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おぢばにおかえり

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第三十三話 明治の中でその六

「自衛官の信者さんもおられるけれど」
「おられるんですか」
「現役の人もね」
 勿論元の人もです。
「おられるわよ」
「そうですか」
「けれどね」
 それでもです。
「これといってね」
「正反対ですよね」
「そう言っていいわ」
 本当にこう思います。
「戦う教えじゃないから」
「そうですね、確かに」
「わかるでしょ、阿波野君も」
「はい教義の授業でも教えてもらいました」
 天理高校には普通の授業の他に教義という天理教のことを勉強する授業もあります、テキストは天理教の教典や教祖伝説です。
「どう見てもそうですね」
「そうでしょ、だからね」
「自衛隊の人でもですね」
「信者さんがおられても」
 それでもというのです。
「戦いとは別よ」
「そうなんですね」
「というかね」
「というか?」
「自衛官の人達は戦うというか」
「違いますか」
「国防でしょ?」  
 私は阿波野君に言いました。
「私達国民を守る人達でしょ」
「別に攻めたりはしないですしね」
「ええ、他の国のことは知らないけれど」
 私は軍隊のことには本当に詳しくないのでこう言うしかありませんでした。
「災害救助とお祭りがお仕事だから」
「お祭り?」
「基地でよく市民の人達にレセプションしてるの」
 私はこのことをお祭りと言ったのです。
「そういうことが多くてね」
「あとPKOですね」
「あれも災害救助みたいなところあるかしら」
「そうですかね、まあ自衛隊は」
 阿波野君も言います。
「おかしな組織じゃないですからね」
「そのことは間違いないわね」
「僕的には市民団体とかの方が」
「おかしいっていうのね」
「そう思います」
「そういえば」
 私も思い当たるふしがありました。
「そうした市民団体も神戸にね」
「多いですか」
「そう感じたわ」
「奈良はもっと凄いかも知れないですね」
「奈良も色々あるからね」
「そうなんですよね、これが」
「まあそうしたお話は置いておいて」
 私は暗くなりそうに思ったのでこう阿波野君に言ってでした。あらためて今私達がいる場所を見回して言いました。
「本当に不思議な感覚ね」
「日本なんですが」
「日本でないみたいな」
「それでレトロで」
「時代があるのは当然だけれど」
 何しろ昔だからです、明治や大正も。
「不思議な世界ね」
「だから僕も案内させてもらいました」
 私を、というのです。 
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