざされるだろう。さあ、苦しみ悩むが良い!そなたらの苦しみは、ワシの喜び。命ある者全てを我が生贄とし、絶望で世界を覆い尽くしてやろう!…我が名はゾーマ。全てを滅ぼす者。そなたらが我が生贄となる日を楽しみにしておるぞ!わははははははは………〉
「い、今のが大魔王ゾーマ………?」
「「「「「……………」」」」」
声だけの登場って…シャイなのかしら?
「アイツ…あんまり強そうじゃ無かったね!」
ごっついシャイBoyの想像をしてると、お父さんがまた違った感想を言ってくる。
「何言ってるんですか!この場に居ないのに、強力な落雷を発生させ、兵士数名を消し去ったじゃないですか!!」
まったくその通りだ!
どう見ればこの状態を作ったヤツが弱そうに感じるんだ!?
「でも…不意打ちだったじゃん。(笑)…しかも2発目は空振りだし!その事に気付いて無い様子だったよ!…きっと1発目も当てずっぽうだったんだよ!(大笑)」
………なるほど、言われてみればそんな気もしないでも…
ものは考えようね…
「そ、そうですよ!お父さんの言う通りですよ!もし大魔王ゾーマが、そんなに凄いヤツならば、真っ先に勇者アルルを狙うはずです!でも結果はモブが数名お亡くなりになっただけ…きっと大したこと無いのよアイツ!こうやって恐怖心を植え付けて、精神的に優位に立とうとしてるだけよ!」
ここで暗い顔をしてもモチベーションが下がる一方だし、空元気でも出した方が良いよね。
「そ、そうじゃよ!リュカ殿や勇者アルル殿が居るのだ…必ずやバラモスと同様に倒してくれようぞ!」
リュカ教の狂信者であるサマンオサ王が希望的観測でものを言う。
「そうよ。リュカは英雄なのよ!我が国でも…異世界でも…そしてこの世界の各所でも!絶望なんてしてられませんわ!直ぐに世界を平和にしてくれるのだから。私達は、自国の平和維持に尽力しましょう!」
抱いてる娘さんの父親の虜も同意する。
「うん。世界はまだ平和になってないし、祝賀会はまた今度と言う事で…今日は一旦家に帰り、一休みをしようよ。アレフガルドへ行くのは、後日にしてさ!」
“英雄”と呼ばれ顔を顰めるお父さんは、この場から逃げる為立ち去ろうと画策する。
「リュカよ、ちょっと待ちなさい!」
しかし、そうは問屋が卸さぬとロマリア王が英雄殿を呼び止めた。
「あ゛?あんだよ…もう帰らせろよ!」
相手の身分に拘わらず、この態度は大人としてどうなのだろうか?
心底嫌そうな声で返事するお父さん。
「そ、そう嫌そうな顔をするなよ…」
「『嫌そう』じゃなく、嫌なんだよ!どうせ面倒事だろ、僕を呼び付ける時は、大抵そうなんだ!………で、何?」
大人の悪い見本だ。
「ま、まぁ…面倒事ではあるのだが…先日、お前が近衛騎士隊を打ちのめしてくれた所為で、綱紀粛正を行う事が出来たんじゃ!本来は、副隊長だったラングストンに、時間をかけて行わせる予定だったのだが、思いの外早く終わったので、我が国からも達人を派遣しようと思うてな」
ロマリア王様は近衛副隊長のラングストンを付き出し、自慢気に語る。
「ほれ…我が国の近衛騎士副隊長を派遣するぞ!この男はお前程ではないが、かなりの達人じゃ!有望な戦力になるはず…」
近衛副隊長のングストン…
お父さんと対等に張り合える厄介な性格の持ち主…
彼はお父さんの前で美しいまでの敬礼をする。
対するお父さんは、さっきよりも酷い顰め面で答える。
「やっぱ面倒事じゃん!部下を一新出来たから、扱いづらいコイツを追い出したくなったんだろ?それを僕等に押し付けるんだろ!…それともアレか!綱紀粛正が早く終わってしまって、楽しみを奪われた腹いせか!?」
面と向かって“扱いづらい厄介者”と言われるラングストン…
「流石リュカ殿は聡明ですね!正にその通りでございます。ではでは、これからよろしくお願いします…って事で!」
でも分かってないのか…感じないのか、判断付かないが嬉しそうに我がパーティーに合流する…
うん。これは面白くなってきたわ。
でも“ラングストン”って長いわよね…
よし、私は彼を“ラン君”と呼ぼう!
後書き
今思えば、この人事はティミーにとっての不幸の始まりだった…
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