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真田十勇士

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巻ノ五十一 豚鍋その九

「いや、ああしてです」
「賽で決めるとは」
「よい決め方ですな」
「ああした決め方もあるのですな」
「確かな」
 幸村は十勇士達に話した。
「南蛮でな」
「あちらの話ですか」
「それでか」
「何かあったらしい」
 こう言うのだった。
「カエサルという者がおってな」
「カエサルですか」
「その者がですか」
「そうした決め方をした」
「賽を使ったのですか」
「うむ、それでな」
 幸村はさらに言った。
「拙者もやってみたのじゃ」
「賽を投げてですか」
「その目を見て決める」
「そうされたのですな」
「まさに」
「そうじゃ、それで拙者もやったが」
 それでというのだ。
「今回してみたが」
「よかったですな」
「左様ですな」
「これで、ですな」
「豚を食いそしてですな」
「素早く去った」
「そういうことですな」
「うむ、これでよい」
 まさにというのだ。
「後はな」
「はい、これでですな」
「この道を通って」
「そしてですな」
「やっていきますな」
「そうしていこうぞ」
 こう言うのだった、そして実際にだった。
 主従はその忍道を通り薩摩を出た、そのうえで風の様に博多に向かう。その途中で十勇士達はこうしたことを言った。
「まさかこの様ば場所にまでです」
「こうした忍道を見付けられるとは」
「流石は大殿です」
「天下の名将と言われるだけはありますな」
「うむ、奥羽にもあるしな」
 こうした忍道がとだ、幸村は十勇士達に答えた。
「それにじゃ」
「無論近畿や山陰、山陽にもですな」
「四国や東海、北陸にも」
「道があるのですな」
「関東にもじゃ」
 そこにもというのだ。
「父上は天下の至る場所にもうけられておる」
「ではいざという時は」
「この道を使ってですな」
「天下の中を動く」
「それが出来ますな」
「この道を知っておるのは我等だけじゃ」
 幸村は十勇士達に話した、その道を共に進みつつ。
「真田家でも僅かな者達だけじゃ」
「大殿と若殿、それにですな」
「殿ですな」
「そして主な重臣達とな」 
 真田家の、というのだ。 
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