英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
異伝~輪廻を超えし英雄達~ (インターミッション終了)
~メンフィル帝国・帝都ミルス~
「まさか転移魔術で城を抜け出してくるとは思いませんでした………あまり、ご家族や城の方達に迷惑をかけてはいけませんよ?」
黒髪の女性は苦笑しながら言い
「だがヴァイスハイト達と面識があるメンフィル初代皇帝、リウイ・マーシルンに面会したい我等にとってはまたとない好機。」
「……今思ったのだけど、こんな行動をしていてよく今まで拉致や暗殺をされなかったわね。」
ダークブラウンの髪の男性は静かに呟き、男性の側にいる漆黒の衣装を身につけたダークシルバーの髪の人形は呆れた表情で呟き
「クク……さすがはあのヴァイスハイトの知り合いだけはあると言った所か。大胆な性格をしている皇女だ。」
「……あの男の知り合いの皇族というのは皆、こんな変わり者ばかりなのでしょうか?」
鍛え抜かれた肉体に所々鎧を装着している初老に差し掛かっている男性は口元に笑みを浮かべ、男性の側にいる鮮血のような真っ赤な髪を持つ人形は苦笑し
「フッ………それにしても、これでようやくあの時は解明できなかった”導力”とやらの技術に触れる事ができるのだな……!”魔導”と”導力”……今度は2つの技術を合わせた作品を作ろうぞ……!」
「エイダ様、また悪い癖が出ているですの~………まず優先すべき事はアル達と再会する事ですの!全く、私達は再会する日を待ってずっと眠っていたのに、私達に会いに行かずにヴァイスハイトと一緒に旅をしているなんて、プンプンですのー!」
「ようやく……ようやく我が王にお会いできるのですね……!」
明るい緑色の髪を持ち、やや耳が尖った女性は口元に笑みを浮かべ、その様子を見た女性の側にいる青を基調としたフリフリドレスを着たライトシルバーの髪の人形は溜息を吐いた後、真剣な表情で言い、そして頬を膨らませて叫び、一人のルーンエルフの女性は希望を持った表情をしていた。
「フフ………ようやく会えるわね……この私を変え、私が唯一心から愛した男……ヴァイスハイト……いえ、ヴァイス。生まれ変わっても私の心と身体は貴方のものなのだから、責任を取ってもらうわよ?」
「えへへ………今度こそみんなでが幸せになれる世界を作れそうですね、ヴァイス様!」
「ネネカももうすぐ会いに行くぞ、ヴァイス!」
周囲にいる女性達より極めて整った容姿や豊満な身体つきをし、妖美な雰囲気をさらけ出す明るい紫紺の髪を腰までなびかせ、さらに口元に小さなホクロがあり、スリットがある漆黒のドレスを着た女性は口元に笑みを浮かべ、清楚な雰囲気をさらけ出すブロンドの髪の少女は嬉しそうな表情で呟き、獣人族の少女は明るい表情で頷き
「ようやく……ようやく再戦の時だ!ヴァイスハイト――――ッ!!」
「お、落ち着いて下さい、クライス様!!」
不敵な笑みを浮かべて叫んだ赤髪の青年を見た腰までなびかせる銀髪と紅い瞳を持つハーフエルフの女性は慌て
「フフ……我が友、ヴァイスよ。生まれ変わったお前はどのような者になっているのだ?」
「やっとまた……ご主人様に会え、可愛がってもらえるのですね……」
竜族の女性は口元に笑みを浮かべ、天使族の女性は嬉しそうな表情で呟き
「光と闇が混合する国、メンフィル………まさかかつて私が目指した国がこうして存在しているとは今この目で見ても信じられん……………ヴァイスよりこの国の話を聞いた時は本気にしていなかったが……………」
「……この国に来て本当に驚きました。人間と異種族どころか、魔族――――いえ、闇夜の眷属達が共に生活をしているのですから……噂に聞いた時は嘘かと思いました……………」
銀髪褐色のダークエルフの女性は驚きの表情で周囲を見回して呟き、目元に何かの紋様が刻み込まれたエメラルドグリーンの髪を持つ竜人族の女性は静かな表情で呟いた。
「な、な、な……お前は!?」
一方黒髪の女性を見たリフィアは口をパクパクさせた後驚き
「おお、リセルじゃん。………ヴァイスが転生したんだから、リセルももしかしたらかな~っと思ってたけど、本当に転生しているなんて………」
エヴリーヌは女性――――かつて”影の国”で出会い、共に戦ったヴァイスの副官であるリセル・ルルソンを目を丸くして見つめながら言った。
「うむ!これほど素晴らしい奇蹟が起こるとはな!……ちなみにリセル。お前の後ろにいる者達はまさかお前やヴァイスハイトのかつての仲間達なのか?」
「ルーンエルフどころか獣人やハーフドワーフ、ダークエルフやハーフエルフ、それに竜族や竜人、果てには天使までいるなんて……しかもその赤い髪の男って、死者――――幽霊じゃん。よくこんなにもたくさんの種族が集まったね。」
