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英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
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第66話

~深夜・ミシュラム~



「フフ……予想していたよりも早かったな。さすがは”六銃士”。」

ヴァイス達が外に出ると声が聞こえ、声が聞こえた方向を見つめるとそこには白いマントの仮面の男が街灯の上に立っていた!

「―――何者ですか!?」

「さっきの人形兵器の件から察すると”結社”の人かしら?」

仮面の男をエルミナは睨みながら叫び、ルイーネは真剣な表情で尋ね

「ん~………?………あ。な~んで、アンタがここにいるのかしら?”怪盗紳士”。」

カーリアンは不思議そうな表情をして仮面の男を見つめてある事に気付いた後、目を細めて仮面の男に尋ね

「………”怪盗紳士”だと?確かオリビエから聞いた事があるな………”美”を語る上での最大の好敵手にして”結社”の”執行者”。」

カーリアンの言葉を聞いたヴァイスは眉を顰めた後目を細めて仮面の男を睨み

「―――そしてゼムリア大陸中を騒がせている”怪盗B”ですね。」

「…………確か通商会議当日に事件を起こした泥棒ね。しかも盗んだ物をわざわざ痛まないように保管して隠した挙句、ヒントを残してロイド達に見つけさせたそうね?一体何のためにしたのよ。」

アルは静かに呟き、エルファティシアは目を細めて仮面の男を睨んで尋ねた。

「フフ、かつて剣を交えた”ブレイサーロード”やクローディア姫達のように君達の事も試させてもらうつもりだったのだよ。しかしそれにしても……まさかここで我が好敵手の名が出るとは。フフ、面白い偶然だ。」

一方仮面の男は口元に笑みを浮かべて呟き

「改めて自己紹介をしよう。。”執行者”NO.Ⅹ。”怪盗紳士”ブルブラン―――”身喰らう蛇”に連なる者なり。」

そして仮面の男――――”身喰らう(ウロボロス)”の”執行者”、”怪盗紳士”ブルブランは自己紹介をした!

「―――で?天下の大泥棒があたし達に何の用?あたし達から何か盗む気?」

パティルナは静かな表情で言った後、ブルブランに尋ね

「――――オリビエやクローディア姫の話ではリベールの”異変”に加担した理由はリベールの”希望”を盗む為だったらしいな?」

「フン、よりにもよって”希望”か………とんでもない大泥棒だな?」

目を細めて言ったヴァイスの言葉に鼻を鳴らしたギュランドロスはブルブランを睨み

「国の”希望”ですか………しかしクロスベルの”希望”とは一体………」

エルミナは考え込んでいた。

「フフ、それは勿論君達の事だよ。”六銃士”。」

するとその時ブルブランは口元に笑みを浮かべて言い

「ほう………?」

ギュランドロスは興味深そうな表情をした。

「歪んだ政治の下、突如現れて汚職にまみれた警察、警備隊を立て直し、清浄化した市民達にとって”希望”といってもおかしくない存在である”六銃士”。そして極めつけは通商会議で二大国に対して大反撃をした件によって”クロスベルの三大英雄”として称えられ、かの”風の剣聖”をも越えるクロスベルの”希望”!そんな”希望”という名の宝石が砕け散る時の煌めきを見てみたいのだよ、私は!」

一方ブルブランは高々と言った!

「あらあら……要するに私達の命を”盗る”つもりなのね?」

ブルブランの言葉を聞いたルイーネは全身から膨大な殺気を出して微笑みながら言い

「まさかあたし達に堂々と喧嘩を売ってくる命知らずがまだいたなんてねぇ?」

「全く……貴方達は敵を作り過ぎよ。」

パティルナは不敵な笑みを浮かべ、エルファティシアは呆れて溜息を吐き

「………今ここで、やり合うつもりなのか?」

ヴァイスは静かな表情でブルブランを見つめて尋ねた。

「フフ……今日は挨拶をしに来ただけだ。また近い内に会えるが日が来るだろう。今日の所はこれで失礼する。」

尋ねられたブルブランは口元に笑みを浮かべて答えた後ステッキを構えた。するとブルブランの周りに薔薇の花びらが舞い

「―――ああ、そうそう。”叡智”にもよろしく言っておいてくれたまえ。彼女の命もまた、君達のように盗む価値がある美しい宝物だからね。」

そして花びらと共にブルブランはその場から消えた!

