英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第56話
ロイドがビーチバレーをしている仲間達に近づくと審判をリィン役にランディ、ノエル、イリア、ワジがそれぞれペアを組んでちょうどイリアがスパイクを決めた所だった。
~湖水浴場~
「―――よし♪」
スパイクを決め終えたイリアは頷き
「凄いですね……」
リィンは驚き
「くうう、流石ッスね……!!」
ランディは興奮し
「ボールが見えませんでした……」
ノエルが疲れた表情で溜息を吐き
「フフ、全身のスパイクを使った申し分にあスパイクだったね。さすがはイリア・プラティエと言ったところかな。」
「フフ、どういたしまして♪」
ワジは静かな笑みを浮かべて言った。
「す、すごい……!!」
その時ロイドは驚きの表情で呟いた。
「ああ弟君、見てたんだ?フフ、あたしの必殺技はどうだった?」
「は、はい……本当に凄かったです。」
「いや、マジで恐れ入ったッス。俺のスパイクも難なくレシーブされちまうし。」
「ワジ君も、ここしかないって所にトスしてイリアさんをアシストしてたし。」
「フフ、僕のはただのまぐれさ。それに君達もなかなかのコンビネーションだったじゃない。」
「やっぱり元々同じ警備隊だからチームワークがいいのか?」
ワジの言葉を聞いたリィンは口元に笑みを浮かべてランディ達を見つめ
「いや……正直、みんなハイレベルすぎて言葉も出ないくらいだよ。この調子で大会なんかに出たら、すぐにでも優勝を狙えるんじゃないか?」
ロイドは静かな笑みを浮かべて言った。
「フフ、まあ現実はそんな簡単にいかないでしょうけど、いいトコいくかもしれないわね。そうだ、次のゲームは弟君も混ざらない?一緒にビーチバレーを楽しみましょ♪」
「それじゃあ、お言葉に甘えて参加させてもらいます。と言っても、ビーチバレーのルールはあまり詳しくないんですけど。」
「基本は普通のバレーボールと同じですよ。違いを大雑把に言うなら、チームが二人一組だってことと砂浜でやるって所くらいですかね。」
「あと、実際は先に21点取ってようやく1セット勝利になるんだけど……今回は気軽に楽しもうってことで、1セット12点先取の変則マッチでやってるよ。」
「ふむ、なるほど……ひとまず問題はなさそうだな。」
ノエルとワジの説明を聞いたロイドは頷いた。
「まあ、細かい話は置いといて早速チーム分けと行こうじゃないか。さっきは審判をリィンにしてもらったから、次は誰か一人がリィンと交代して審判に回って、もう一人は休憩しとけばいいだろう。」
「そうね。それじゃ弟君、チームを組みたいパートナーを選んでくれるかしら?」
「わかりました、じゃあ――――ノエル、よろしく頼むよ。」
「わかりました!頑張りましょう、ロイドさん!」
イリアに促されたロイドはノエルを指名した。
「それじゃ、残りのチームと審判に回る人、観客になって休憩する人も決めようか。」
「まあ、こっちは公平にジャンケンでいいんじゃない?」
「そうッスね。さっさと決めちまいましょう!」
ジャンケンの結果審判にはランディが審判、イリアが観客に回り……ロイド・ノエルチームとリィン・ワジチームの対戦が幕を開けるのだった。そして激しいゲームの中、ギリギリで勝利した。
「ゲームセット!12対11でロイドチームの勝ち!」
「へえ!弟君、やるじゃない!」
「や、やった……ギリギリ勝てたぞ!」
「はあ~……熱い勝負でしたね!リィンさんもかなり手強かったですし。」
「決めたと思った所に飛び込んで、拾ったものな……」
「ハハ……これでも軍人だからね。」
ノエルとロイドの称賛にリィンは苦笑しながら答えた。するとその時
「ほう、面白そうな事をしているな……?」
ヴァイス、アル、ギュランドロス、エルミナ、パティルナがロイド達に近づいてきた。
「し、司令!?」
ギュランドロスを見たノエルは驚き
「フフ、もしかして混ざりにきたのかしら?」
イリアは笑顔で尋ねた。
「おうよっ!―――どうせならヴァイス。ここでメルキアとユン・ガソル側に分かれて対戦してみたらどうだ?」
「フッ……いくらゲームとはいえ、手加減はせんぞ?」
ギュランドロスの提案にヴァイスは静かな笑みを浮かべ
「あはは!望むところだよ!」
パティルナは嬉しそうな表情で言い
「……では、審判は私がしましょう。こういう事に関してはパティルナの方が得意でしょうし。」
エルミナは静かな表情で言った。そしてロイド達は観客側に回り、審判はエルミナでヴァイス・アルチームとギュランドロス・パティルナチームの対戦が幕を開け、2組のゲームはロイド達の目には見えないほどの速さのボールが飛び交い、ロイド達が驚いている中、ゲームは11対12でギュランドロス・パティルナチームの勝利となった。
