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Three Roses

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第八話 短い輝きその五

「そうなるわ」
「あの国に行かれますね」
「王子が来られるよりも先にね」
「ではこの国に残るのは私で」
「そして王子と」
「後はマイラ様ね」
「そうなりますね」 
 こう二人に返した。
「そうです、ですが」
「はい、マイラ様は」
 セーラは俯きマリーに言った。
「どうしてもです」
「私達とはですね」
「ご幼少の頃からです」
「お一人でおられるか」
「大司教と共におられます」
 彼女の教師であり教育係でもあるだ。
「そして学問に励んでおられますが」
「薔薇を御覧になられるにしてもですね」
「そうです」
 彼女達がそれぞれ先王から贈られ中庭に咲き誇っているその花達もだ。マイラは黒薔薇であり彼女自身その花を愛してはいる。
「お一人です」
「いつも」
「あの方は孤独を愛されています」
「私達と共にいたことは」
「殆どありませんでしたが」
「今もですね」
「マリー、やっぱり」
 マリアは顔を曇らせながらもマリーに顔を向けた。
「私達はより」
「姉様にですね」
「お声をかけてお話をするべきでは」
「私もそう考えていますが」
「それでもなのね」
「私からお声をかけてもです」
「私達がそうする時と同じく」
 マリアもここでわかった。
「そうなのね」
「妹である私の誘いでもです」
「聞いて頂けないのね」
「お一人でおられます」
「旧教の方はあの方だけ」
 マリアはここで信仰のことにも言及した。マリア達は新教だがマイラだけは旧教なのだ。そしてその信仰はかなり篤い。
「そのこともあるから」
「旧教の方とだけ交流されています」
「そうなのね」
「私達と違い」
 三人は新教徒だが旧教の者達とも交わっている、そして彼等と話もしているのだ。
「そうされています」
「厳しい話ね」
「まことに」
「どうしたものか」
 マリアはマリーとここまで話してあらためて難しい顔になった。
「あの方とのことも」
「しかも」
「はい、私達は少し先ですが」
「この国を離れるわ」
 またこの話になり二人もすぐに応えた。
「残られるのはマリー様だけです」
「そしてマイラ姉様だけよ」
「そうなれば」
「何か不安を感じるわ」
「私のことは心配しないで下さい」
 マリーは自分を気遣う二人に微笑んで答えた。
「近頃近くに人も集まってきてくれていますし」
「あの方々ですね」
「はい、ロドネイ公にです」
 まずは彼の名を挙げた。 
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