英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第71話
~特務支援課~
「―――なるほどな。例のクスリの原料となった花か。そうなると警察にとっても他人事じゃなくなって来たな。」
「ああ。これでようやく”教団”が残した謎もわかるかもしれないしな。」
「まさかこんな予想外な所で”教団”との繋がりが出て来るとは予想もしていませんでしたね。」
翌日、ロイド達から話を聞いたセルゲイは溜息を吐いた後真剣な表情になり、ヴァイスとアルはそれぞれ真剣な表情で言い
「ええ、引き続きギルドと協力して調査しようと思うんですが……」
「他に、気になる案件は何か入っていませんか?」
3人の言葉にロイドは頷き、エリィは尋ねた。
「入ってると言えば入ってるがまあ、他の課に任せておけ。どのみち、国家独立の住民投票である程度の混乱は避けられねぇだろ。今は不安要素の洗い出しの方が先決のはずだ。」
「……確かにそうですね。」
「所謂、危機管理ってヤツだね。」
「………思わぬ所で危険がある可能性もあるでしょうしね。」
セルゲイの答えを聞いたノエルは複雑そうな表情で頷き、ワジは口元に笑みを浮かべ、エリナは納得した様子で頷いた。
「しかしそうなると……今日の方針はどうしましょう?幻獣の調査も、私達の担当は昨日の内に終えてしまいましたし。」
「ま、ギルドの遊撃士どもを手伝うってのもアリかもしれねぇな。」
「……”神殺し”に加えて”古神”もいるのだから、手伝いなんて無用だと私は思うのだけど。」
ティオの話を聞いた後提案したランディの話を聞いたエルファティシアは呆れた表情で言い
「た、確かに……」
「下手したら昨日の内に全部やっつけているかもね~。」
「……それは確かにありえそうですね。」
エルファティシアの言葉を聞いたリィンとシャマーラ、エリナは苦笑していた。
「…………………」
一方ロイドは黙って考え込み
「……どうしたの?」
「気になる事でもあるのかい?」
ロイドの様子を見たエリィとワジは尋ねた。
「いや……思ったんだけど。一度、”ローゼンベルク工房”を訪ねてみないか?」
「あ……」
「”結社”に関係があるっていう……」
「………………………」
ロイドの提案を聞いたエリィとノエルは真剣な表情で言い、リィンは黙り込み
「そうか……すっかり忘れてたな。」
ランディは重々しい様子を纏って言った。
「もちろん捜査令状がない以上、強制捜査ができる訳じゃない。だが……あの老人は前にこんな風にも言っていた。」
だが今は、特に話すことがあるわけでもあるまい。何か用件ができたら改めて訪ねてくるがいい。レンに免じて話くらいは聞こう。
「………訪ねてみる価値はあるかもしれませんね。危険が伴うかもしれませんが。」
「確かに、あの奇妙な少年の目的くらいは掴んでおきたいね。もしかしたらあの工房に滞在してるのかもしれないし。」
人形工房で再会した工房の主人であるヨルグの言葉を思い出したティオとワジはそれぞれ頷いた。
「さ、賛成です!ただでさえ二大国との衝突が危ぶまれているこの状況……これ以上、怪しげな勢力を放置するわけにはいきません!」
「そうね……まずは工房を直接、訪ねてみる形でいいのね?」
ノエルの意見に頷いたエリィはロイドに確認し
「ああ、様子を見てみよう。……場合によっては、捜査令状を手配する必要があるかもしれない。ただ、あまり大人数で行っても会ってくれないかもしれないから、昨日のように二組に分かれて、一組が工房に行ってみよう。」
確認されたロイドは頷いた後提案し
「だな……よし、そんじゃあとっととチームを分けた後出かけるとするか。」
ロイドの言葉に頷いたランディは口元に笑みを浮かべて言った。
「ねえねえ、みんな。もうお仕事に出かけるのー?」
するとその時キーアがロイド達を見回して尋ねた。
「ああ、そのつもりだけど……キーアは今日は……図書館に行くんだったっか?」
「んー、シズクのために点字の本を探そうかなって。お買い物して帰るけど晩ゴハン、食べたいものあるー?」
「お買い物って……キーアちゃん、大丈夫なの?」
キーアの申し出を聞いたエリィは驚き
「確かに料理は何度も作ってもらっていますが……」
ティオは目を丸くして言った。
「うん、モモのお父さんとかオスカーからいつも買ってるし。デパートの食品コーナーのおばちゃんとも仲いいよー?」
「い、いつの間に……」
「ほう?中々顔が広いな。」
キーアの話を聞いたロイドは苦笑し、ヴァイスは興味深そうな表情をし
「ハハ、まあキー坊なら納得だぜ。」
「もしかしたらみんな、キーアの可愛さでおまけしてくれてるかもしれないね♪」
「確かにそれはありえそうですね……」
ランディとシャマーラは笑顔で言い、エリナは苦笑していた。
「そうなると……ちょいと涼しくなって来たし鍋物なんかいいかもしれねぇな。」
「あ、いいですね。みんなで盛り上がれそうですし。」
セルゲイの提案を聞いたノエルは口元に笑みを浮かべ
「鍋物……一体どんな料理なのでしょう??」
アルは首を傾げ
「あら?もしかして二人は鍋物料理は食べた事がないのかしら?」
アルの様子を見たエルファティシアはヴァイスを見て尋ね
「ああ。旅の間は自炊していたし、街にいる時の食事はほとんど酒場か宿屋、後は屋台だったせいで、そういった料理は食べた事はない。」
尋ねられたヴァイスは頷いて答え
「フフ、とても楽しい料理ですよ。」
「鍋物か……………そう言えば俺も食べた事はないな……」
セティは微笑みながら言い、リィンは口元に笑みを浮かべて言った。
「鍋っていうことはやっぱり東方風なのかな?」
「キーアちゃん、大丈夫?」
その時ワジとエリィはキーアに尋ね
「んー、何とかなると思う。おダシをちゃんと取りたいから東通りの露店街にも寄らないとー。」
尋ねられたキーアは考え込んだ後真剣な表情で答えた。
「おおっ、本格的じゃねえか。」
「帰って来た時のお楽しみが出来ましたね。」
「ええ。料理上手なキーアが作るのですから、きっと凄く美味しいのでしょうね。」
キーアの答えを聞いたランディは驚き、ティオとエリナは口元に笑みを浮かべて言った。
「ありがとう、キーア。今日はなるべく遅くならないように帰って来るよ。」
「えへへ……うんっ!」
その後ロイド達は昨日のメンバーにリィンを加えた後、行動を開始した……………
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