「……退いたわね。私はあいつと会ったのはこれで初めてだけど、変な男ね~。」

ブルブランが消えるとカーリアンは呟いた後溜息を吐き

「クク……宣戦布告とはおもしれぇっ!受けて立ってやる!」

ギュランドロスは好戦的な笑みを浮かべた。

「……一端セリカ達の元に戻りましょう。ロイド達も戻ってきているかもしれないですし。」

「……ああ。しかしこの様子だと下手したらロイド達も”結社”の”執行者”に会っているかもしれんな……」

静かな様子を纏って呟いたアルの言葉にヴァイスは頷いた後考え込んでいた。



~ワンダーランド~



「はあ……」

「チッ、何だってんだ……」

「でも……今の手応えは。」

ヴァイス達がブルブランと邂逅する少し前、戦闘を終わらせたエリィは安堵の溜息を吐き、ランディは舌打ちをし、ティオは真剣な表情で呟き

「くっ………――――いつまで隠れているつもりだ!?いいかげん出て来い!」

ロイドは唇を噛みしめた後怒鳴った!

「え………」

「へえ……」

「……………」

ロイドの言葉を聞いたノエルは呆け、ワジは真剣な表情で呟き、リィンは周囲を警戒していた。すると

「ウフフ――――よくわかったねぇ。」

声が聞こえ、声を聞いたロイド達が声が聞こえた方向を見つめると、そこには建物の屋上に片腕の少年が立っていた!

「なっ………!?」

「気配を感じませんでした……」

少年を見たノエルは驚き、ティオは真剣な表情で呟き

「!!奴は……!」

リィンは目を見開いて驚き

「?リィンさんは知っているの~?」

「……今の状況を考えますと、どう考えても敵である事には違いないですね。」

「一体何者なのでしょう……?」

リィンの様子を見たシャマーラは不思議そうな表情をし、エリナは静かな表情で言った後少年を睨み、セティは真剣な表情で少年を見つめ

「!!おいっ、あのガキみたいな奴は……!」

「リフィア殿下やレオン少佐から教えてもらった”結社”に属する人達の中にいた人物……!」

ランディとエリィは厳しい表情で叫び

「――――”身喰らう(ウロボロス)”の”執行者”―――――”道化師”カンパネルラっ!!」

ロイドは少年――――”身喰らう(ウロボロス)”の”執行者”である”道化師”カンパネルラを睨んで叫んだ!

「あれ?ボクの事を知っているんだ?レオン少佐って事は…………フフ、なるほど。”剣帝”がボクの事を話したんだね。いやー、それにしても今は”少佐”だなんて彼も出世したねぇ。」

ロイドの言葉を聞いたカンパネルラは意外そうな表情をした後ある事に気付いて、口元に笑みを浮かべて言い、そして笑顔で言い

「―――まあ、ボクの事を知っていて今更だけど一応改めて名乗っておくよ。”身喰らう(ウロボロス)”が執行者、No.0――――”道化師”カンパネルラ。以後、お見知りおきを願うよ。――――特務支援課の諸君?」

自分の事を名乗った後怪しげな笑みを浮かべてロイド達を見つめた。

「あなた、もしかして……!」

「ヨナの部屋でロイドさんたちを罠にかけようとしたハッカー……」

「………そしてテロリストたちにタワーの情報を流した張本人か。」

カンパネルラの言葉を聞いたエリィとティオは厳しい表情をし、ロイドは目を伏せて呟き

「まさか例の”結社”がテロリストなんかに協力していたとはねぇ。」

ワジは疲れた表情で溜息を吐いた。

「いや~、それにしてもまさかあんな事になるとはねぇ。テロリストや僕達を利用して黒月と赤い星座をクロスベルから一掃するどころか、二大国を混乱させるなんて、さすがのボクも驚いちゃったよ♪あの件で一番災難だったのは鉄血宰相だねぇ。大陸中でのボク達の暗躍も全て、鉄血宰相の仕業ではないかと世間では疑われているし。一体、誰があんな大それた事を考えたんだい?」

そしてカンパネルラは笑顔で言った後、口元に笑みを浮かべてロイド達を見つめて尋ね

「――――国際犯罪者に答える義理はない。このクロスベルで一体、何をしようとしている……?」

尋ねられたロイドは静かな表情で言った後カンパネルラを睨み

「何よりも――――キーアをどこへ連れ去った!?力ずくでも話してもらうぞ!」

さらにトンファーを構えて怒鳴り、ロイドに続くように仲間達もそれぞれ武器を構えた!



「ウフフ、いい気迫だねぇ。でも、君達のお姫様には別に何もしちゃいないよ?さっき、ここをフラフラと通り過ぎるのは見かけたけどね。」

「は……!?」

「てめえ……しらばっくれるつもりか!?」

「それと何の為にアーケードに人形兵器を放った!」

カンパネルラの答えを聞いたロイドは目を丸くし、ランディはカンパネルラを睨み、リィンは睨みながら叫んだ。

「フフ、でも事実だからねぇ。信じるかどうかは君達次第だけど……今日のところはあくまで君達に挨拶しに来ただけさ。人形兵器を放ったのも”彼”が”六銃士”達に挨拶をする為さ。」

