| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Three Roses

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八話 短い輝きその三

「最早」
「そうですね、あの方はですね」
「お身体が日に日に弱くなっていっています」
「そうですね」
「このままです」
 まさにとだ、セーラはまた言った。
「弱っていけば」
「そうですね」
「大公様がお薬を集めていてです」
「王に献上されていますが」
「しかしですね」
「はい、それでもですね」
 マリーも言うのだった。
「あの方は」
「若しも」 
 マリアは俯き暗い顔で言った。
「あの方に何かあれば」
「はい、その時はです」
 まさにとだ、マリーはマリアにも答えた。
「来ないで欲しいですが」
「それでも」
「このままでは」
「思ってはいけないことといっても」 
 それでもとだ、また言ったマリアだった。
「思ってしまうわね」
「人の口に鍵はかけられないですし」
 それにとだ、ここでまた言ったマリーだった。
「考えはです」
「口以上にね」
「止められるものではありません」
 首を横に振ってだ、マリーは答えた。
「どうしても」
「だからですね」
「私達にしても」
「そうです」
 そう考えることはというのだ。
「それは無理です、しかし」
「しかし?」
「しかしというと」
「最悪の事態を考える」 
 マリーも沈痛な顔で言った。
「それはいいことと思います」
「最悪のことまで、ですか」
「考えることもなの」
「またいい」
「そうなのね」
「はい、最悪のことを考え」
 そしてというのだ。
「それにどう対するか」
「そこまで考えてこそ」
「政治が出来る」
「そうも考えています」
 真剣な面持ちでだ、マリーは二人に話した。
「ですからこのこともです」
「考えることは、ですか」
「いいと思います」 
 こうセーラに話した。
「それもまた」
「そうなのですか」
「はい、そうも思いました」
「考えたくないことでも」
 それでもとだ、マリアも言った。
「考えるべきなのね」
「そうも思っています」
「そうなのね、ただ」
 ここでだ、マリアは暗い顔のままマリーに言った。
「考えたくなくてもなのね」
「逆に言えばです」
「考えるべきなのね」
「政治においては」
「そうしてです」
 そしてというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