Three Roses
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第九話 若過ぎる死その三
「その時はな」
「大公のお子がですね」
「この国の王になられる」
「そうなりますね」
「そうなる」
まさにとだ、太子は答えた。
「その時はな」
「その時は」
側近の一人がその目を鋭くさせて言った。
「毒ですか」
「その王にだな」
「そうされますか」
「いや、まだだ」
ここで言ったのだった。
「子供はすぐに死ぬ」
「ですね、言われてみれば」
「子供は何時どうなるかわかりません」
「昨日元気でも今日死ぬこともあります」
「風疹にでもかかれば危ういです」
「赤子なら特にだ」
太子はとりわけ赤子について話した。
「それこそ死産もあるしだ」
「何時死んでもですね」
「子供の中でも特にですね」
「死ぬもの」
「だからですか」
「毒はだ」
それを使うことはというのだ。
「焦らずともよい、それに子供に毒を盛ることはな」
「はい、どうにもですね」
「心が痛みます」
「やはり子供に使うとなると」
「それは」
「そういうことだ、子供に毒はだ」
やはりというのだった。
「はばかれるしな」
「様子を見ますか」
「大公にお子が出来ても」
「それでもですね」
「そうだ、まずは様子見でいい」
太子は落ち着いた声のまま言った。
「大公についてはな、そしてその大公もな」
「やはり、太子の言われる通りです」
「お顔の色がよくありませんね」
「頬も痩せてきています」
「お身体自体も」
「長くないか」
大公もというのだ。
「やはり」
「では、ですね」
「大公が王になられた後のことも考えておきますか」
「今からそうしますか」
「その時のことを」
「妃をこの国の女王にする」
太子は自身の側近達に告げた。
「そうする、その為にはだ」
「マリー王女ですね」
「あの方はお妃様よりも王位継承権が上です」
「そしてこの国に残られますし」
「新教徒でもあり人望もおありです」
「しかも立派な方です」
「順当にいけば彼女になる」
大公が男子をもうけず世を去ればその後はというのだ。
「マリー王女がこの国の主にな」
「それは避けたいですね」
「何としても」
「それならばですね」
「あの方をどうにかしますか」
「今後は」
「そうしたい、しかしだ」
それでもとだ、太子は側近達にこうしたことも言った。
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