そしてカンパネルラが指を鳴らした。すると垂れ幕は元の垂れ幕に戻り

「な……」

「こ、これは………」

「一体どうやってこんな大がかりな仕掛けを一瞬で…………」

それを見たロイドやノエルは驚き、セティは信じられない表情をしていた。すると花で作られたピエロもみっしぃに戻った。

「あ―――」

「元に戻りやがった……」

「……ずいぶんと大がかりな手品じゃないか。」

「幻術の類いでしょうか………」

それを見たエリィは声を上げ、ランディは呟き、ワジは真剣な表情で呟き、エリナは考え込んでいた。するとその時

「アハハ♪」

カンパネルラの声が聞こえ、声を聞いたロイド達がカンパネルラがいる場所を見つめると、カンパネルラは炎に包まれ

「ウフフ、それじゃあボクはこれで失礼しようかな。また近いうちに会えることを祈っているよ。―――ああ、お姫様なら奥の城へと向かったはずさ。とっとと保護してあげるんだね。」

ロイド達に伝言をした後その場から消えた!

「……あれが……あれが”身喰らう(ウロボロス)”!」

カンパネルラが消えるとロイドは叫び

「エステルさん達やリフィア殿下たちから聞いてたけど……」

「……ハッキング技術といいとんでもない集団みたいです。」

「ああ……まさかこれほどまでの能力を持っていたなんて……」

エリィは不安そうな表情で呟き、ティオは疲れた表情で溜息を吐き、リィンは真剣な表情で呟き

「せっかく、クロスベルから二大国の裏組織がいなくなったのに、まさか今度は”異変”を起こした”結社”が来ているなんてね……」

「どうしてクロスベルばかり……」

シャマーラは信じられない表情で呟き、ノエルは表情を青褪めさせていた。

「色々、裏の事情がありそうだね。―――まあ、それはともかく。今はキーアを保護するのが先じゃない?」

「そうだ……!奥の城って言ってたな!」

「行ってみましょう!」

そしてワジに言われたロイドとエリィは真剣な表情で言った後仲間達と共にアトラクションの一つである”鏡の城”がある場所に向かった。



ロイド達が”鏡の城”へ続く橋に到着するとそこには神秘的な光を放つキーアが城を見つめていた。

(いた……!)

(よ、よかった……!)

キーアを見つけたロイドは明るい表情をし、エリィは安堵の溜息を吐き

(!?あの光は一体……………)

(何だか神秘的だね~。)

(…………………………………)

(何だ、あの光は……?魔力……ではないし、闘気の訳でもないよな……?)

エリナはキーアが纏っている光を見て驚き、シャマーラは不思議そうな表情をし、セティは真剣な表情でキーアを見つめ、リィンは戸惑っていた。

「………どうして……………どうして…………なの……?」

そして目の光が消えたキーアが呆けた表情で呟いたその時

「キーア……!」

ロイドが仲間達と共にキーアに近づいた。

「キーア、大丈夫か!?」

「よかった……怪我はしていない!?」

「……………………………」

ロイドとエリィに尋ねられたキーアは少しの間黙り込んだがやがて光を消し

「あれ~……?ロイドたち、どうしたのー?」

そして振り向いて無邪気な様子でロイド達を見つめた。

「ガクッ……どうしたのって、あのなぁ。」

キーアの言葉にロイドは肩を落とした後呆れ

「キーア、どうしてここへ?ロイドさんたちの部屋から歩いてきたのですよね?」

ティオは尋ねた。

「???ここって昼間のお城……?キーア、なんでここにいるのー?」

「やれやれ……全然覚えてないみたいだね。」

「ね、寝ぼけてここまで来ちゃったんでしょうか?」

周囲を見回した後首を傾げたキーアの言葉を聞いたワジは仲間達と共に脱力した後溜息を吐き、ノエルは不安そうな表情で呟き

「いや、それにしちゃ、壮絶に寝ぼけすぎだろ……キー坊、何も覚えてないのか?」

ランディは疲れた表情で言った後目を細めて尋ねた。

「んー……なんか夢でキーアを呼ぶような声が聞こえたような………あれ?キーアが呼んでたのかな……?」

「むう。」

キーアの答えを聞いたランディは唸り

「ふふ……夢だもの、仕方ないわ。とにかく無事でよかった………」

エリィは苦笑した後安堵の表情をした。

「そうだな……よし、俺達もいったんホテルに戻ろう。キーア、部屋に戻ったらちゃんと寝るんだぞ?」

「はーい。」

その後、ホテルに戻ったロイド達はキーアを寝かしつけてからミシュラムの保安部に連絡し……事情を説明して再び現場に行ったが結局、何の異常も残っていなかった。そして明け方――――やっとホテルに戻って昼近くまで睡眠を取った後……迎えに来たマリアベルと共にロイド達はミシュラムを後にするのだった…………… 
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