「ゲームセット!11対12でギュランドロス様達の勝ちです!」
ゲームの終了を宣言したエルミナは嬉しそうな表情をし
「負けてしまいましたね……」
「クッ……ギュランドロス一人でも厄介だというのにそこにパティが加わったら、手強すぎる……!まあ、互角の戦いにまで持ち込めただけ良しとしよう。」
アルは苦笑し、ヴァイスは悔しそうな表情をした後口元に笑みを浮かべ
「やった!あたし達の勝ち♪」
「ガッハハハハハッ!これでまた勝敗の数はまた互角になったなぁ?ヴァイス!」
パティルナは笑顔で言い、ギュランドロスは豪快に笑った後口元に笑みを浮かべ
「す、凄すぎる……」
ロイドは口をパクパクし
「全然球が見えませんでしたね……」
「そうだな……」
ノエルとリィンは苦笑し
「ハハ、クロスベルの”大英雄”のぶつかり合いは凄すぎたね。」
「ったく。この化物共が……あれで俺達と同じ”人間”だなんて、普通に考えてありえねえだろ。」
「フフ、やるじゃない♪」
ワジは笑顔で言い、ランディは疲れた表情で溜息を吐き、イリアは笑顔で言った。その後試合を見て近づいたメヒーシャ達もそれぞれ天使、悪魔チームに分かれて試合をし……さらにその試合が終わるとカーリアンとハイシェラの一騎打ちのゲームと言う特殊な試合もし、二人は周囲の砂浜に穴を開けつつ激しい試合をし、ハイシェラの圧倒的勝利という形で終わった。
「クッ……まさかこの私が圧勝されるなんて!」
「クク……お前程度の小娘、他愛ない。」
悔しそうな表情をしているカーリアンにハイシェラは口元に笑みを浮かべて言い
「む、無茶苦茶すぎる……」
「なんというか……次元が違いすぎますね……」
「周囲がボールでできた穴だらけになっているしな……誰が直すんだ、これ?」
ロイドは表情を引き攣らせ、ノエルは疲れた表情をし、リィンは溜息を吐いた。
「……いやー、楽しかったわね!」
試合を見終えたイリアは笑顔で言い
「はは、そうッスね。……ただ、お約束のサービスシーンがなかったのは残念極まりないッス。ノエルやメヒーシャちゃん、後はエルミナ大尉あたりがかましてくれることを期待してたんだがなあ。」
「ああ、確かにっ!!」
「クッ……しまった!」
残念そうな表情で言ったランディの言葉を聞いたイリアとヴァイスは声を上げ
「フフ、ついついビーチバレーに熱中しちゃってたね。」
ワジは静かな笑みを浮かべて言った。
「あ、貴方達は………!」
「全員滅してやろうか……!」
一方エルミナとメヒーシャは身体を震わせてランディ達を睨み
「せ、先輩にワジ君、それに局長……なに言ってるんですか、もう。」
ノエルは呆れた表情で溜息を吐いた。
「イリアさんと局長の過剰反応も気になるんですけど……ああそうだ、皆。喉とか渇いてないか?何だったら、俺が売店で冷たいものとか買ってくるけど。」
「おっと、気が利くわね弟君。ん~、なにがいいかしら。」
「確か、聞いたところによるとミシュラムに新しく発売したジュースがあるみたいッスよ。」
「ああ、それはあたしも聞いた事があります。『ベルコーラ』っていって、シュワシュワして爽快な飲み物らしいですけど。」
「フフ、それはなかなかよさそうだね。」
「それじゃあ、みんな『ベルコーラ』でいいかな?」
イリア達の話を聞いたロイドは尋ねた。
「俺はノンアルコールのカクテルを頼む。」
「俺も同じ物だ。」
「あたしも!」
「全く……ノンアルコールとはいえ、昼間からお酒を飲むなんて…………私は『ベルコーラ』でお願いします。」
「私もエルミナと同じ『ベルコーラ』でお願いします。どんな味なのか気になります。」
ヴァイスとギュランドロス、パティルナの言葉を聞いたエルミナは呆れた表情で溜息を吐いた後答え、アルも続けて答え
「我輩は当然本物のカクテルだ!」
「じゃ、あたいも同じものを頼もうかね。」
「フフ、じゃあ私も♪」
「当然我もカクテルだ。酒以外は飲み物と認めん。」
ギレゼルは胸を張って言い、エルンスト、カーリアン、ハイシェラも同じ物を頼み
「……我もカクテルで構わん。」
「……私はアイスクリームを頼む……」
ラグタスは静かな表情で言い、メヒーシャは恥ずかしそうな表情で言った。
「わかりました。」
それぞれの注文を聞いたロイドは頷いた。
「うん、お願いするわね。まあ、今はそこまで喉が渇いてるわけじゃないから急がなくてもいいけど。」
「はは、わかりました。それじゃあまた後で持ってきますよ。」
そしてロイドはランディ達から離れて、他の遊びをしている仲間達の所に向かった…………………
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