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Three Roses

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第七話 子をもうけぬままその九

「大きく変えていきます」
「そうですか」
「はい、そうします」
 まさにというのだ。
「大きく強い軍艦に」
「では」
「国力を高めればその分だけです」
「強い軍も備えられますね」
「そうなります、傭兵達も多く雇い」
 そのうえでとだ、大公は王にさらに話した。
「彼等に訓練をしましょう」
「そして彼等を国に常にある軍隊にするのですね」
「何時でも使える」
「ですか、それでは」
「この軍は王の直属です」
 王にだ、大公は微笑んで話した。
「ですから」
「それでは」
「はい、王がお命じにならればです」
「動くのですね」
「どの諸侯の軍でもありません、そして」
 大公の言葉は続く。
「やがてはこの国の軍全てをです」
「私の、王のですね」
「軍としましょう」
「諸侯の軍ではなく」
「そうです、全ての軍をです」
「王の軍にするのですか」
「東方の帝国は既にそうなっています」 
 彼等が海を挟んでいる大陸の遥か東にあるその国はというのだ。
「広大な国土、とてつもない数の民を持ち」
「そして軍はその皇帝の下にありますか」
「はい、全てが」
「東の帝国は我々など予想もつかないまでの力を持っているといいますが」
「その力の源の一つが軍ですが」
「その軍が皇帝の下にありますか」
「百万はいるという軍勢がです」
 まさにというのだ。
「皇帝の下にあります」
「百万ですか」 
 皇帝はその数が信じられなかった、周りの国々では百万もの民がいる国でそれなりの国であるからだ。
「それだけの数がですか」
「そうです」
 まさにとだ、大公は王に答えた。
「東の帝国では皇帝の下にあります」
「そしてその国に倣い」
「はい、我が国もです」
「全ての軍を王の下にですか」
「集めましょう」
「諸侯の軍ではなく」
「王権をさらに強くし」
 そのうえでとだ、大公は話していく。
「そうしていきましょう」
「ですか、途方もないことですね」
「確かに長く時間がかかることですが」
「それをしていくのですね」
「はい」
 今度の返事は一言だった。
「そう考えています」
「わかりました、それでは」
「軍は全て王の下に」
「諸侯の軍ではなくですね」
「そうです、王は諸侯のまとめ役ではなく」
 こうした考えはまだ残っている、千年も前から残っているがそれは次第に消えようとしている。しかしなのだ。
「王は国の主です」
「まとめ役ではなく」
「貴族や民達の上に立つ」
「主なのですね」
「そうした方になるべきです」
「王権を強め」
「その一貫として軍もです」
 今見せた彼等もというのだ。 
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