一方リフィアは嬉しそうな表情で頷いた後リセルを見つめて尋ね、エヴリーヌは興味深そうな表情でリセルの背後にいる仲間達を見つめ
「―――はい。ほとんどの方達が今の時代に生まれ変わり、さまざまな偶然が重なった結果、このようにかつて私達が決戦に挑んだ時のメンバーがほぼ揃ったのです。――――では、改めまして。私の名はリセル。リセル・ザイルードです。」
リフィアに尋ねられたリセルは微笑みながら答えた後名乗り
「……リセルの父、オルファン・ザイルードだ。かつてメルキアの元帥の一人だった者也。ヴァイスハイトや娘が世話になった事……感謝する。」
「――――”魔導功殻”のナフカよ。ヴァイスハイトの事はどうでもいいけど、私の可愛いリセルの面倒を見てくれてありがとう。」
リセルに続くようにダークブラウンの髪の男性―――オルファンと側にいる人形―――ナフカは名乗り
「儂は”戦鬼”ガルムス・グリズラー。オルファンと同じかつてメルキアの元帥だった者だ。」
「……私はマスター―――ガルムス様に仕えし”魔導功殻”のベル。人呼んで”鮮血の魔女”だ。」
オルファン達に続くように初老に差し掛かった男性―――ガルムスと側にいた人形―――ベルは名乗り
「わらわの名はエイフェリア・プラダ。ヴァイスハイトやオルファン達と同じ”メルキア四元帥”の一人だ。」
「私はリューンですの~!よろしくお願いしますの♪」
明るい緑色の髪の女性―――エイフェリアと側にいる人形―――リューンも続くように名乗り
「――――私はメイメイ・アンダーステーク。我が王、エルファティシア・ノウゲートの遺志を継ぎ、かつてのエレン・ダ・メイルの王だった者です。……”神殺し”セリカ・シルフィルと個人的に親交があるメルキア皇女マウアの報せを聞き、参上しました。」
ルーンエルフの女性―――メイメイは静かな口調で説明し
「私はフェルアノ・リル・ラナハイム。かつてメルキアの皇帝だったヴァイスの第一側室よ。」
「えっと……元メルキア皇帝ヴァイスハイト陛下の第二側室、マルギレッタ・シリオスです。よろしくお願いします。」
「ネネカはヴァイスの三番目の側室のネネカ・ハーネスだ!よろしくなっ!」
明るい紫紺の髪の女性―――フェルアノ、ブロンドの髪の少女―――マルギレッタ、獣人の少女―――ネネカもそれぞれ名乗り
「俺の名はクライス・リル・ラナハイム!さっさと俺をヴァイスハイトがいる世界に連れて行け!奴に勝ち逃げは許さん!」
「――――元メルキア皇帝ヴァイスハイト・フィズ・メルキアーナ陛下の近衛騎士団団長、ラクリール・セイクラスです。今後ともお見知り置きを。」
赤い髪の青年――――クライスは名乗った後リフィアを睨み、銀髪のハーフエルフの女性―――ラクリールは静かな口調で名乗り
「我はエア・シアル。”意戒の山領”の主であった竜族だ。」
「……ご主人様に”娼婦”として買われ、自由の身となったミスティと申します。今でもご主人様の事を慕い、皆さんからご主人様が新たな生を受けたとお話を聞き、こうしてご一緒させて頂きました。」
「……メルキア帝国、ザフハ領主、ネネカの補佐であったアルフィミア・ザラだ。」
「マルギレッタ様の教育兼護衛役だったリ・アネスです。……この役目は例えマルギレッタ様が生まれ変わろうと変わりません。」
竜族の女性―――エア・シアル、天使の女性―――ミスティ、ダークエルフの女性―――アルフィミア、そしてナーガの女性―――リ・アネスもそれぞれ自己紹介をした。
「……天使が娼婦?まさかニルを超えるとんでもない変わり者の天使がいるなんて……」
「うむ!我が名はリフィア・イリーナ・マーシルン!メンフィルの次代を継ぐ者!……どうやら皆、ヴァイスハイトがいる世界に向かいたいようだな?」
リセル達の名乗りを聞いたエヴリーヌは目を丸くしてミスティを見つめ、リフィアは頷いた後名乗り、リセルを見つめて尋ね
「はい、話が早くて助かります。どうか許可を頂けないでしょうか?」
尋ねられたリセルは頷いた後尋ね
「やれやれ………せっかく抜け出したというのにまさか自分から戻る羽目になるとはな……―――よかろう。戦友のよしみだ。リウイ達に話を通してやろう。ただ、さすがにすぐにヴァイスハイト達の元へは行けんからな?異世界であるゼムリア大陸へ異なる世界の者達を送り出すメンフィル(こちら)として、手続きやゼムリア大陸での最低限の知識や常識を覚えてもらう必要があるからな。」
尋ねられたリフィアは溜息を吐いた後苦笑し、そして口元に笑みを浮かべて言った。
「はい、それは承知しております。(もうすぐそちらに参ります………ヴァイス様………)」
リフィアの答えを聞いたリセルは静かな笑みを浮かべて会釈をした。
これがメンフィルの次代を担うリフィアのかつてヴァイス達と共に戦場を駆けたメルキアの英雄達との邂逅である………………………
ページ上へ戻る