Blue Rose
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第十九話 療養所その二
「だからここでも気をつけてるんだ」
「病院でもそうでしたし」
「そう、用心しているんだよ」
「そうなんですね」
「世の中おかしな人もいるよ」
どうしてもだ、世の中というものは様々な人間がいるがその中にはそうした輩も存在しているのである。残念なことに。
「特にマスコミにね」
「マスコミですか」
「そう、マスコミには悪質な奴がいるから」
「イエロージャーナリズムですか」
「うん、あることないことを平気で書く奴がいるよ」
そのイエロージャーナリズムの世界ではというのだ。
「ましてや日本では普通の新聞でもそうだからね」
「嘘を書くんですね」
「テレビの報道番組でもね」
「そうした番組で嘘言ったら駄目ですよね」
「そうした世界なんだ」
日本のマスコミはというのだ。
「だからね」
「僕のことを知ったら」
「そう、どんな報道するかわからないから」
「そういえば姉さんも」
「彼女もそう言ってたよね」
「それでかなり気をつけていました」
「当然だよ、連中は餓鬼だよ」
端整で温和な顔を顰めさせてだ、岡島はそうした者達のことを話した。
「餓鬼道に堕ちたね」
「餓鬼ですか」
「そう、まさにね」
「人じゃないんですね」
「人間ってのは心でなるんだ」
人間にというのだ。
「だから心が餓鬼だとね」
「餓鬼になるんですね」
「そう、餓鬼は下手をすると地獄の亡者より酷いよ」
その心の域がというのだ。
「徹底的に腐ってるからね」
「先生そうした人達に会ったことは」
「あるよ」
一言での返事だった、その時を思い出して忌々しげになっている。
「残念ながらね」
「そうなんですね」
「最悪な奴だった、底意地が悪くて強い者に媚びて弱いものいじめが好きで金と権力と女の子に汚くて」
「最悪な人みたいですね」
「そうだよ、最悪な奴だったよ」
「それでその人が」
「そう、マスコミにいてね」
その餓鬼道に堕ちた輩がというのだ。
「とんでもない奴でね」
「そうした人が本当にいるから」
「君についてはね」
「気を使ってくれてるんですね」
「そうだよ、そいつはあるタブロイド誌にいるよ」
まさにそうしたジャーナリズムの世界にというのだ、もっとも日本のマスコミは一般の新聞紙やテレビも同じレベルだが。
「それでそうしたことをしているんだ」
「悪いことを」
「君みたいな子はね」
優花の様にだ、特殊な事情の者にはというのだ。
「特に狙ってくるから」
「とりわけなんですか」
「そう、だからね」
「僕のことはですね」
「気をつけないとね」
心からという言葉だった。
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