英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第90話(3章終了)
~鉱山町・マインツ~
「どうやら”赤い星座”も一通り撤退したみたいね。略奪をした形跡も特にないみたいだし。」
「そうですか……」
「よかった……不幸中の幸いですね。」
ミレイユの話を聞いたロイドとエリィは安堵の溜息を吐き
「元々、必要がなければ無用な略奪はしない連中だ。逆に必要だったらどんな事でもやってのけるだろうが……………」
ランディは複雑そうな表情で答えた後考え込んでいた。
「ランディ先輩?」
「大丈夫?ずいぶん無茶をしたって聞いたけど。」
ランディの様子を見たノエルとミレイユは声をかけ
「いや、どうってことねぇさ。せっかく封印を解いたライフルはさっきの戦いで無理させすぎたせいで、使い物にならねぇが。………ま、幸いにも支援課のビルにセティちゃん達の親父さんが作った得物を残しているから、そいつで戦うか………」
声をかけられたランディは溜息を吐いた。
「まあ、2年も封印していたんだから、いきなりあんなに酷使したら壊れるだろうねぇ?」
ランディの言葉を聞いたワジは口元に笑みを浮かべ
「しかし、ランディさんのブレードライフルといい、シャーリィさんのチェーンソーライフルといい……”赤い星座”の猟兵というのはとんでもない装備を持っていますね?」
ティオは真剣な表情で尋ねた。
「ああ、専門の武器工房にわざわざ依頼してるんだが……ま、ギヨーム親方もそうだが、セティちゃん達なら何とか修理できんだろ。」
「ああ、そうするといい。」
「ふふ、街に戻ったら早速セティちゃん達に頼みましょうか。」
ランディの言葉にロイドは頷き、エリィは微笑みながら言った。
「……でも良かった。またライフルを使えるようになったのね。」
「はは……遅まきながらだがな。いや~、お前さんにも随分心配をかけちまったなぁ。」
ミレイユに微笑まれたランディは頷いた後笑顔でミレイユを見つめ
「そ、そうよ……最初からライフルを使えていれば今も警備隊に在籍したままで……ち、違うんですからね!?その、このチャランポランな男が他でちゃんとやれるのかなって!」
見つめられたミレイユは呆れた様子で答えた後ある事に気付いて、顔を赤らめて慌てた様子でロイド達を見回して言った。
(はは……)
(何だか微笑ましいわね。)
(ランディさんも気づいてはいるんでしょうけど……)
ミレイユの様子を見たロイドは苦笑し、エリィは微笑み、ティオは静かな表情で小声で言った。
「それと……………遅くなったが悪い………俺の古巣達のせいで警備隊の連中に犠牲が出た上、お前達の手を奴等の血で汚させる羽目になって……」
その時ランディは重々しい様子を纏ってミレイユを見つめて目を伏せ
「先輩………」
「………………………」
ランディの言葉を聞いたノエルは複雑そうな表情をし、ミレイユは複雑そうな表情で黙り込んだ後ランディに近づいてランディを抱きしめた。
「え……………」
ミレイユに抱きしめられたランディは呆け
「………その事は気にしないで。これが私達の選んだ道だから…………貴方が気に病む必要はないわ。」
「………………………」
自分を見つめて優しげな微笑みを浮かべて言ったミレイユの言葉を聞いたランディは黙り込み
「それに……初めて”殺し”を経験して思ったけど……………何となくだけど、貴方が猟兵を止めた理由の一つがわかった気がしたわ………」
「!!…………………」
さらに自分を見つめて寂しげな笑みを浮かべながら言ったミレイユの言葉を聞いたランディは目を見開いた後黙り込み
「ハハ……………しかしまさかお前がこんな大胆な行動をとるとはな?エルンストの奴に何か吹き込まれたのか?」
苦笑した後、からかいの笑顔でミレイユを見つめ
「なっ………!?せっかく人が気を使ってあげたってのに貴方って人は!!」
見つめられたミレイユは顔を真っ赤にした後、慌ててランディから離れてランディを睨み
(なんだい。やればできるじゃないか。クク………)
エルンストは口元に笑みを浮かべ
「はは………いつも俺やワジ達にモテすぎだって訳わかんない事を言ってるけど、ランディだって十分モテているじゃないか。」
「フフ、僕達がいるのに見せつけてくれるねぇ?」
ロイドとワジは口元に笑みを浮かべてランディを見つめて言った。
「お前達だけには言われる筋合いはないっつーの!」
二人の言葉を聞いたランディは悔しそうな表情でロイドやワジを睨んで指摘し
「ち、違いますからね!?私は決してそのお調子者の事は何とも思っていませんからね!?」
ミレイユは顔を真っ赤にして慌てた様子でロイド達を見回して言い
(あはは………)
(ランディさんに恋している事がみえみえですよね。)
(ええ………ミレイユ三尉の気持ちをわかっていながら答えないランディも十分罪作りな男ね……)
ミレイユの様子を見たノエルは苦笑し、ティオとエリィは静かな笑みを浮かべて言った。するとその時ミレイユのエニグマが鳴りはじめ、ミレイユは通信を始めた。
「コホン……01方部隊、ミレイユです。ああ、ご苦労様。それで連中の足取りは…………………何ですって?」
「ど、どうしたんですか?」
通信相手から聞いて、声を上げたミレイユの言葉を聞いたロイドは驚きの表情で尋ねた。
「……撤退した猟兵達が突如消えてしまったらしいわ。トンネル道の分かれ道から遺跡方面へ抜けたみたいだけど……」
「”月の僧院”……」
「その……遺跡に逃げ込んだのではなくて?」
「いえ、遺跡前の封鎖を突破した形跡はなかったそうよ。一体どこに……」
「……あの辺りは切り立った崖ばかりですし……他に撤退できる場所なんてどこにもないはずなのに……」
「私やルファディエルさん達のように空を飛べれば話は別でしょうけど……」
考え込みながら言ったミレイユに続くようにノエルやティオも考え込み
「フム、あのシャーリィって子に常識は通用しなさそうだけど……」
ワジは目を閉じて言った。
「―――おかしいとは思ったんだ。国際犯罪者になっちまったんだから、略奪をしてもおかしくない事もそうだが………マインツ方面にいた連中だが……どう考えても数が少なすぎる。」
するとその時ランディは真剣な表情で言い
「なに……?」
ランディの言葉を聞いたロイドは驚きの表情でランディを見つめた。
「クロスベルに来ていたのは100人前後の大所帯……そこに各地にいる連中が加われば1000人ぐらいには膨れ上がるはずだ………だが、マインツ方面にいたのはせいぜい60人くらいだ。警備隊の連中が殺った人数を合わせても90人くらい……………何よりもシグムント・オルランド――――シャーリィ以上のあの化物はどこに行きやがったんだ……?」
「あ……」
「そ、それって……」
ランディの疑問を聞いたロイドとミレイユは厳しい表情をした。
「あ……―――皆さん、あれを!」
するとその時何かに気付いたティオは振り向いて叫び
「あ、あれは……」
「ま、まさか……」
ティオの叫びを聞いた後ティオが見つめる方向を見つめ、信じ難い光景を見たエリィとノエルは厳しい表情をし
「クロスベル市が――――燃えているのか!?」
信じ難い光景――――炎に包まれているクロスベル市を見たロイドは厳しい表情で叫んだ……………!
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