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第二章

 源田も大西もドイツ空軍について細かく調べた、無敵と言われているこの軍隊のことを。そしてだった。
 源田は大西の部屋に来てだ、驚きを隠せない顔で彼に言った。
「正直驚きました」
「私もだ」 
 大西もこう源田に返した。
「意外というかな」
「信じられませんでした」
「陸軍さんもそう言っているみたいだな」
「あちらもですか」
「そうだ、航続距離がだ」
 航空機のそれがというのだ。
「あまりにも短い」
「信じられない位ですね」
「我々から見るとな」
 日本の陸軍、そして海軍のそれぞれの航空隊から見てだ。
「とんでもないものだ」
「よくこれで戦力として採用しましたね」 
 源田は首を傾げさせつつこうまで言った。
「この航続距離で」
「全くだ、どうやらだ」
 大西は源田に彼も眉を顰めさせて話した。
「あちらでは航空機は大砲らしい」
「大砲ですか」
「それの延長という発想でだ、しかも大陸で戦うからな」 
 このこともあってというのだ。
「ああしてな」
「航続距離が短いのですか」
「我々から見てな」 
 日本軍の航空機達と比べてというのだ。
「短いのだ、あまりにもな」
「そういうことなのですね」
「それでだ、君も調べてわかったと思うが」
「はい、その航続距離の短さ故に」
 源田は軍人らしくキビキビとした声で大西に応えた。
「海峡沿いに基地を集めています」
「出来る限りイギリス本土に近付けてな」
「まさに大砲での砲撃での発想ですね」
「そうだな、そして航続距離を見るとな」
 ドイツ空軍の航空機達のそれをだ。
「イギリス本土には辿り着けても」
「特に戦闘機達が」
 メッサーシュミットやフォッケウルフといったドイツ軍が誇るそうした戦闘機達がだ。
「満足に戦えないですね」
「これではな」
「はい、如何にドイツ軍といえど」
「そうかもな」
 大西は眉を顰めさせて源田に話した、源田も険しい顔で頷いた。こうしたやりとりは陸軍の間でもあった。
 ドイツ軍はまずは制空権、イギリス上空のそれの確保にかかった。そこから陸軍をイギリス本土に送るつもりである。
 それで連日連夜爆撃が行われ戦闘機隊がイギリス上空に姿を表した、だが。 
 メッサーシュミット109に乗るパイロット達はロンドン上空でだ、舌打ちをして言い合った。
「もうか」
「ああ、もうだな」
「帰らないといけないな」
「そうだな」
 そうなったというのだ。
「これ以上は無理だ」
「燃料が尽きる」
「基地に帰れなくなる」
「爆撃隊はまだ仕事中だがな」
「仕方ない、帰るぞ」
「全機撤退だ」
 苦々しい顔と声でだ、彼等はロンドン上空を後にした。その時にイギリス空軍の戦闘機隊、スピットファイアやハリケーン、タイフーンを中心とした彼等の追撃を必死で振り切った。爆撃隊は足早に仕事をして彼等も逃げるしかなかった。 
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